「消費」から「投資」への意識変化が受注へのカギ

「建設資材価格が2カ月連続下落」と経済調査会から発表されました。
とはいえ、数年前に比べ住宅の価格が数段アップしている現在、コストダウンなどの企業努力だけでは対応しきれない状況です。
この難局を乗り切り、注文住宅事業を安定継続させるための従来とは異なる考え方の住宅営業について考えてみます。

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変化しなければ倒産する?

建設業の2023年4月の販売不振などの不況型倒産件数は、前年同月の61件から112件となっています。
他の業種に比べ最も多い倒産件数です。
業種問わず物価高による倒産はハイペースで増加中で、今後も高水準で推移していくと予想されます。
最も高額な商品と言っても過言ではない住宅だから影響を受けやすいということもあると思いますが、価格に見合う魅力が感じられないということも原因の一つと考えます。
お客様が「事前に収集した価格に関する情報や感覚」が「現時点の建築費」とのズレが生じているため、お客様との接客時の対応方法を変える必要があります。

注文住宅業界の「消費」と「投資」の違い

「消費」は、生活していくうえで必要な出費で、「投資」は、使ったお金以上の価値を得られる状態のことを言います。
「消費」であれば「できるだけ安く」、「投資」であれば「価値に見合ったお金を支払う」という考え方がお客様の心理です。
現在、多くの工務店/住宅会社の住宅営業は、お客様に「消費」と受け取られる対応で営業を進めているため不振に陥っています。

注文住宅の「消費」とは

「冬の冷えを解消する家」、「今よりも収納を充実させた家」「家事が楽になる動線の家」などは、お客様の現在のお住まいの不満を解消し、快適に生活できる住宅です。しかしながら、お客様も住宅営業担当者も意識はしていませんが、このような不満を解消する住宅は、生活していくうえで必要な「消費」であり、「できるだけ安く」という想いが双方にあります。

注文住宅の「投資」とは

「暮らしを楽しみ人生を楽しむ住まい」を軸に、新築時の嬉しさだけでなく、暮らし始めてからの心豊かな人生を楽しむ住まいが「投資」であり、価値に見合ったお金を払っていただけます。

表面的なご要望を叶えるだけでは「消費」になる

「広いリビングが欲しい」お客様に「広いリビングで何を楽しみたいのか」をお聴きせずに、「では○○帖ではどうですか?」とプラン作成に必要な情報を決めていくような方法では「消費」になってしまいます。
「お客様のご要望通り」なことには間違いないのですが、「広いリビングが欲しい理由」をお聴きして、これに対応していくことが「投資」になる営業と言えます。

「投資」になる住宅営業とは

「投資」になる住宅営業は、お客様の「暮らし」、「楽しみ」を明確化/具体化していくことです。

例えば、「リビングで子どもの宿題を一緒にしたい」ことが広いリビングが欲しい理由の場合と「子供が遊ぶスペースが欲しい」場合では、リビングのあり方が変わってきます。
子どもと一緒に宿題をしたい場合では、大きなテーブルが必要になるかもしれませんし、宿題スペースを設けた方が良い場合もあります。
お子様が体を動かして遊ぶのか、ゲームなどで遊ぶのかによっても変わってきます。
「誰と」、「どこで」「何を」するのかによって最適なリビングは変わってきますので、ここを明確化/具体化していくと「暮らしを楽しみ人生を楽しむ住まい」になり、本当の意味での価値ある注文住宅として「投資」してくださいます。

まとめ

販売不振での倒産を回避し、注文住宅事業を安定継続していくためには、お客様には注文住宅を「暮らしを楽しみ人生を楽しむ住まい」への「投資」として捉えていただくことが重要です。
表面的なご要望を叶えるのではなく、そのご要望の根底にある理由を明らかにして、「楽しい暮らしの実現」のための住まいづくりであることを認識していただくと、「できるだけ安く」という消費から、価値あることには対価を支払う「投資」に変化し、物価高の難局も乗り越えていくことが可能になります。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する住宅営業手法をご用意しています。新人でも短期間で修得可能な「いい暮らし実現営業」、他社従来営業とは大きく差別化した“この家が欲しい”を引き出すコミュニケーションができる「気づき共感営業」、ハイエンド層のお客様に対応可能な「暮らし触発営業」などです。また、住宅事業を安定継続/発展するための、「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の分野からアプローチする注文住宅事業の「総合ビルドアップサポート」やコンパクトな工務店様・住宅会社様の住宅事業をサポートする「住宅営業ゼミ」をご用意しています。

是非ご活用ください。

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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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