住宅会社の人材不足は女性社員を本気で活かす好機

人材難はどの住宅会社でも頭の痛い問題です。
一方で、女性社員の活用については、各社で相当に大きなバラツキがあり、「女子事務員」程度に限定しておられる会社から「住宅営業トップ10の内8名は女性です」という住宅会社まで極端に差があります。

人材不足は、本気で女性社員を住宅営業、住宅設計、工事の第一線に登用していく好機です。

住宅会社の改革は女性社員のシェア拡大から

人手不足を単純に解消するための女性の登用ということが最大の目的ですが、実際に女性の各部門への登用を積極的に進めた会社で大きく変わったのは「企業文化」「企業風土」です。
そして、何よりも経営者を筆頭に、男性社員の考え方に大きな変革が見られるという事です。
人生最大の買い物である住宅購入は、お客様にとっては大きな決心が伴います。

昭和の旧世代では、奥様は趣向については様々発言をされていましたが、購入決済権はご主人でした。
現在のお客様は、ご主人様と奥様(そもそもこういう言い方自体が時代遅れ)は全く対等で、50:50の決裁権をお持ちです。
夫婦の合意なくして住宅受注は決まらない状態です。
この感覚に住宅会社の体質がついて行っていないというのが問題です。

社内の階層別の意思決定も男性と女性の意思が50:50で反映されるのが本来の姿だと思います。
世界の経済成長から日本だけが取り残されているのも、重要部門の社員層、責任者層、経営層で女性比率が極端に低い事も大きな要因だと指摘されています。

50:50とは行かないまでも、女性社員を主力部門に積極的に採用されることで、人員確保という正面装備の充実と併せて「新しい企業文化・風土」を生み出してみてはどうでしょうか。
特に住宅事業分野を生業としている会社にとっては重要なことです。

女性社員だからと特別扱いしない

女性社員に対しては安全や生理面、出産育児という面での配慮は確かに必要です。
これも、夫の協力度などを含む家庭環境ごとに、まだ差異が多いというのも事実ですから、「個々の事情に合わせた配慮」をするために、こまめに「面談してよく話し合う」ということが必須です。
本気で女性社員を活用する前提です。

そういった配慮と「女性だから」といった偏見は別物です(ジェンダーレス社会の考え方をまず勉強しておきましょう)。

男性社員でも個別の特性/特質があるように女性も同じです。
個々の社員の能力、向き不向きを理解して本人とも向き合って役割を担っていただくようにします。
男性社員に対しても、このようなきめ細かな対応が現代では必要になってきています。

新卒社員が定着しないなどの話は、「個人特性を活かすための本人との向き合い方」の問題です。
これも女性を積極登用するのを機会に、男女問わず個人の特性を活かす組織フォーメーションを設定するには不可欠な考え方です。
組織の最小単位は2名です。
2名以上の課や係があれば、しっかり個々の社員と向き合いましょう。

多種多様な考え方と特質を持った人材ばかりで、均質な社員はもはや存在しません。
その上で女性だからという特別扱いはしません。

●注文住宅営業に女性営業は向いている

「女性だから、奥さんと話が合うはずだから、女性営業でも使ってみるか」という発想ではなく、「暮らしを楽しみ人生を楽しむ住まいの実現」という注文住宅の本質の考え方を理解し行動できるのは女性の方が上です。
女性住宅営業の多くは、「お客様の暮らしを中心に考える」ことが男性社員に比べて比較的得意です。
もちろん、各自の特性によりますが、弊社がコンサルティングをしている多くの住宅会社の社員を見てきた経験では、6:4以上の割合で、女性の方が「お客様の暮らしを中心に考える」営業には向いています。

●女性だからと言って女子力が高いわけではない

「気配り」や「気遣い」は女性の方が高いと一般に思われていますが、案外そうでもありません。
学校現場でのジェンダーレス教育がある程度浸透して、「育メン」がモテル時代です。
女子力の高さの男女差は、35才未満ではそんなに大きな差はありません。
男女問わず女子力の高い社員はある比率で存在します。
集客企画をする場面などでは、「行ってみたいイベント企画」を考えることに、この女子力が高い社員に担当させるべきですが、闇雲に女性社員に企画させても失敗します。
男女を問わず女子力を判定して投入すべきだと思います。

女性社員を活かすも殺すも会社次第

経営トップが先ず積極的に女性社員を採用し、それを契機に個々の社員と向き合って特性に応じた役割りを担っていただくという姿勢が大切です。
必ずしも全員が自身の特性に合った仕事に就けるわけではないのですが、会社の姿勢の問題です。
こうした環境を生み出せるのかどうかで女性社員を活かし、これまであまり評価できていなかった男性社員を活かすことにもつながります。
まず経営トップ、役職者が頭合わせを行って一歩を踏み出すことです。

●ワークシェアなど様々な工夫が必要

「生涯独身でバリバリ仕事一筋に頑張ります」と言っていた女子社員が、「結婚したので彼についてアメリカに行きます」と入社2年目に突然報告された経験が私にもあります。
まあそういうこともある、とおおらかに考えまましたが、「ムッ」ともしました。
もしも、これが現在なら「オンラインで時差をうまく使って仕事を回せないかな」と私は提案したはずです。
そいうことができる時代です。
「子育て期間も3時間なら自宅でなんとか」とか、モザイクのような個人の事情を組み合わせます。
社内で足りなければ社外の人材をネットワークに組み込むなど柔軟に考えます。

女性を本気で採用すると会社の変革は進みます。

●先ずはやってみること

会社の規模にかかわらず人材を募集するなら、それを機会に女性社員も本気で採用してみることです。
先ずはやってみること。
しかも本気で活用しきると決意して。
会社の変革が同時に始まり、未来の姿が少しずつ見えるようになって来ると思います。

まとめ

女性を戦力化するのは待ったなしです。
移民を大量に受け入れている他の先進国とは異なり、日本では高齢者層と若年層、女性を如何に活用するのかが企業の発展のキーファクターになっています。

人材不足が深刻化する中で、先ず女性を本気で戦力化しましょう。
社内に新しい風を吹かせるためにもチャレンジしましょう。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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