【住宅展示場・見学会のご案内の基本】初回クロージングに繋がるアンケート設問設定

住宅展示場や完成住まいの見学会にご来場いただいたお客様にご記入いただくアンケートは、お客様の初期情報の取得だけでなく初回面談時のクロージングに欠かせないツールです。お客様の氏名、年齢、住所などのご家族の個人情報と住宅建築に関わる資金や土地に関する情報、建築時期など、「後日コンタクトが取れる最低限の情報を取得できればOK」という位置づけだけではありません。
今回は、初回面談時のクロージングに有効なアンケート項目について考えてみます。

Contents

アンケートの役割

住宅展示場や完成住まいの見学会に初めてご来場され、ご記入いただくアンケートは、お客様の関心分野、方向性を掴み、これに沿ってご案内し、「自社で住宅を建てたい」と強い印象を持っていただく役割があります。つまり、初回面談時のクロージングを成功させるためにあります。そのためには、アンケートを基に、ご案内場所ごとに「適確な情報提供」をしていくことが欠かせません。

【関連記事】【住宅展示場・見学会のご案内の基本】ご案内ルート設定

「お客様のために」がポイント

住宅会社・工務店の受注を目指す営業上で必要な内容だけ(氏名、年齢、住所、資金、土地に、年収、勤務先、建築時期など)のアンケートだと、住宅営業も申し訳なさそうに「アンケートのご記入をお願いします」とお伝えするのが精いっぱいの状況が多発しています。そもそもお客様は、「家を見るだけなのに、個人情報を含む内容は書きたくない」などの警戒心をお持ちです。さらに、住宅営業の「申し訳なさそう」という雰囲気を感じとり、ますますアンケート記入に後ろ向きになりがちです。したがって、「お客様の住まいづくりのため」のアンケート項目を設定し、「お客様の意向に沿ったご案内のため」という目的を持たせたアンケートに変えると、お客様も「記入してもよい」状態になり、住宅営業も申し訳なさを感じずに、お客様にアンケート記入をお願いすることが出来るようになります。

【関連記事】住宅営業におけるアンケートの取得タイミングと位置づけ

お客様の意向を把握できるアンケートとは

「お客様の意向に沿ったご案内をするため」というアンケートは、記入するとお客様ご自身に合った案内をしてもらえ、良い住まいづくりにつながるということがお客様に伝わる項目でなければなりません。

お客様の関心事を知る項目

自社住宅展示場や完成住まいの見学会へのご来場動機や他社の気になっている部分などは、初期段階ではお客様の関心の方向を掴むためには有効な項目です。そして、ご家族でご来場されているお客様の場合には、ご主人様、奥様お二人それぞれにご記入していただくことがポイントです。そうすることで、ご主人様、奥様それぞれが、「自分の事を考えてくれている」と思っていただけ、自分に合った住まいづくりのためのアンケートであることが伝わります。

新しい住まいで実現したいコトを知る項目

「収納を多めに」「部屋数を多く」「動線を良く」などのご要望はよくあると思いますが、これは現在の暮らしでの「不満解消」という範囲の話であって、「実現したいコト」とは別の話です。また、Instagramの画像で、気に入ったインテリアやデザインなどでお好きなイメージを伝えてくださるお客様も増えていますが、これも住宅の外形のイメージであって「実現したいコト」とは別の話です。

「実現したいコト」というのは、大きなイベントである必要はありません。日常の暮らしの中の1シーンで「心豊かになれる」ことで充分です。例えば、朝食の時間が唯一家族全員が揃う時間だとすれば、DKを北側でなく朝陽が差し込む東側に設けて、明るい朝食の時間にすると気分よく1日が始まる工夫などの「ささやかでも幸せなシーンがどういうものなのか」をお客様に気づいていただき、考えていただくところから始めます。しかしながら、「新しい住まいでどんなコトがしたいですか?」と質問しても、明確に答えてくださるお客様はほぼ皆無ですので、新しい住まいで実現したいコトに関しては、ご記入いただいた内容を基に、少しでも関心を持たれた部位から、新居での新しい暮らしを触発しながら、お客様ご自身が「実現したいコト」に気づいていただくようにご案内を進めることが重要です。

見ていただいた住宅の感想の項目

「ご覧になられた住宅についてのご意見・ご感想」という項目は、当日ご案内した住宅展示場や完成住まいの見学会の振り返りを行っていただくことで、お客様の自社住宅の印象を強めるための項目です。そして、良かった部分と良くなかった部分の理由をお聴きして、次の対策の手がかりにします。

まとめ

初回来場時にお客様にご記入いただくアンケートは、単なる住宅建築に必要な個人情報などを取得する物ではありません。お客様のご意向に沿ったご案内を実施し、自社住宅の良い印象を与え、さらに、「自分の事を考えてくれる」「自分の事をわかってくれる」住宅会社/住宅営業として認識していただいて初回面談を成功させるため、また、受注に直接つながる情報をお客様と共有化する重要なツールです。

アンケートを活用して初回面談を成功させ、次のステージに進めるためには住宅営業の対応方法もセットで身につけることが前提です。お客様の関心事を引き出すしかけやアンケート項目設定、そして住宅営業のお客様の心豊かな暮らしのためのご案内方法は、弊社のコンサルティング/研修/お役立ちLaboなどのご活用ください。

住宅営業コンサルティング

研修一覧

お役立ちLabo

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

関連記事

【住宅展示場・見学会のご案内の基本】お客様を惹きつける資料の見せ方・伝え方

同じ資料を使ったとしても、住宅営業がお客様への資料の見せ方・伝え方の違いで、理解度や共感度、さらには自社への関心度に大きく差が出ます。今回は、住宅営業が住宅展示場や完成住まいの見学会でお客様を惹きつけて関心を高める資料の […]

【住宅展示場・見学会のご案内の基本】ご案内ルート設定

お客様の初回来場時の住宅営業担当者の営業上の目的は、お客様に自社を住まいづくりのパートナーとして本気で検討してみたいと思っていただくことです。つまり、「自分の住宅を建てる会社」として検討の対象にしていただくことです。初回 […]

住宅営業におけるアンケートの取得タイミングと位置づけ

住宅営業のコンサルティングや研修中によく問われる質問があります。「モデル住宅や完成住まいの現場見学会でお客様がご来場された際にアンケートを取得するのはどのタイミングが正解でしょうか?」「最初にアンケートを取得するのは拒否 […]

新着記事

【競合対策の基本①】他社の悪口はタブー

住宅営業を進める上で必ずと言っていいほど存在する競合他社への対策は、受注を獲得するためには重要な対策のひとつですが、間違った対策を打つと自分(自社)の信頼を失ってしまう危険があります。今回は、競合他社を賞賛しつつ差別化を […]

競合他社とは異なる差別化戦略で受注する

「モノ」としての住宅が売れていた時代には、住宅の構造・性能などのハード面の優位性を訴求することが受注に有効でした。実際に、持ち家着工数は1973年をピークに多少の上下はあっても下降傾向です。さらに、1978~1982年を […]

【営業会議の進め方】受注につなげる作戦会議の場が営業会議

営業活動の進捗報告、目標達成見込報告、その報告をうけて上司が住宅営業担当者に指導とはかけ離れたしっ責が延々と続くなど、営業会議より営業活動に時間を使いたいと思うような営業会議の経験がある方が多いのではないでしょうか。今回 […]

受注まで6週間! 消費者心理を理解して購買意欲を刺激する住宅営業とは

土地探しも含め初回面談から受注獲得まで数ヶ月~数年を要する、というのが注文住宅業界のが常識ですが、消費者心理を理解し、お客様の購買意欲を刺激するテンポ良い営業で6週間で受注を獲得する住宅営業について考えてみます。 Con […]

人材育成の大切なポイント

人材育成は、住宅会社にとって重要な課題のひとつです。新人(中途採用・新卒採用)だけでなく、今現在所属している社員の育成も、今後の住宅会社の発展に大きく影響します。その中でも新人の営業人材育成について考えてみます。 Con […]

売れない住宅営業と売れる住宅営業の違い。売れる住宅営業になるために必要なこと。

自社住宅商品の性能/構造や設備/仕様など商品知識をしっかり身につけ、お客様にも一生懸命説明しているのに、なかなか受注に繋がらない住宅営業の特徴とその解決策を考えてみます。 Contents 売れない住宅営業の特徴 頑張っ […]