住宅会社/工務店のSNSでの情報発信セオリーとは

現在、住宅会社/工務店の集客方法として、SNSでの情報発信は非常に活発に行われています。
20代後半から30代前半までのセンスのいい客層にアピールするには「Instagram」、30代後半から40代前半までの自身の暮らしへの考え方をお持ちの客層へは「Facebook」を活用するなど、ターゲット層に応じたフォーマットの活用も進んできています。

狙いのターゲット層の分析や自社特徴を分かりやすく伝えるための写真の撮り方など、SNSを活用する手法も皆様よく勉強されています。
ただ、SNSを活用する住宅会社/工務店が増えていることもあり、おしゃれな外観、かっこいいデザイン性、かわいいインテリアの情報発信は非常に数が多く、似たような情報や画像が溢れています。

今回はSNSを活用し自社モデルハウスやイベントにご来場いただくために、他社との明確な差別化をするための情報発信内容を解説していきます。

Contents

お客様を触発する情報発信

SNSで何を発信すれば他社との差別化ができるか。
まずは現状のSNSで発信されている内容の分析をしていきましょう。
これから住宅建築の検討を始められるお客様が、SNS上で情報収集をされる際、おしゃれ、かっこいい、かわいい写真を見てご自身も「こんなかっこいいインテリアの家に住みたい」「このかわいいキッチンを新居で作りたい」と触発を受け、住宅を検討される際に「この会社を見に行ってみようか」と思われます。

その後、検討を進めていく段階で、住宅の中身について情報収集をするため、どんな住宅会社か信頼ができるのかを知るために、その会社のSNSで会社の雰囲気や現場などの情報を収集されます。

このお客様を触発して行動に繋げるということが、SNSが住宅事業の集客に非常に効果がある部分であり、会社の信頼獲得に日々のSNSでの情報発信は役立っています。

ただし、集客の面で、いわゆる「映える」住宅の画像での情報発信はSNS上で溢れており、競合他社との差別化がしにくくなってきています。

ポイントは暮らしの多様化で変化する住宅の使い方

情報発信における他社との差別化のポイントは、住宅は日本人の暮らしの多様化によって家族毎に違った使われ方をするようになってきたということです。

例えばダイニングの使い方は従来食事をする場所でした。
今はダイニングに求められる機能も多様化しており

・ダイニングソファーでくつろぐ場所
・子供たちが勉強する場所
・リモートワークをする場所
・夫婦のコミュニケーション場所

など、様々な使われ方をしていて、従来のようにダイニングテーブルと人数分の椅子を配置するだけでなく、それぞれに求められる機能も違ってきています。

このような、お客様がまだ知らない新たな暮らし方に関するSNSでの情報発信は、お客様を触発し集客する使い方にマッチしています。

住宅の新たな使い方を触発する情報発信

新たな暮らし方をSNS上でどのように発信していけばいいのか。
従来のように外観やインテリアの写真を載せるだけでは伝わりません。

先ほど例に出しましたダイニングの使い方でくつろぐダイニングについて情報発信を行う場合、ダイニングソファーの写真を載せただけでは、ただのインテリア写真になってしまい新たな暮らし方の触発はできません。
暮らしが見える情報発信をしていく必要があります。

ポイント① 人物が入った画像

ダイニングでくつろいでいる家族が映っている必要があります。

ポイント② シチュエーションが見える

ダイニングソファーに座っているだけでは、ただの家族写真です。
テレビを見ながら会話をしていたり、読書をしていたりとダイニングでくつろいでいるシチュエーションを見せることが大切です。

暮らしのシーンが具体的に見えて「自分もこういう暮らし方をしてみたい」と思える画像が効果的です。

新たな暮らし方が見えるSNSでの情報発信で、「こんな暮らしをしてみたい」と触発されると従来と違った角度からの集客が可能になります。

暮らしに触発されて来場されるお客様は来場時の反応が違う

SNSでの情報発信で、他社との差別化が可能な新たな暮らし方を発信する手法は、集客だけでなくお客様が来場される時も反応が違います。
住宅建築の検討を始められるお客様がモデルハウスや見学会に初めて来場される時は、住宅について情報収集をしに来られます。
そこから来場や面談を重ねていくうちに徐々にご自身の住まいづくりについて考え方を整理されていきます。
初めから新居でどんな暮らしがしたいのかを明確に持っているお客様は、まずいらっしゃいません。
新たな暮らしに触発をされて来場されるお客様は、「こんな暮らしをしてみたい」と新居での暮らしを具体的に持ってきていただけます。
これまでは何回も来場と面談を重ねてようやくぼんやりと見えていた新居のカタチを、最初から具体化したイメージを持って来場していただくことが可能になり、住まいづくりのステップをスムーズに行うことができます。

まとめ

住宅業界でのSNSの活用が進み、「映える」画像での集客は他社との差別化が難しくなってきています。
新たな暮らしでお客様に、「こんな暮らしをしてみたい」と触発を与え、来場していただく手法で今までとは違った角度での集客が可能になります。
また、具体的な新居での暮らしのイメージを持って来場していただける集客手法は、これまでお客様に新居での暮らしのイメージを持っていただくまでに時間が掛かっていたところを、初来場時からしたい暮らしのイメージを持ってきていただくことが可能になります。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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