「この家が欲しい」の「やる気スイッチ」を入れる

「いい家を作っているのに、思うように受注が伸びない」、「住宅の良さや魅力が、きちんと伝わらない」など、競合他社との競争が激しい環境では、こうした課題が尽きないものです。
今回は、数ある工務店/住宅会社の中から自社を選んでいただくための接客について考えてみます。

お客様が逃げ腰になる原因

お客様が来場され、住宅営業担当者が自社住宅商品の特徴をあますところなく説明しきったのにも関わらず、アンケートを取得できなかったり、次回のアポイントを取れなかったりと、お客様の良い反応を得られない場面を目にします。
お客様が自社での住宅建築に前向きにならない理由はどこにあるのでしょうか。

他の工務店/住宅会社との違いが明確になっていない

耐震性に優れ、温熱環境も整い、空気環境も良し、デザインも良い、などの訴求をされている多くの工務店・住宅会社のホームページが存在します。そして、住宅営業担当者は、この「耐震性」、「温熱環境」、「空気環境」、「デザイン」こそが、自社の強みであり特徴であると、お客様に一生懸命説明されています。
しかしながら、お客様はご来場前にホームページやSNSで事前に各工務店・住宅会社の情報収集と検討を行っているため、各社の住宅性能を目にしています。
お客様にとっては、「性能等級の差や構造に多少の違いはあっても基準を満たしているなら問題無し」、「デザインも良くて当たり前」という認識です。
住宅の性能やデザインの良さだけでは、他社との違いを明確にするのが難しいのです。

自社住宅商品の良さが伝わっていない

日本人の購買判断基準は、1980年前後を境に「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」が上回り、現在では、「心の豊かさ」が2倍ほどになっています。
ずいぶん前から「モノからコトへ」と言われていますが、住宅業界は、モノの豊かさ、つまり、住宅性能などのハード面での勝負に偏重しています。
ハード面で優位性を得ようとしても、そもそも、お客様がモノに対して大きな関心を示さない現在、モノ偏重の営業は改めることをおすすめします。

住宅営業からの説明ばかりでお客様のことを聴いていない

多くの住宅営業担当者は、自社住宅の良さを説明し、資金や土地など、住宅建築に関する諸情報をお聞きしようと一生懸命になります。
例えば、土地をお探しのお客様へは、どこの土地を探しているのか、予算はいくらか、などといったことには全力で応えようとしますが、その他のお客様が何を話したいと思っているのかをお聴きすることが疎かになる傾向があります。
住宅営業担当者の自覚がなくても、お客様の不満の約6割は「自分の話を聴いてくれない」「相談したかったのだが・・・」という内容です。
「自分の想いを聴いて欲しいお客様」に「自社住宅の説明をしたい住宅営業」が「対立軸」を生み出しているのが受注を遠ざけている原因のひとつです。

住宅購買意欲を刺激する方法

住宅のハード面での良し悪しでは「欲しい」という気持ちにはなっていただけないため、住宅によって得られる「コト」で営業することをおすすめします。

家族全員の「コト」を聴く

お客様が心豊かになる「コト」は多種多様です。
ご家族それぞれの興味関心事をお聴きし、深く堀り下げていきます。
例えば、お父さんとお子様が一緒に考えながら勉強している画像、お母さんとお子様がクッキーをを作っている画像などをお見せして、「お客様だったらどのように楽しみたいですか?」という、お客様ご自身も気づいていない部分の気づいていただけるように刺激しながらお客様のコトを理解していきます。

注意点

SNSの画像で「これ出来ますか?」、「このプランで1500万円で出来ますか?」などに対して、「出来るわけないんだけどなぁ」というような雰囲気がかもしだされると、お客様は敏感に察知し、「この会社では無理なんだな」と離れていきます。
この状態を無視して、「この件は濁して自社住宅の説明に持っていく」のは、お客様にとっては「話を聞いてくれない強引な営業」として「この会社は信用できないから無し」という結論にいたります。
お客様がおっしゃることを受け容れて想いや条件などをお聴きすることから始めます。
「受容れるが言いなりにならず、お客様が幸せに暮らせる住まいづくり」となる対応を目指します。

部屋のイメージを確認する

言葉でのやりとりでは、イメージの食い違いが生ずる可能性が高いので、お客様がおっしゃる部屋のイメージは、目で見て感覚的にわかる画像などを活用して確認します。
例えば、「落ち着いた雰囲気のリビングでコーヒーを飲んでくつろぎたい」お客様には、「落ち着いた雰囲気」のイメージを共有する必要があります。
画像などの目に訴えるもの活用すると、お客様は「これこれ!こんな感じ!」とテンションが高まり、自社での住宅建築に前向きになってくださいます。

まとめ

お客様に自社を選んでいただくためには、他の工務店/住宅会社とは異なる「コト」視点での営業が必須です。
住宅営業が話すよりも、お客様が話したいことを総てお聴きすることを実行し、目で見てわかる画像や動画を活用して自社での住宅購買意欲を刺激することをおすすめします。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する住宅営業手法をご用意しています。新人でも短期間で修得可能な「いい暮らし実現営業」、他社従来営業とは大きく差別化した“この家が欲しい”を引き出すコミュニケーションができる「気づき共感営業」、ハイエンド層のお客様に対応可能な「暮らし触発営業」などです。また、住宅事業を安定継続/発展するための、「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の分野からアプローチする注文住宅事業の「総合ビルドアップサポート」やコンパクトな工務店様・住宅会社様の住宅事業をサポートする「住宅営業ゼミ」をご用意しています。

是非ご活用ください。

■住宅営業コンサルティング
https://www.housing-labo.com/consulting
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https://www.housing-labo.com/training
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https://www.housing-labo.com/onlinesupport

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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