受注歩留まり率を高める住宅営業とは

「なかなか受注ができない」と日々あの手この手と対策を考えながら営業活動をしているかと思います。
数多くのお客様に営業活動をして、その中から反応の良いお客様の受注を目指すのは、人口減少の時代には厳しい方法です。また、エンドユーザーが求めるモノ/コトが従来とは変化しており、従来発想の広告訴求での来場者の増加は期待できませんし、いつもの接客と営業内容でお客様と対応しても受注は上がらないと思います。ところが受注が上がらない原因は「来場者数の減少」ということで自己納得してしまい「集客減だから受注減、現状維持ならましな方」という「発想の負のループ」に入ってしまいます。

「集客」と「営業方法」の発想転換が必要です。

限られた見込客から受注の確率を上げることができれば、集客数が少なくても受注棟数は確保できます。
今回は、受注歩留まり率を上げる住宅営業について考えてみます。

Contents

受注できない原因①

1980年前後を境に、日本人の価値観が「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」が上回りました。現在では、「心の豊かさ」が「モノの豊かさ」の2倍程度に増えています。
以前から「モノからコトへ」と言われていますが、住宅業界は性能・構造などを訴求する「モノの豊かさ」に偏重しています。
「欲しい」判断基準がモノからコトへと変化しているのに、モノ(住宅というハコ)で優位性を得ようとしても、そもそも、お客様がモノに対して大きな関心を示さない現在、モノ偏重の営業ではなく、コトに注力した営業に改めるべきです。

受注できない原因②

収納を充実させたい、広いリビングが欲しい、部屋数が足りないなどのご要望をおっしゃたとして、「ここにも収納を作りましょう」「リビングは何帖がご希望ですか?」「ご希望の部屋数は?」など、表面的なご要望をお聞きすると、最初はお客様も喜んでくださいますが、他社と比較されるとプランに大きな違いが見えなく、結局「同じ値段でA社の方が広いから」などの理由で失注することもあります。お客様のご要望の背景にある「欲しい理由」をお聴きしていないことが原因です。

受注歩留まり率の上げ方

「お客様の住まいづくりに役立つ」視点で営業活動をすることがポイントです。
「お客様のために良い性能の住宅を」というのもわかりますが、現在のお客様は「コト」を重視していますので、お客様が求めている「コト」は何かをお聴きして、これに対して情報提供することが重要です。

新しい住まいでの暮らしが基点

「新しい家が欲しい」「暖かい家が欲しい」「収納たっぷりの家が欲しい」など、一般的に「暮らし」には目が向いていないお客様がほとんどですので、この言葉に引きずられて「○LDKくらいが良いですか?」など、表面的なヒアリングに入り、「高性能住宅です!」とアピールするのではなく、「お客様へこれからの暮らしで実現したいコトを触発」して「その反応を見て判断する」ことで「お客様の住まいづくりの目的をご一緒に考える」ところから始めます。
「家族で仲良く暮らしたい」「ペットを飼いたい」など、暮らしの中の漠然としたコトを具体的にしていきます。
どうすれば実現できるのか、どのレベルで実現したいのかをお客様と一緒に考えます。

人生を心豊かなものに

「お客様の幸せ」という「ユーザーメリット」の情報提供が住宅営業の仕事です。
お客様の建築与条件の範囲内で最大の満足をしていただくためにどうすればよいのかを考えることです。
こうした、お客様の幸せを中心に置いた住宅営業は、受注歩留まり率が上がります。
「モノ営業からコト営業」への転換です。

集客と営業は量から質へ

「自社の狙いの客層の暮らしを触発」する「新規来場者の質を伴った『集客イベント』で集客」と「このイベントへ来場されたお客様を100%受注(資金計画さえ合えば)」するという「量から質へ」の発想転換が必要な時期に差し掛かっています。

求められているコトに応える住宅展示場や見学会での集客イベント

「『モノ』から『コト』へ」の実践が、住宅業界にも必要な時代です。

「家」という「モノ」が主役ではなく、その家で行われる「コト」が主役の「ときめきの暮らし」イベントで集客します。この集客イベントでは、「ときめきの暮らしの見えるセッティング」がポイントです。人物も入れて暮らしの見える化で「ときめきの暮らし触発力」を発揮させます。

「ときめきの暮らしに気づく」という発想の集客策は、お客様にとって住宅購入は「住宅というハコ」という「モノ」を購入することなのかという「本質的な問い」を含んでいます。つまり、お客様が生涯に亘って「ときめく暮らしを実現」するために「住宅へ投資」することこそが「本質の住まいづくり」という視点の集客策です。

「モノ」から「コト」へと集客の視点を変えてこんな暮らしが実現できるという「暮らしが見える」触発イベントを企画します。女子力の高い社員を中心にイベント企画を進めます。女子力が高いのは必ずしも女性だけではありません。女子力の高い男性も多くいらっしゃいます。そういう意味では確かにジェンダーレスの社会は当たり前化しています。「暮らしの見える」触発イベント企画は社内の隠れた才能を発見するチャンスでもあります。

「光と風とグリーン」関連イベントは人気

お客様のことを考えると「ときめきの暮らしに気づく」能力はジェンダ―レスとは言うものの、奥様の方が「暮らし感度」は高いと言わざるを得ません。
そこで、奥様の「ときめきの暮らしに気づいていただく要素」で多いのが、「光と風とグリーン」という要素からイベント企画を組み立てます。

集客数は少なくても良い

週末2日間で新規来場者の予約が2件でも3件でもOKです。
「ときめきの暮らし」に気づいていただけたら受注に大きく前進します。
慣れてきてツボを掴めば、毎月手を変え、品を変えの発想でイベントを実施できるようになり、この手のイベントでの展示場単位のチームとして年間で24件程度まで受注をプラスすることが期待できです。

求められているコトに応えると、受注歩留まり率80%

お客様の「ときめきの暮らしを実現する営業」ですから受注歩留まり率80%程度を狙います。お客様と営業が同じ方向で考えて実現する、お客様にとって楽しくストレスフリーの住宅営業方式です。
ここでも営業の女子力が問われます。
他業界では実現していながら、住宅業界では、なかなか実現できてこなかった「『モノ』売りから『コト』売りへの転換」です。

営業政策の転換

「『モノ』売りから『コト』売りへの転換」は、目的ではなく手段です。
「量から質への営業体質の転換」が本当の目的です。

少ない見込客数の中から確実に受注するという「『受注歩留率』をどう上げて行くか」という営業の視点の転換です。「お客様の暮らしを中心に考える」という基本的な考え方が納得した腹落ちしていることが前提条件です。
新たな注文住宅事業は「お客様のいいなりにならず」お客様が気づいていない「ときめきの暮らし」を「触発して気づいていただく」ことから始まります。

まとめ

現状の住宅営業には、自社住宅の耐震性能、温熱環境や換気システムといった自社住宅の特長の話をして他社より優位な状況を作ろうとする傾向がありますが、この方法は、心豊かな暮らしを求める現在のお客様のニーズから離れており、魅力的に映りません。
モノの豊かさからコトの豊かさへ変化したお客様への対応が必須です。
「高性能の家(モノ)がもたらす心豊かな暮らし(コト)」という営業活動がお客様のためでもあり、受注歩留まり率が上がる住宅営業です。
また、集客難でもある現在は、「少ない見込み客でも確実に受注につなげる」という受注歩留まり率を上げることが大切です。
今一度、住宅営業スタイルの見直しをおすすめします。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する、スピード感のある住宅営業手法をご用意しています。
自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の5分野からなる住宅営業サポートです。

是非ご活用ください。

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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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