住宅営業が、お客様への興味関心を強く持たなければならない理由と対応方法

初回来場時のお客様は、「話を聴いて欲しい」「私の考えていることを相談したい」という思いでご来場されています。
積極的に意思表示されるか、あまり表面に出されないかは別にして。
もちろん、とりあえずモデル住宅を観てみようという方もおられます。
そいう方も含んで、多かれ少なかれ「まず自分のことを聴いて欲しい、関心を持って欲しい」と思っておられます。
住宅営業は、先ずお客様への強い関心を持ってお出迎えしましょう。

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お客様 VS 住宅営業の対立軸は致命傷

初回来場時のお客様をお迎えすると、多くの住宅営業は「自社商品特長の話をしたい」「資金と土地について聞き出したい」と会社と住宅営業が中心の視点で話したがる傾向があります。
最初期でお客様と住宅営業の双方が話したがっているという、目に見えない対立軸が生まれています。
お客様の住まいづくりですから、先ずお客様を受容れましょう。

住宅営業から離れた内容でも積極的にお客様を受容れます

住宅営業が思い描くシナリオ通りに接客を進められないのがお客様です。

いきなりInstagramの画像を持ちだされて「これ出来ますか?」とか、「この40坪のプラン気に入っているのだけれど1300万円で出来る?」とか、「あの学区で土地を用意してくれる業者に無条件で頼むけど、おたくはどう?」とかは、「そんなの無理!!」と話の途中で顔中に「そんな無茶なこと言うなよ」オーラが住宅営業から出まくってしまい、いきなりクラッシュしている場面が多発しています。
「この客は無理な客」と住宅営業がレッテルを貼ってしまって、この集客数が減っている現状でも、まともな営業対応を取っていない事例が多数発生しています。

また、もう少し粘って何とか話を得意な「構造に向けよう」と、言い訳しながら住宅営業が頑張っているシーンをよく見かけますが、お客様は「なーんだ、出来ないのか。この会社は言い訳ばかりして」と口に出すか出さないかは別にして、そういう結論を出し、「この会社は没というレッテル」を貼ってしまい、あとは適当に情報収集だけされて離れて行かれます。

住宅営業は、上手く自分が「主導権を取り返した」と思い、得意分野を喋りまくるという虚しい状態で自然消滅して行きます。

先ず、お客様を徹底的に受け入れてお客様の話を最後まで積極的にお聴きすることです。
「顧客心理の3段階」を理解して、お客様の住まいづくりを良い方向へ向けてコントロールします。

●顧客心理の第1段階 「認められた」=「受容れてもらえた」

お客様の話を最後までお聴きすると、お客様は自身を住宅営業が「受容れてくれた」という満足感と「認めてくれた」という住宅営業に対する初期の信頼感が生まれます。

●顧客心理の第2段階 「重視された」=「話をよく聴いてくれた」

お客様の話を最後までお聴きした上で、さらにもっと徹底的にお聴きしてお考えの理解度を深めます。
「話をよく聴いてくれた」という十分な満足感と「重視された」という安心感が生まれます。

●顧客心理の第3段階 「特別扱いを受けた」=「意図を理解してくれた」

お客様の話を徹底的にお聴きした上で、想いの意図をお客様と共有化します。
「意図を理解してくれた」という住宅営業の対応への納得感と「特別扱いされた」というこの住宅営業について行こうという意思が芽生えます。

この3段階目に到達する時間は長くても20分間程度です。
先ず、しっかりとお客様を受容れて向き合うことです。
これによって「扱いにくいお客様」を「素直で前向きなお客様」へ転換可能になり、少ない来場者を資金計画さえ合えば全て受注することも可能になります。

お客様に強く関心を持つことが前提条件

形式的な顧客対応は、簡単にお客様に見破られてしまい逆効果です。
本気でお客様のお話に耳を傾ける基本姿勢を徹底してください。
コミュニケーションの80%以上は視覚情報です。
言葉によるコミュニケーションよりも、本音は表情で瞬時に伝わります。
住宅営業が「ムッ」とするということは、そもそも「住宅営業と自社が中心」の発想になっているからと言えます。
お客様の住まいづくりは、お客様の暮らしを中心に進めるという軸を振らさないように注意しましょう。

●住まいづくりから離れたお客様の関心事にもついて行く

例えば、ペットの話しになった場合、ペットの健康状態や獣医のアドバイスで運動量を上げることに苦労しているとか、お散歩グッズやペット好きの方々との交流会での出来事とか、様々な話へ広がって、住宅から一旦離れて行ってしまうようなお話でも、受け入れてついて行きます。
それがお客様の現在の大きな関心亊なのですから。
そして、やがてペットというご家族の一員の居場所や家の内部での関わり方などの話しに必ず戻ってくるはずです。
住宅営業から見ると脇道に逸れたように見える内容も、お客様にとっては「ペットとの関係を大切にしている」というお客様の価値観を住宅営業と共有化したいという思いが含まれています。
強くお客様の関心事に注意を払いましょう。

まとめ

最初期のお客様の受容れ方ひとつで「難しいお客様」とレッテルを貼って没名簿化してしまうのか、徹底的に受け入れて「素直なお客様」として受注へ向かうのかは、住宅営業のわずかな姿勢の違いです。
お客様は住宅営業に受容れてほしいのです。
そして、よく話を聴いて欲しくて、さらにご自身の意図を理解してほしいのです。
ご自身の住まいづくりなのですから。
住宅営業の1丁目1番地の仕事は「お客様を受容れること」です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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