住宅展示場や見学会の少ない来場者から確実に受注する方法

住宅展示場や見学会への来場者数が減少したことを嘆いても始まりません。
新規来場者数の減少も是とした上で受注を如何に上げていくのか、という発想が営業の考え方です。
住宅営業担当の各人がすぐに取り組める内容の具体策をいくつか考えてみましょう。

住宅展示場や見学会への来場者が極小となった場合は、「来場されたお客様で資金計画が成り立てば全て受注する」が住宅営業の考え方です。

これを実現するためには、お客様とのコミュニケーション力という営業の基礎スキルの見直しから始めます。

Contents

お客様が発信されている情報を全て受け取る

住宅展示場や見学会にご来場されるお客様の個性は様々です。

・積極的にお話をされる方
・無口な方
・せっかちな方
・おっとりされている方

など多様な方々がご来場されます。

「少ない住宅展示場や見学会へのご来場者から確実に受注する」ための1丁目1番地は、お客様が発信された情報をすべてキャッチすることです。
「お客様から発信される情報」の「耳からの情報」はわずか5~20%です。
残りの大半は「視覚から伝わってくる情報」です。


また、コミュニケーション力の中で会話が占める割合は5~20%程度に留まっています。

「良くしゃべる営業 < 良く聴く営業 < 良く見る営業」というのが、最新の営業のコミュニケーションスタイルです。

「お客様が発信さる情報」の大半が「目から入る情報」ということは、お客様との接客/面談時には、住宅営業担当者はお客様の表情から眼を離さないことが求められます。

お客様の表情から眼を離さない

「目は口ほどにものを言う」と言われますが、コロナ禍のマスクの時代では特に目元の表情が重要です。

欧米系の人は、口元の表情で意思を伝えるそうです。
欧米系の方々がマスクをしている人を見ると不審者に思えるというのはそいうことも影響していると思います。
だから欧米各国ではマスクをしたがらないというのもうなずけます。
逆に日本人は目元の表情に感情と意思が出やすいと言われています。
マスクをしていない人はほとんどいないというのも、公衆衛生に対する意識も高いのでしょうが、マスクをしても日本人は意思は伝わりやすいというのも一因だと思います。

「目元を中心にお客様の顔から眼を離さない」ことを、まず徹底して習慣にしましょう。

●歩く時もバックオーライ

モデル住宅内をご案内する際の原則は、「先に立ってリードする」ことと「お客様をコントロールする」ためには欠かせません。

一方で、お客様との接客/面談中は、お客様の表情から眼を離さないということは、ご案内時は常時バックオーライで歩くといことです。
しかも常時「笑顔」であることを忘れないように。
「怖い顔で常時見られている」のはさすがに背筋が凍りますから。

「優しい包み込むような明るい笑顔」を鏡を見ながら練習してください。
自身の笑顔を動画に撮って周囲の人から自分の良い笑顔を教えて貰ってください。
人からどう見られているのかが評価軸です。

●ご主人様と奥様でお客様

ご主人様と奥様の二人でお客様です。

各50%の配分で表情を見ます。

ご主人様の関心事について話す場合は、70~80%ご主人への配分で視線を配ります。
ご主人様の関心事について話している際も奥様の反応を注視します。
お二人の合意がなければ、たとえご主人の関心事であっても本当の意味では合意に至っていません。
お二人が合意してこその合意です。

合意が得られない場合は、その理由をお聴きしてお二人で話し合っていただきます。

表情を読み取るコミュニケーション

視覚情報がコミュニケーションの大半を占めていますから、お客様の表情から眼を離さないのですが、「ただ見ているだけ」ではお客様の意思や意向は伝わってきません。
お客様へ強く関心をもって「理解しよう」と思う強い意志を持ち、表情を読み取る努力をします。

お客様への強い関心が、お客様とのコミュニケーションを成り立たせて良い方向へと導きます。

●言葉より正直なのは表情

お客様が「いいね」と言葉で仰っても「どうでもいい」の「いいね」なのか、「相槌」の「いいね」なのか、「良い」という意味の「いいね」なのかわかりませんが、「表情を見ていればどの意味なのかが分かります」。

お客様の表情を見ずに耳から入った情報だけで判断しないことです。

表情は心を映す鏡です。
本音は表情に出ます。

●「微表情」を見逃さない

人間は22年間以上生きてくれば、それなりのコミュニケーション能力を身に着けています。
特に相手の表情を見て理解するというコミュニケーションを意識した訓練をすれば、誰でも意思疎通という誤解のないお客様からの情報を受け取ることができます。
したがってコミュニケーション力を会話力から「見る」ことが中心になってきました。

新卒の新人でも、お客様の表情を読み取る練習を意識してすれば出来るようになります。

慣れてくれば「微表情(マイクロ・ジェスチャー)」という、わずかな表情の変化を見逃さないようになり、お客様の意図を相当なレベルで理解できるようになります。

まとめ

「少ない来場者から受注を確実する」ためには、お客様からの情報を逃さず捉えるということを住宅営業担当者が行うのが1丁目1番地の仕事です。
お客様の表情を中心にした視覚的なコミュニケーションは重要な住宅営業の基礎スキルです。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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