初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション―②

初回のプラン提示でお客様にご納得いただく為のプレゼンテーションについて、前回は、何故お客様に初回のプラン提示でのプレゼンテーションがご納得いただきにくいのかについてと、お客様に伝わりやすいプレゼンテーション資料の見え方について解説しました。

図面から空間を読み解くことは、住宅建築のプロでも難しいことです。プレゼンテーションでは住宅建築の素人であるお客様でもパッと見てわかる工夫をしていく必要があります。
まだお読みでない方は前回の記事をご確認ください。

【参考記事】初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション-①

二回目の今回は、お客様にご納得いただくために、そして、契約をいただくために必要な判断基準を正しくお伝えできるのか、について取り上げます。お客様の暮らしを理解し、実現したお客様の暮らしの重要ポイント『暮らしの重心』が伝わるプレゼンテーションと「家族」「夫婦」「個人」の重視ポイントの実現したいことが見てわかるプレゼンテーション資料について解説します。

Contents

住宅営業のプレゼンのコツ

次アポを取るための「とりあえずプランをお持ちします」のプレゼンテーションは、プラン修正の回数が増えるばかりか、最終的に他社に流れる可能性が高く、おすすめできません。ましてや、建築資材の価格が上昇し、自社の対象となる客層が上位客層にシフトした現在は、平面図や立面図をそのままお見せするプレゼンテーションでは、お客様が理解しがたいという難点があります。

完成したプランより大切なこと

プランプレゼンテーションは、お客様がお住まいになる住宅にもよるのですが、大多数の場合、プランそのものの説明よりも大切なことがあります。

お客様にとっては、新居の住宅というモノの説明よりも、そこでご家族とどのように過ごせるかの方が重要です。したがって、プレゼンテーションは、完成したプランの説明するために、ご要望の間取りや設備や仕様が予算内でどこまで採用できたのかご報告するためだけのものではありません。また、お客様が感じる魅力は、人それぞれです。そのため、自社が考える住宅の魅力や特長を書き並べているだけでは、お客様にとって魅力的には映りません。お客様をご案内した際の様子や会話などの反応から、高い興味関心を持たれたことをプレゼンテーション時に訴求します。

例えば、お客様が「冬でも暖かい家」に関心を持たれていた場合、「断熱等級5の快適さ」と訴求するよりも「寒い冬でも裸足で過ごせる暖かさ」とメリットを手に入れた先に「どんな未来が待っているのか」を訴求した方が、お客様にとっては分かりやすく理解や納得が得られやすい訴求です。そして、お客様が望まれていた暮らしをどう実現できたのか、また限られた土地、予算の中で採用できた項目とできなかった項目はどのような基準で判断したのか、ということをお伝えすることが大切です。
この時の採用基準で重要なことは、土地や予算の制限の中、比較的採用しやすいモノか採用したということではなく、お客様の暮らしの重心を理解した上で判断できたのかということです。

「住宅建築のプロが、自分たちを理解してくれた上で適切なものを採用してくれたのだ」、ということがお客様に伝わるような、自社住宅特長ではなく、お客様メリットという「暮らしの重心」を伝えるプレゼンテーションを行うことがポイントになります。

暮らしの重心が伝わるプレゼンテーション

お客様の『暮らしの重心』とは何かを説明します。

・お客様ご自身とご家族は何を大切にされているのか
・暮らしの中で効率的に暮らしたいとお考えなのか
・のんびりした暮らしを望まれているのか
・家族との時間をどのように過ごされようとしているのか

などの、ご家族それぞれとの関係で大切にされている時間はどのような時間かなど、お客様のご家族が暮らしの中で今大切にされていることや時間、新しいお住いでしたい暮らしなどのことです。お客様の「何を一番に考えておられるのか」という「暮らしの優先順位」を住宅営業が理解していることが、お客様の『暮らしの重心』を把握できているということです。お客様の『暮らしの重心』を理解して、土地や予算内でできる範囲で採用した結果のプランや仕様/設備だということが伝わると、お客様にご納得いただけるプレゼンテーションになります。

初回プレゼン前に押さえておきたいお客様情報

現在は、住宅の耐震性/温熱環境/空気環境などの住宅の性能の違いよりも、住宅を手に入れることによって得られる「楽しい暮らし」が住宅購入の決め手になっています。お客様ごとに異なる「楽しい暮らし」を理解してプレゼンテーションできると受注につながります。

欲しい理由を理解する

お客様は、「充分な収納スペースがある家が欲しい」などの現状の暮らしで不便に感じたり不満になっていることを解消するためのご要望はお持ちですが、「充分な収納スペースが欲しい理由」を明らかにしないままプラン作成に進み、プレゼンをした場合、競合他社との大きな魅力の違いが見えずらくプラン修正を重ねた上に失注してしまう可能性があります。
例えば、家族全員で釣りに行って楽しむため、釣り関連のモノの収納場所を確保したいという理由で「充分な収納スペース」を望んでいらっしゃることが分かれば、お持ちになっている釣り竿や疑似餌など、他の道具類のサイズや数をお聴きし、外部収納が良いのか、道具類をメンテナンスする場所は必要なのかなど明確にします。ご要望がわかれば、収納のしかたやサイズ感などの画像を入れ込んだプレゼンテーション資料で未来の楽しい釣りライフを「魅せる」と、お客様の自社での住宅購買意欲を触発でき、受注につながります。

「暮らしを心豊かなものに」がベース

「お客様の心豊かな暮らし」という「暮らしの重心」をベースにして、お客様の「欲しい理由」を理解します。住むことで何を楽しみたいのか、楽しみは何なのかというお客様の価値観やお考えに基づく新しい住まいで実現したいコトをお客様中心に考えることが大切なポイントです。

初回プレゼンテーション資料の内容

住宅営業のプレゼンテーションのコツは、お客様の楽しい/幸せな未来を具体的に想像させるのが大切なポイントです。平面図や立面図などの図面では伝わりにくいことを、お客様に実感をもってご理解いただくことが重要です。

暮らしの重心が伝わる資料

ここで前回の記事でもご紹介しました、プレゼンテーション資料の見た目も大切になります。
人間が受け取る情報は、目から8割、耳から2割とも言われています。言葉によるやり取りだと齟齬が生じ、意思疎通に誤解が生じる可能性が高くなりますので、目に訴えるプレゼン資料を作成することが大切です。
目に訴えるプレゼン資料とは、画像や動画を駆使したものを言います。例えば、平面図に「お子様と今日の出来事を聴いたり話したりしながら料理ができるキッチンです」と活字だけで見せるよりも上図のような画像と一緒にお見せする方が理解度や期待度が高くなります。
つまり、お客様がパッと見てわかる資料で、お客様の『暮らしの重心』が伝わる資料を作成することが、プレゼンテーション成功のポイントのひとつです。

上の図のお客様は共働きで、出勤時間もご主人様と奥様が同じ時間です。
ご夫婦の寝室から洗面室へのアクセスも良く、二階にも洗面室を設けることで洗面室での朝の渋滞も起きません。
朝起きてから出勤するまでの時間を、いかに効率的に日々こなせるのかということがパッと見てわかるように書いています。

休日にはご夫婦とお子様で一緒にランチを一緒に作ることを楽しみにされています。家族全員で一緒に食事を作る為にアイランドキッチンを採用し、ダイニングテーブルと高さを同じにすることで全員で作業をするのに十分なスペースができ、家族一緒にランチづくりを楽しめる工夫をしています。

お客様の予算をどこにいくら配分したのか、お客様の『暮らしの重心』を理解した上で、ここにこれだけ掛けましたということをお伝えできると、図面でご説明してこのプラン、この仕様でこの価格ですとお伝えするよりも格段に、お客様のご納得度が上がります。
大切なお客様の予算をどこにどれだけ使ったのかは、お客様の『暮らしの重心』で判断したということをプレゼンテーションしましょう。

【参考記事】伝わる資料作成のポイント

ご家族、ご夫婦、個人それぞれの重要ポイント

お客様の『暮らしの重心』を理解してお伝えするプレゼンテーションを、さらにわかりやすくお客様にお伝えする資料として、ご家族、ご夫婦、個人それぞれの重要ポイントを掘り下げてお伝えできる資料があると便利です。

例えば、ご夫婦の重要ポイントとして、ご夫婦お二人の過ごし方として週末に子様を寝かしつけてからお二人で晩酌の時間を取るようにされており、新居ではこの時間をもっと楽しみたいとお話をされているお客様には、ご夫婦がダイニングでつまみを食べながらやリビングからお庭を見たり、映画を見ながらお二人で晩酌の時間を楽しめる工夫をしたプレゼンテーションも良いでしょう。

このように、ご家族全員での重要ポイントだけでなく、ご夫婦や親子、個人での重要ポイントについても誰と誰が、どこでどのように過ごすための工夫をしているのかを、口頭での説明だけでなく、具体的な暮らしのシチュエーションをお見せすることで、新たなお住いでの暮らしをより想像しやすくするプレゼンテーション資料づくりができると、お客様の納得度がさらに上がります。

プレゼンの練習をする

お客様の様子を見ながらプレゼンを進めるのが基本です。
ご自身では「できている」と思っていても、客観的に見ると、プレゼン資料ばかり見てプレゼンをしている場合がありますので、上司や同僚にチェックしてもらったり、練習の様子を撮影してチェックしたりすることをおすすめします。

まとめ

今回は、初回のプラン提示でお客様にご納得いただくためのプレゼンテーションについて、シリーズの二回目としてお客様の暮らしを理解し実現したお客様の暮らしの重要ポイント『暮らしの重心』が伝わるプレゼンテーションと「家族」「夫婦」「個人」の重視ポイントの実現したことが見てわかるプレゼンテーション資料について解説しました。

お客様のご予算をどこに、どのように使ったのか、間取りや仕様/設備を見せられても、お客様は判断がつきません。限られた土地、予算の中でお客様の『暮らしの重心』で優先順位をつけてその実現の為にそこにいくらかかったのか実現したことが伝わるとご納得いただけお客様に必要、不必要のご判断をいただくことができます。また、ご家族、ご夫婦、個人の重点ポイントについても具体的な暮らしのシチュエーションが見えると、新居での暮らしが想像できご納得していただきやすいプレゼン資料作りができます。お客様もよくわからないプレゼンテーションでは、面積や仕様の価格を比較でしか判断ができません。お客様の土地や資金がどのように使われ何を実現できたのかが伝わるプレゼンテーションがポイントです。また、初回プレゼンテーションで、お客様の楽しい/幸せな未来を具体的に想像していただくために、新しい住まいでの暮らしのシーンが見える画像を使用します。また、住宅営業は、プレゼン前に、表面化/潜在化しているお客様の「欲しい」理由を理解しておくことが大切です。「お客様の心豊かな暮らし」を実現するためのプレゼンテーションであることが伝われば、初回プレゼンで決めることが可能になります。

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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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