初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション―②

初回のプラン提示でお客様にご納得いただく為のプレゼンテーションについて、前回はお客様に初回のプラン提示でのプレゼンテーションがご納得いただけにくいのかについてと、お客様に伝わりやすいプレゼンテーション資料の見え方について解説しました。

図面から空間を読み解くことは、住宅建築のプロでも難しいことです。
プレゼンテーションでは住宅建築の素人であるお客様でもパッと見てわかる工夫をしていく必要があります。
まだお読みでない方は前回の記事をご確認ください。
https://www.housing-labo.com/design/post-1453.html

二回目の今回は、お客様にご納得とご契約をいただくために必要な判断基準を正しくお伝えできるのか、2つの項目を取り上げます。
お客様の暮らしを理解し、お客様が実現したい暮らしの重要ポイント『暮らしの重心』が伝わるプレゼンテーションと「家族」「夫婦」「個人」の重視ポイントの実現したいことが見てわかるプレゼンテーション資料について解説します。

Contents

完成したプランより大切なこと

プラン作成は、お客様のお住いの建築に関わるものではありますが、それより大切なことがあります。
お客様にとっての新居である「住宅というモノ」よりも、そこでご家族とどのように過ごせるかの方が重要です。
したがって、プレゼンテーションは完成したプランの説明するための、お客様のご要望の間取りや設備や仕様が予算内でどこまで採用できたのかご報告することではありません。

お客様が望まれていた暮らしをどう実現できたのか、また限られた土地、予算の中で採用できた項目とできなかった項目はどのような基準で判断したのか、ということをお伝えすることが大切です。
この時の採用基準で重要なことは、土地や予算の制限の中、比較的採用しやすいモノから採用したということではなく、お客様の暮らしの重心を理解した上で判断できたのか、ということです。

住宅建築のプロが、自分たちを理解してくれた上で適切なものを採用してくれたのだということが、お客様に伝わるプレゼンテーションが大切です。

暮らしの重心が伝わるプレゼンテーション

お客様の『暮らしの重心』とは何かを説明します。

・お客様ご自身とご家族は何を大切にされているのか
・暮らしの中で効率的に暮らしたいとお考えなのか
・のんびりした暮らしを望まれているのか
・家族との時間をどのように過ごされようとしているのか

などの、ご家族それぞれとの関係で大切にされている時間はどのような時間かなど、お客様ご自身とご家族が暮らしの中で、今、大切にされていることや時間、新しいお住いでしたい暮らしを理解して、何を一番に考えておられるのか優先順位を共有しているということが、お客様の『暮らしの重心』を把握できているということです。

お客様の『暮らしの重心』を理解して、土地や予算内でできる範囲で採用した結果のプランや仕様/設備だということが伝わると、お客様のご納得いただけるプレゼンテーションになります。

暮らしの重心が伝わる資料

ここで前回の記事でもご紹介しました、プレゼンテーション資料の見た目も重要な要素の一つです。
お客様がパッと見てわかる資料で、お客様の『暮らしの重心』が伝わる資料を作成します。

上の図のお客様は共働きで、出勤時間もご主人様と奥様が同じ時間です。
ご夫婦の寝室から洗面室へのアクセスも良く、二階にも洗面室を設けることで洗面室での朝の渋滞も起きません。
朝起きてから出勤するまでの時間を、いかに効率的に日々こなせるのかということがパッと見てわかるように書いています。

休日には、ご夫婦とお子様で一緒にランチを一緒に作ることを楽しみにされています。
家族全員で一緒に食事を作るためにアイランドキッチンを採用し、ダイニングテーブルとアイランドキッチンの高さを同じにすることで全員で作業をするのに十分なスペースができます。
家族一緒にランチづくりを楽しむ工夫です。

お客様の予算をどこにいくら配分したのか、お客様の『暮らしの重心』を理解した上で、ここにこれだけ掛けましたということをお伝えできると、図面だけを使って「このプラン、この仕様でこの価格です」と説明してお伝えするよりも、格段にお客様のご納得度が上がります。
大切なお客様の予算をどこにどれだけ使ったのかは、お客様の『暮らしの重心』で判断したということをプレゼンテーションしましょう。

ご家族、ご夫婦、個人それぞれの重要ポイント

お客様の『暮らしの重心』を理解してお伝えするプレゼンテーションをさらにわかりやすくお客様にお伝えする資料として、ご家族、ご夫婦、個人それぞれの重要ポイントを掘り下げてお伝えできる資料があると便利です。

左の図のご夫婦は、暮らしの重要ポイントが、週末の夜にお子様を寝かしつけてからご夫婦お二人で晩酌の時間を取ることです。
新居ではこの時間をもっと楽しみたいとお話をされています。
ご夫婦がダイニングでつまみを食べながらリビングからお庭を見たり、映画を見ながらお二人で晩酌の時間を楽しめる工夫をしています。

このように、ご家族全員での重要ポイントだけでなく、ご夫婦や親子、個人での重要ポイントについても誰と誰が、どこでどのように過ごすための工夫をしているということが分かります。
口頭での説明だけでなく、具体的な暮らしのシチュエーションをお見せすることで、新たなお住いでの暮らしをより想像しやすくするプレゼンテーション資料づくりができると、お客様の納得度がさらに上がります。

まとめ

今回は、初回のプラン提示でお客様にご納得いただくためのプレゼンテーションについて、シリーズの二回目としてお客様の暮らしを理解し実現したいお客様の暮らしの重要ポイント『暮らしの重心』が伝わるプレゼンテーションと、「家族」「夫婦」「個人」の重視ポイントの実現したことが見てわかるプレゼンテーション資料について解説しました。

お客様のご予算をどこに、どのように使ったのか、間取りや仕様/設備を見せられても、お客様は判断がつきません。
限られた土地、予算の中でお客様の『暮らしの重心』で優先順位をつけてその実現のために、そこにいくらかかったのか実現したことが伝わるとご納得いただけお客様に必要、不必要のご判断をいただくことができます。

またご家族、ご夫婦、個人の重点ポイントについても具体的な暮らしのシチュエーションが見えると、新居での暮らしが想像でき、ご納得していただきやすいプレゼン資料作りができます。

お客様もよくわからないプレゼンテーションでは、面積や仕様の価格を比較でしか判断ができません。
お客様の土地や資金がどのように使われ何を実現できたのかが伝わるプレゼンテーションを実現してください。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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