初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション―③

今回で3回目になりました初回のプラン提示でお客様にご納得いただくためのプレゼンテーション。
今回は、お客様に新しいお住まいでの暮らしを実感いただけるプレゼンテーション資料作りのひと工夫と価格競争に陥りにくいプレゼンテーションの中身について解説をしていきます。

前回までの内容をまだお読みでない方は下記URLからご確認ください。
第一回
https://www.housing-labo.com/design/post-1453.html

Contents

お客様に新しいお住いでの暮らしが伝わる資料

以前の記事でも解説しましたが、図面では伝わりにくい内容をいかにしてお客様に実感をもってお伝えできるかがプレゼンテーションでは大切になります。
間取りだけでは伝わりにくい、お客様の暮らしが見える資料作りが必要です。

新しいお住いでの暮らしをお客様に実感していただくためのプレゼンテーション資料のひと工夫について解説していきます。

お客様の生活をトレース

ご家族全員の生活のトレースをしていくと、そこでの暮らしを想像していきやすくなります。
朝起きてから就寝するまでの生活を、平日と休日それぞれでご家族それぞれの生活トレースができるプレゼンテーション資料は、お客様に新しいお住いでの生活を実感していただくことに非常に有効です。

左図は平日ご家族の夕食後の過ごし方をトレースするための資料です。
奥様は、食事の片付けが終わると二階に就寝準備と下のお子様に読み聞かせをしに行きます。
ご主人は、奥様が片付けをしている間にお子様たちを順番にお風呂に入れて、その後、洗濯をします。
図面上にもご主人、奥様、お子様たちを入れ込み、現在のお住いでは行ったり来たりしていた就寝前の家事や育児のご夫婦それぞれの役割分担の動線が便利になることが分かる資料になっています。

これらを平日、休日それぞれの暮らしのシーンごとに作成することで、お客様に新居での暮らしを実感を持ってイメージしていただくことができます。


資料のポイント

① ご家族それぞれの生活を具体的に見えるように文章でまとめ、暮らしのシーンを明確にします。
② 暮らしのシーンが分かるように、ご家族それぞれを図面上に登場させ動線が分かるようにします。
③ 平日、休日の暮らしにシーンごとに資料作成して生活をトレースするできるようにすることで、お客様の新しいお住いでの暮らしがトータルに実感できるようにします。


資料作成に手間はかかりますが、何度もプランの修正したりプレゼンテーション資料を作り直すことに比べると、初回のプラン提案でお客様にご納得いただければ一回で済みます。
もし修正が出たとしても、お客様が実感的にご理解いただける資料とプレゼンテーションであれば、何をどう直したらいいのかという判断がお客様にも明確になり、修正箇所をフィックスして次の提案で確実にご納得いただけます。

価格競争に陥りにくいプレゼンテーションの中身

最後に、お客様にご納得いただき価格競争にならないために重要なプレゼンテーションの中身について解説します。

価格競争にならないようにするためには、お客様に他社と似たようなプランや仕様に見えてしまうと、「同じような内容であれば安い方がいい」となってしまいます。
お客様からすると当然の判断をされるからです。
かといって他社との差別化をするために、新たな提案を盛り込んだプランとプレゼンテーションを行うと、余計なモノを提案されたと、お客様からすると押し付けられた内容になってしまうこともあります。

二回目で解説しました、お客様の『暮らしの重心』が伝わるプレゼンテーションで、プランの優先順位がつき、お客様の『実現したかった暮らし』が実現できることをご理解いただけると、お客様にとって有用な提案だとは認識していただけますが、その中身が重要です。

お客様のご要望の中で、『収納量が足りなくてスッキリと片付く収納が欲しい』、『家事をしていると子どもの様子が見えなくて不安』など、現在のお住いでの不満点は解消するのは当然ですし、他社も対応してきます。
これはマイナス領域の要望をゼロに戻しているだけであり、対応して当たり前のことです。
新たなお住いでの付加価値を出せているわけではありません。

お客様にとってのプラス領域とは、『これを実現したい』という家族や個人での『楽しい暮らし』を実現することです。
お客様の『これはだけはやりたい楽しい暮らし』を提案できれば、他社と明確に差別化ができる付加価値提案が可能になり、価格競争に巻き込まれません。


まとめ

お客様に新しいお住いでの暮らしを実感的にお伝えするためには、暮らしのシーンごとにご家族それぞれの生活をトレースすることは有効です。
新しいお住いでの暮らしが実感できると、プレゼンテーション内容が納得できるものだったのか、お客様にご判断いただけるようになります。
実感を持ってご理解いただけているので、もし修正点があったとしても、どこをどう修正したいのかが明確になります。

プレゼンテーションの中身については、マイナス領域のご要望には当然対応しますが、お客様の『これだけはやりたい楽しい暮らし』のプラス領域でのご提案ができれば価格競争に巻き込まれません。
今まで解説をしてきましたプレゼンテーションや資料の工夫はプラス領域の「楽しい自分たちの新居での暮らし」が眼に浮かぶプレゼンテーションができる内容です。

お客様にわかりやすく伝わり、競合での価格競争に巻き込まれない初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーションを実現してください。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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