良いダイニングをつくるためのポイント3選

住まいづくりの際に、ダイニング空間の計画は二の次になっていませんか?

リビングは明るい南側。キッチンは家全体を見渡せる場所。ダイニングは、キッチンの横か前。
そんなリビングとキッチンのおまけのように配置されるダイニングですが、実はお子様が成長するにつれて、塾や習い事、部活動などに忙しく、振り返ってみると朝食の時間だけが家族が全員揃う唯一の時間になっている家庭も少なくありません。

個々の部屋を作って、それぞれが好きなコトを楽しむことも大切ですが、そもそも住まいづくりの目的は、「家族が仲良く暮らす」ことにあったのではないでしょうか。

良いダイニング空間をつくる時のポイントを参考にご自身にとってベストなダイニング空間を考えてみましょう。

ダイニング

ダイニングは、食事をすることで体の健康をつくる場であり、会話することによって心の健康をつくる場でもあります。
今日学校や会社であった楽しかった事や辛かった事、子どもの成長、今週末の家族旅行の計画など、美味しいご飯を食べながら会話することは、家族のコミュニケーションには欠かせない時間です。

良いダイニングをつくるためのポイント3選

➀食事 ②仕事/勉強 ③多用途活用の3つのポイントに分けて考えていきましょう。

➀食事

■日常/非日常の使い方と使う人

食事の時間は、主に平日と休日で異なる可能性があるので、日常と非日常の使い方や使う人や人数を想定します。

例えば、メインは「ご主人様・奥様・娘様・息子様の4人」で、月に1回程度ママ友会があり「ママ4人と子ども8人」になり、更に年に3回程度親族が集まり「大人8人と子ども6人」になる。
と言った場合、日常的には4人掛けのテーブルと椅子で良いが、非日常な日には大人は座れるように8人が囲めるダイニングテーブルを置く必要があります。
また、ピザやパスタ、サラダやスープなど、様々なお料理でおもてなししたいという場合は大きめのダイニングテーブルにする必要があります。

デザインだけで選んだり、余った空間における家具を購入するのではなく、ご自身の暮らしに合ったサイズのテーブルを選択し、そのテーブルが置ける空間をつくるのが正しい住まいづくりです。

しかし、ここで注意しておきたいのが、非日常の1年(365日)の中で15日程度という頻度です。その15日がとても楽しみで大切な日のため大きなダイニングテーブルにするのか、拡大縮小出来るタイプのダイニングテーブルにするのか、リビングも合わせて使うから4人掛けのテーブルにするのかという目線で検討した上でダイニング空間に必要な面積を導きましょう。

■外部とのつながり/自然光の取り入れ(テーブル/部屋全体)

食事や会話を楽しむ際に閉ざされたダイニング空間で良いのか、外部空間(景色や植物/花)と繋がった心豊かな時間にしたいのかを考えます。

来客があった際に外のテラスで女子会をしたり、親族でBBQをするというようなことがあるのであれば、ダイニングキッチンからテラスへの繋がりも大切です。

「良いリビングをつくるための3ヶ条」の記事でも出てきましたが、人は明るい場所に集まる習性があります。
暗い部屋での食事は、同じ食べ物でも楽しく美味しい食事とは程遠いと思います。
そのため、家族が唯一全員揃う朝食の時間や大切な友人や親族を呼んでの食事の時間は「明るさ感」が重要です。
また、朝食の時間に朝日が入ってくるよう東側に窓を設けるなど、方角を考えた配置計画を行いましょう。

■照明(食事を美味しく見せる色/会話がはずむ照明器具デザイン)

ダイニンングの照明計画は、単純に灯りを取れば良い訳ではなく、食事を美味しく見せる効果や、会話がはずむ効果を取り入れる事が大切です。
そのためダイニングでの食事の時間は、ダウンライトやシーリングライトのように部屋全体を明るくする照明器具より、ペンダントライトやスポットライトのような、テーブルを照らし食事にスポットライトを当てたり、灯りで家族の視線を集める照明器具がオススメです。

■テーブルの素材

テーブルを購入検討する際は、デザインも大切ですが、冷え性な奥様や小さな赤ちゃんがいるご家庭は、素材が持つ熱伝導率も考慮しましょう。

木(0.12W/mk) < ガラス(1.00W/mk) < コンクリート(1.60W/mk) < 大理石(2.79W/mk)

②仕事/勉強

持ち帰り仕事や家計簿、宿題など、個室だけでなくダイニングでもしたいという方は、平日の夜や休日の昼などいつ行うのかによって、自然光がどれほど入って欲しいのか、食事の時間やまったりした時間に合う暖色系ではなく集中しやすい寒色系にも色温度を調整出来る照明器具にしたり必要照度が足りているのかを考えておく必要があります。
更に、仕事内容や今後の学習に対応しようとするとコンセントなどの電気配線計画やLAN/Wi-fi計画も重要です。

③多用途活用

日本のダイニングテーブルは比較的コンパクトで、食事をすることをメインに考えられているケースが多く見受けられますが、海外では大きなダイニングテーブルにして、お菓子作り、ものづくり、工作、お絵かき、読書、おしゃべりなど多用途に活用楽しんでいる国もあります。

1つの可能性だけでなく、視野を広げて多用途に使えるダイニング空間にするのはいかがですか?

まとめ

ダイニングは、テーブルサイズやデザイン、椅子の数や形状という家具の事しか考えていないケースが多く見受けられますが、実は家族の体と心の健康のためにとても重要な空間です。

ご自身は、家族や友人とどのように食事を楽しみたいのか、またその他にダイニングでどんな暮らしを楽しみたいのかを「良いダイニングをつくるためのポイント3選」を基に考えてみましょう。

《執筆者》

一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香

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