住宅設計トレンド フリースペース需要の増加を見逃さない!

コロナウィルス感染拡大の影響で自宅のフリースペース需要が増加しています。

テレワークの場所が必要になったということ以外でも、習い事をオンラインレッスンで受講したり、自宅にいる時間が長くなったことにより運動不足解消のために自宅でヨガやトレーニングをされる方が増え、自宅にフリースペースを検討される方が増えています。

テレワークの普及も進み、コロナウィルスに関わらずテレワークの働き方にシフトされた方も多くいらっしゃいますし、オンラインレッスンは子供の勉強や習い事からヨガなどの運動、資産運用から仕事に活かすスキル習得まで幅広く行われるようになりました。
時間を気にせずにレッスンを受講でき、コロナが終息した後も続けようと思われる方も多くいらっしゃいます。
コロナの影響で変化し定着しつつある新たなライフスタイルにより、増加したフリースペースの需要に上手く対応した設計について今回は考えていきます。

Contents

フリースペースと専用部屋

フリースペースを上手く活用されるお客様と用途に合わせて専用部屋をご用意した方がいいお客様がいらっしゃいます。
フリースペースの特徴は、家族の共有の場になるパブリックスペースに属します。
ご家族で一緒に活用する場合や個人で使う場合でも、家族のいる場所で行いたいと思っているコトに対応する場所になります。

フリースペース活用事例

おうちキャンプ
子供の勉強
子供の遊び
ヨガ
手芸
ピアノ

従来フリースペースは様々な用途に使える場所として採用される方が多くいましたが、今は上図のような具体的な活用シーンを思い浮かべて使われるお客様が増えています。

一つの活用方法だけでなく、フリースペースのご家族それぞれのの活用方法をお聞きしていくと、朝に柔軟体操でご主人が仕事前に使われ、お昼からはお子様がオンライン授業を受けて、これが終わればおもちゃを拡げて遊び場にする。
夜には奥様がお風呂前にヨガのオンラインレッスンを受けられるなど、フリースペースの使い方と必要なモノや収納量などが見えてきます。

また、使い方をお聞きしていくと専用部屋をご用意した方がいい場合もあります。
テレワークでも集中して作業をしたい方には専用の書斎を用意したり、防音性が求められる音楽や専門性の高さを求めるダンス、バレーなどは専用の部屋をご用意する必要性があります。

専用部屋の活用事例

書斎
ダンス部屋

フリースペースで対応可能なのかを迷われているお客様には、家族と一緒の場所で活用したいのか、専門性が必要な場合は時間軸を考え将来も必要な可能性が高いのかをお聞きすることによって、フリースペースか専門の場所を確保するのかを決めていただけます。

フリースペースから見えてくるお客様の暮らし

フリースペースの活用をお客様にお聞きすることで、何を楽しまれようとしているのか、お客様の暮らし、生活への関心事が見えてきます。
実際にフリースペースが不採用になったとしても、お客様の暮らしへの関心事はお客様のツボを外さない設計に活かせます。
パブリックスペースで家族、個人でしたいコトや専門部屋でしたいコトなど、新しい住まいでの家族の暮らし・生活をイメージしていただけると、お客様の要望の整理が付き優先順位も決まっていきます。

フリースペースを生み出すLDKの考え方

フリースペースを採用しようとしても、全てのお客様に十分な広さや予算があるわけではありません。
ここで従来のLDKの概念にとらわれないフリースペースを生みだす設計の工夫が必要です。

大きなダイニングテーブルで食事スペースとしてだけではなく、仕事や勉強にも使える機能を持ったダイニングを作るグレートテーブルという発想やリビングでくつろぐのではなくダイニングをソファでダイニングにくつろぎの場所を作るソファダイニングにより、従来のLDKと同じ広さでフリースペースを生み出すことができます。

図面へのフリースペースの落とし込み

お客様がフリースペースを採用される際には、実際に使うことを想定した広さや収納などをご確認していただく必要があります。
例えば、ヨガのオンラインレッスンを受ける時はノートパソコンでするのか、テレビ画面に映すのか、テレビやノートパソコンの距離、ヨガマットと体を動かすときの距離はどの程度必要なのかなど、メジャーで計測しながら必要なスペースを図ります。
また、ヨガマットやノートパソコンの収納はどこにするのかなど必要な空間の大きさと使い方をシミュレーションします。
こうすることでフリースペースの大きさや必要な収納量をお客様と合意して確定することができます。

お客様へのフリースペースの提案を行う際にも、図面でフリースペースという書き込みがあってもお客様にはただの床にしか見えません。
図面に実際にお客様が使っているモノや人物の入れ込みをすることで、お客様に実際のサイズ感などをお伝えすることができます。

まとめ

フリースペースはコロナウィルス感染拡大の影響から需要が増えています。
お客様のフリースペースの要望も従来とは違い、具体的な活用方法をイメージされている方も増えてきました。
お客様のフリースペースの活用方法をご家族それぞれにお聞きしていくことで、お客様のご家族の暮らしへの関心事が見えてきます。
お客様の暮らしへの関心事がわかると、新しいお住いへの要望の重心を掴むきっかけになり要望の整理ができ優先順位もはっきりします。

LDKにプラスしてフリースペースを設けると、お客様の床面積がオーバーしてしまうことも多々あります。
従来のLDKの概念にとらわれない設計の工夫で、お客様の限られた予算の中で望まれる暮らしが実現できます。
また、フリースペースは図面への落とし込みも実際に使い方わかると、必要な大きさや収納量も明確に決められます。
図面に実際に使う人物やモノを入れ込むことでお客様にイメージしていただきやすくなります。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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