質の高い時間は質の高い空間が創り出す

多くの方が1度は、経験したことがあるのではないでしょうか?
おしゃれなレストランやカフェ、少し良いホテルや自然に囲まれた旅館での癒される感覚を。

あの感覚を創り出しているのは、計算された人に癒しを与えるインテリアや照明計画などの空間構成です。
そんな特別な空間に毎日行ける人は多くないのではないでしょうか。

365日の特別な日以外の日数、毎日を過ごす住宅の質を見つめ直してみませんか?

人は、全員平等に時間が与えられています。
いくら資金余力のある人でも、時間を買う事は出来ません。
質の高い時間を過ごしても、質の低い時間を過ごしても、同じように24時間365日が過ぎていきます。
質の高さは、人によって種類も求めるレベルも異なると思います。

しかし、新型コロナウィルス感染拡大、ウッドショック、ロシア・ウクライナ戦争、円安などのここ数年の世界情勢の影響で将来に対する不安から、保守的な住まいづくりをされる方が増えているというのも事実です。

もちろん、将来生きていくのが苦しくなるほどに使ってしまうのは違うと思います。

しかし、同じ24時間365日を過ごすのであれば、ただただ「食べて寝て起きて」が出来るハコ(住宅)ではなく、もう少し資金をプラスしたり、ほんの少し工夫したハコ(住宅)で質の高い時間を過ごし生涯を全うませんか?

自分自身にとっての質の高い住まいづくり

たまに街を歩いていて、「こんな服着る人いるのかな?」なんて思った経験はありませんか?
それと同時に、「この人が着ている服すごいな…」と思った経験もあるのではないでしょうか。

つまり、自分にとっての普通や常識は、人にとっては普通ではなかったり非常識なんてことはよくあると思います。

しかし、今、あなたが行っている住まいづくりはどうでしょうか?
自分とは違う誰かが暮らしやすいと思っているモデルハウスを基本としていませんか?

前半に、おしゃれなレストランやカフェ、少し良いホテルや自然に囲まれた旅館のような癒される空間づくりの話をしました。
しかし、住宅で過ごす時間は、1/365日ではないのです。

自身が感じた癒される空間に対する感覚は大切です。
それは、色付けに使います。

その前に、自身の暮らし方や価値観を見つめた住まいづくりをした上で、ご自身が感じる癒しの空間に近いインテリアデザインや照明計画を反映させた住まいづくりを行いましょう。

キッチン1つをとっても異なる価値観

筆者は、父と母、姉と兄と筆者の5人家族です。

母の求める幸せをつくるキッチンは、子どもや孫も含めたみんなで料理を楽しめるアイランド型キッチンです。
姉は、料理をしている時は1人の大切な時間だからオープンなキッチンは好みません。
筆者は、料理を人にもてなすのが好きなのでアイランド型キッチンよりはバーやカフェのような、対面型キッチンやカウンター型キッチンで楽しい時間にしたいという価値観です。

同じ家庭で過ごした親子でも、これほどにキッチンに対する価値観が異なるのです。

つまり、デザインの好みや憧れは一先ず置いておいて、まずは求める暮らし方や価値観を基に住まいづくりをすることが大切だということです。

次に、その暮らし方や価値観に対応する空間づくりをするための、インテリアデザインや照明計画を行う事で、少しずつカタチが見えてきます。

この、モノ(住宅)を先に決めコト(暮らし)を合わせるのではなく、コト(暮らし)を先に明確にしたうえでモノ(住宅)をつくるのが、自分自身にとっての質の高い住まいづくりの方法です。

時代の変化に対応した質の高い住まいづくり

2007年にApple社から初めてiPhoneが発売されました。
そこから、様々な端末からスマートフォンが発売され、今やスマートフォン普及率は94%になりました。
※NTTドコモ モバイル社会研究所「2022年 スマートフォン・ケータイ所有に関する動向の調査結果https://www.moba-ken.jp/project/others/ownership_index.html

ここ15年で、時代は大きく変わりました。

人は、自分の経験から良いと感じていた経験は自身の子どもにもしてあげたいと思い、嫌だと感じていた経験は自身の子どもにはさせたくないという心理が働きます。
そのため、「自分が兄弟で同じ部屋だったから恋人との電話もまともに出来なかった」といった経験から、「広い1人で使える子供部屋を与えてあげたい」といったお考えをお持ちの方も少なくありません。

お父さんが出たらどうしようと怖がりながら恋人の家の電話にかけていた時代や、家の電話の子機を使って自分の部屋で恋人と長電話していた時代とも違って、今は各々がスマートフォンを片手に家族全員が揃うリビングで恋人や友達とやり取りが出来る時代なのです。

自身が子どもだった時代とは大きく変化しており、自身が嫌だと感じていたことも、今の時代では嫌だと感じなくなっていることは多々あるのです。

しかし、未だ「夫婦の寝室8帖と子供部屋6帖×2部屋とLDK。和室は検討中。」という、時代の変化に対応していない固定概念での住まいづくりになっていませんか?

また、内閣府の調査で、平成9年には共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回っていることが分かりました。
※内閣府「男女共同参画白書(概要)平成30年版 https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

お子様が学校から帰って来ても、誰もいないので自分の部屋ではなくリビングやダイニングで宿題をするという家庭がとても増えています。

つまり、家族全員が寝る時間以外はリビングで過ごしているということになり、6帖の子ども部屋は、ただ寝るためだけの空間となってしまっている上に、巣立った後は贅沢な空き部屋が残ってしまうというのも事実です。

ご家族の価値観にとって優先順位の高い時間はいつなのか。
その時間を過ごす空間はどこなのか。
そこではどんな暮らし方を行うのか。

と、ご家族の暮らし方や価値観を見つめることで、必要な部屋や必要な面積は変わります。

更に、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、働き方や家の中での過ごし方も一変しました。

今後も、時代は目まぐるしく変化し続けます。
住宅の概念も時代の変化と共に進化させ、時代に合った質の高い暮らしを取り入れていきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

質の高い時間は質の高い空間が創り出します。

しかし、質の良い時間というのは人によって異なります。
まず、自身にとってどんなコトをしている時間が自分にとって質の高い時間なのかを考え、次に、その時間を過ごす空間はどんなデザインやインテリアだと質の高さを感じるのか考えつくり出していきましょう。

合わせて、固定概念に縛られず、時代の変化に対応した空間づくりを行いましょう。

ご家族の暮らし方や価値観にあった質の高い空間づくりや時代の変化に対応した最新の質の高い空間づくりについては、是非当研究所にご相談ください。

info@housing-labo.casa

《執筆者》

一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香

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