住宅建築予算枠内に収まらないお客様が続出への対応方法

工務店/住宅会社の集客状況は来場者数が思った以上に伸びないという状態が続いています。さらに、それに追い打ちをかけるようにお客様の「価格感覚」と「現時点の建築費」とのズレが日々拡大しています。
建築資材の価格上昇局面が続き、お客様が「事前に収集した価格に関する情報や感覚」が日ごとに乖離して行っています。お客様との接客時の対応方法を変える必要があります。

「ご予算は?」という質問は「禁句」

住宅営業はお客様の「土地と資金」の状況に関心がありますから、ついつい「土地はお持ちですか?」「ご予算はどれくらいをお考えですか?」とか聞いてしまっています。一般的に考えると、こういう質問をする住宅営業というのは、住宅業界ぐらいらしく「異常」だとのことです。そもそもお店に入ってきて商品も見せていないのに、とにかく「お金はいくらお持ちですか?」と聞いているのですから。
住宅営業が聞いてしまって、お客様答えてしまった「予算」は、これといった根拠もないのにその後の商談で「固定」されてしまい、これが前提条件になって縛られてしまい身動きが取れなくなっている事態が多発しています。

お客様の「新しい住いで実現したいコト」への魅力的な対応が先行すべき

実は、集客数が減っていますが多くのご来場者は事前にホームページなどで住宅会社/工務店をある程度選択して来場されています。コロナ以前に比べて、観て回る住宅会社/工務店の数が減っているということです。従って、「来場者数は少ないが受注は好調」という会社が多いのもそれを裏付けています。
しかし、ここへきて本格的に資材高が受注に直接影響し始めました。こうなると住宅営業は価格のことがますます気になり、「ご予算は?」と聞いてしまいたくなる気持ちはわかります。どのようなビジネスでもお客様を中心に考えることが大原則です。先ずは、お客様のお話になりたいことをしっかりお聴きするところからスタートして、これからの暮らしの新たな魅力について触発し、お客様自身に気づいていただくことが優先されます。

●モデル住宅での体感体験がMax資金計画の共有化を可能に

ご自身がこのモデル住宅に暮らすとして、という視点で「リアルな体感体験」が触発を生み、お客様は気づいておられなかったご自身とご家族の「実現したいコト」が鮮明化してきます。
新しい住まいで「実現したいコト」がいくつか気づかれるようになり、その数が増えると「予算内で実現可能なのか?」という思いが芽生えますので、お客様と「Max資金計画」を共有することができる環境が生まれます。

●Max資金計画は資金限度額の枠組み、予算は漠然とした心づもりの曖昧なもの

ご夫婦の年収等から概算ではじくとはいえ、Max資金計画はそれなりの根拠があり、お客様の最大の資金調達力を共有化することができます。
これが可能になる状況とは、お客様がご自身の住まいづくりについてモデル住宅で「実現したい暮らしに気づくこと」が必要条件です。
これに対して予算というのは、「こういう暮らしを実現したい」という根拠もない浮遊状態の「心づもり」です。同じ資金の話でも性質がまったく異なっています。「住宅営業にとって必要な資金情報はMax資金計画」です。

お客様の実現したいコトがどこまで可能なのか見通しを立てる

「気づき共感営業」でお客様の実現したいコトを触発しながら共感して新しい住いの具体的なイメージを共有し、どれくらいの施工面積に抑えければMax資金計画内に収められるのか、という見通しを立てながら収束方向を住宅営業は検討します。
一方、お客様は「ご予算イメージという曖昧状態では、「45坪くらいの家は出来そう」とお考えであったものが、おそらく35坪程度でしか建てられないということになってしまうのが、現状の建築資材高騰下の現実です。従って「予算で話を進めるとクラッシュしてしまい失注」というのが現在の状況です。

「これを実現しましょう」「ここまで実現できそうです」が落としどころ

そこで、「ご予算からMax資金計画へ」と視点を移して、Maxまで行かなくても「ここまで投資すればこういう暮らしが実現できますね」と「楽しい暮らし、心豊かな暮らしへの投資」視点でお客様と協議し、Max資金計画まで投資すれば「ここまで実現できそうです」という見通しを立てて落としどころをお客様と協議します。
触発し、気づきを与えて新しい住いでのお客様の暮らしを疑似体感体験でご理解いただきますが、ご判断されるのはあくまでもお客様です。どこまで投資可能かというMax資金計画と照らし合わせて、投資対効果を最終判断されるのはお客様です。高い次元でのいい意味での「妥協」を目指します。

●お客様は家で過ごす時間の長さに気づいていない

住いづくりは、今後の人生の質を上げる投資であるということ。特に人生の70%程度の時間を住宅で過ごすことになるという現実をお客様はご存じありません。
この長い時間の質を上げることへの投資は、「暮らしを楽しみ人生を楽しむ住まいの実現」につながることをお客様が最終的に住宅への投資規模を決める前に情報提供します。

まとめ

ご予算ベースで話を進めると「予算に収まらない」というトラブルが頻発します。原材料費が上昇し続ける局面ではよく耳にする敗退原因です。かといってコストリダクションにも限度があり、この状況下でお客様のご満足を引き出しながら最大限の資金も引き出すという住宅への魅力の付加と資金のコントロールが必要です。
30年ぶりの価格上昇局面です。気づき共感営業による触発で「予算発想からどこまで実現できるのかというMax資金計画発想」に視点を切り替えましょう。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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