孤立しない「オンラインルーム」と落ち着く「書斎」

新型コロナウィルスの流行を受けて在宅オンライン勤務、オンライン授業が増加し「在宅オンライン」が日常化しました。

小学校から大学までの在宅オンライン授業はやがて通常の対面授業や対面講義に収束していくと思いますが「在宅オンライン勤務」についてはこれを積極的に活用して行こうとする企業が増加しています。

従来からある書斎という部屋と新登場の「オンラインルーム」について考えてみましょう。

「オンライン」は住居の中のどこで行うのか?

緊急事態宣言が発出されて人流を8割抑えるという政府の要請を受けて各企業、学校は慌てて対策を取りました。

初期にはとりあえずオンラインが出来るようになることが優先され、オンラインを行う住居内の環境までは考えていませんでした。
徐々にオンラインに慣れるとともに受けるストレスなどの様々な問題が生じ始めてきたというのが実情だと思います。

オンラインも簡単な打ち合わせ程度なら良いのですが「オンライン会議」や「オンライン授業」も慣れるとともに様々な「技」を駆使してオンラインの活用度が上がって行き「オンラインの向こうは会社(あるいは学校)」で「こちら側はプライベートな自宅」ということに改めて気づかされて様々な「これはまずいな」が指摘されてきました。

最初のころは「上半身さえちゃんとしていれば良いから楽だ」という程度の「オンライン効果」だったものが「会議中に猫がカメラの前を過る」「子供が騒いで集中できないし『お子さん元気ですね』などと言われてしまった」などと言う経験をされた方も多くいらっしゃると思います。
微笑ましい場面もいろいろありましたが家族にあまり見られたくない、聴かれたくない「仕事上のシリアスな場面」を経験するにつれて独立した個室が欲しくなってきたと思われている方も多いはずです。LDKと個室、水回りなどの他に「新種の部屋」の誕生です。

オンラインルームの考え方は2方向

できれば静かな環境というか自分の声やスピーカーからの音声が他の部屋に漏れない部屋が欲しいという点では概ね一致していると思います。

音の遮断は共通したご要望のようですが視覚的、空間的なつながり方についてはには意見が分かれるところです。

全く他の部屋とは隔絶した「完全な個室」を要求される方と音は遮断しても視覚的には「家族とつながっていたい」とお考えの方に大きく2つに分かれます

前者は個室としての書斎と同じような設えで、オンラインに必要な照明も含む機器を用意すればほぼご満足いただけると思います。

問題は後者の音は遮断したいが視覚的にというか空間的に家族とつながっていたいという要求です。

ガラスの壁、間仕切り、ドアで空間は繋がっているオンラインルーム

どうやらガラスで仕切った空間(ラジオ局のスタジオブース)で造れば音は遮断しても視覚的に一体化した空間は実現可能です。
この場合ガラスによる音の反響を考慮してやや吸音性の高い素材を壁や床にある程度配慮する必要があります。

部屋のレイアウトとして家族の方を向いて、あるいは家族の居る空間は横方向、または振り向けば家族の居る空間というように仕事や学習への集中と家族空間とのつながり方はお考えが様々でしょうから「将来」という時間軸もある程度考慮に入れて設計者とよく話し合ってください。

「孤立しないオンラインルーム」は在宅オンライン勤務が常態化する傾向の職種と企業でお仕事をされておられる方々には大きな注意喚起ポイントです。

オンラインルームの設置場所

まったくの個室で他の部屋のつながりは考慮しなくてよい場合は外の景色を楽しむのかという眺望をどの程度得たいのかという配慮程度で家全体のゾーニングのなかで設置場所を決めることができます。

家族空間とのつながりを視界的に考慮する場合は基本的にはLDKと何らかの形でつながることが必要です。
一般に1階のLDKとつながったところに設置しますがLDKのどこかに大きな吹き抜けがある場合はそこから見下ろせる2階も設置場所の候補になります。

繋がり方や見え方の程度をどの程度求められるのかで設置場所を選択します。

ただし、在宅オンライン勤務時は「留守番」を兼ねることもあり宅配便は宅配ボックスなどで受け取るなど「居留守対策」も考慮するなど仕事に集中するためには必要です。

そういうことはしないというなら玄関との距離、上下動の関係で「オンラインルーム」の位置を決めます。

落ち着く「書斎」

オンラインルームを兼ねるか兼ねないかは別にして書斎を設置する場合は使用目的を明確にします。

最近では書斎の性格も使用目的で大きく異なりますのでデートレーダー、読書、趣味の籠もり部屋、家族や子供から逃げ出し一人になるためのシェルター書斎など様々です。

基本的には他の部屋との隔絶をすることが独立型タイプ、寝室などの一部を区切って利用するのはオープンにするのか部屋とするかで考え方は分かれますが配偶者は容認するという入室制限型のタイプ、リビングとつながってドアは付けずにセミオープンにつながっているタイプなど様々です。

オンラインルームと書斎を兼ねて設ける場合は他の部屋と隔絶されますので「落ち着く『書斎』」になる場合が多いと思います。

オンラインルームや書斎で過ごす時間の長さ

在宅勤務が標準の勤務形態ではどうしても気分転換が必要になります。

屋外を眺めるには部屋の配置と窓の工夫が必要でしょう。
軽い体操やストレッチなどもできるスペースも考慮する必要があります。

仕事で2時間以上連続使用するならそうした気分転換機能を持たせるようにしたいものです。

まとめ

「オンライン」というこれまでになかった働き方や、学習の仕方は新たなワーク&ライフスタイルの発展を予感させます。

中々将来のことを見通すのは難しいと思いますがご自身の働き方とライフスタイルに合った「オンラインルーム」と「書斎」を考えて住いづくりをするようにしましょう。

《執筆者》

一般社団法人 住宅研究所
代表 松尾俊朗
一級建築士

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