令和時代 『個の時代のお客様中心』の住宅事業とは

『お客様は神様です』というフレーズは顧客中心にした接客のフレーズとして有名です。
このフレーズは1961(昭和36)年に三波春夫さんが“お客様を神様とみる”という心構えであることを舞台の上で話したことが始まりとされています。

お客様を中心とした接客、営業活動は様々な時代に合わせて変化して、サービス業の方を中心として『ホスピタリティ』や『おもてなし』といった考え方も業種を超えて広がっていきました。
令和になった今は『個の時代』の到来と言われています。

今回は『個の時代』とは何なのか、令和の時代にお客様を中心とした住宅営業、住宅設計は従来と比べどのように変化していくのか考えてみます。

個の時代とは

そもそも『個の時代』とはどういう意味かを整理する必要があります。

個人で責任を負い「誰も助けてくれない時代」とネガティブに捉えている方もおられますが、そう悲観する時代ではないと考えます。
『個の時代』とは、これまで日本人が標準的な価値観を共有して持っていた時代から、個々の考え方や価値観が尊重される時代に変わったということです。


例えば、

一昔前まで男性は良い大学に入って、一流企業に就職し、結婚をして、庭付き一戸建てを建てる、

女性は20代で寿退社をして、専業主婦になり、子供を立派に育てる、

といった多くの日本人が共通で持っていた価値観であったことが、それがジェンダーを含め個人の考え方や生き方が尊重され、様々な人生の歩み方が出てきたということです。

女性の社会進出も進み、夫婦共働き世帯も増えていくなか、これまで女性が家庭やご近所といったコミュニティーから飛び出し、様々な方と触れ合う機会が増えたことも相まって、様々な生き方を選ばれることに繋がっています。

また、インターネットの普及により、SNSをはじめ個人の意見を発信したり目にする機会が増えたことも、多様性の大きな要因にもなっています。

『個の時代』とは、かつて日本人の多くが共有していた画一的な生き方から、多様な価値観を持った個々人が尊重される時代ということです。

個の時代のお客様

住宅事業においても、標準家庭(親二人、子二人)を想定してモデルハウスは建てられていますが、日本の標準家庭の比率は非常に低くなっています。

住宅の商品開発も標準家庭を想定しているだけでは、時代に合わなくなってきています。
実際にご来場されるお客様にも、年の離れたご姉弟お二人の住まいを検討されている方や、シングルマザー/ファザーでの子育ての為の住まいを考えられているお客様など様々なご家族がご来場されています。

令和時代に対応したお客様を中心とした住宅事業は、『個の時代』の多様化したお客様の個性を理解することが重要になります。

個の時代のお客様対応

『個の時代』にお客様の多様性に対応できなければ、必要なモノでも自分にマッチしていないものは、安い方がいいと価格勝負になり、安くなければ売れません。
住宅業界に限らず『個の時代』に対応できていない企業が多い日本全体に共通しており、日本のデフレは止まっておらず、日本人の給与もこの二十年横ばいになっていることから明らかです。

『個の時代』に対応した商品の代表例としてiPhoneがあります。
iPhoneは、スマートフォンの普及を一気に広めましたし、価格も決して安いわけではありませんが売れました。
これは、自分が使いたいアプリを自由に入れて使えるという『個の時代』に合った商品だからです。

個の時代のお客様中心の住宅事業

住宅業界においても、この20年のローコスト住宅の隆盛を見れば、『個の時代』に対応できていないのは明らかです。
最新の工法や設備、太陽光パネルやスマート住宅など住宅の最新技術は次々と出てきていますが、住宅の価格は上がっていません。

商品開発だけでなく、お客様への営業や設計対応も『個の時代』に合わせて変化させていく必要があります。
これまでは、お客様に自社が考えた住宅の良い間取り、良い性能、良い仕様/設備をご説明して、お客様のご要望をお聞きし、それをお客様の土地や資金などに合わせて設計できれば売れていましたが、『個の時代』に対応していかなければ、より価格を下げていかなければなりません。

『個の時代』への住宅事業の対応も見えてきています。

住宅営業担当者は、お客様それぞれの暮らしへの考え方を理解すること。
ただし、「どんな暮らしをしたいですか?」とお聞きして即答できるお客様はいません。
モデルハウスや見学会を活用して、暮らしの一例をお見せしてお客様を触発し、お客様ならどんな暮らしをしたいのかを引き出す接客手法があります。

住宅設計に関しては、お客様のご要望をすべて取り入れたプランは、一見『個の時代』に対応しているように思いますが、住宅建築に関して素人であるお客様のご要望を鵜呑みにしての設計は、素人が企画した住宅になってしまいます。
住宅建築のプロとして、住宅営業担当者が引き出したお客様の『暮らし方に対する個々の考え方』を理解して、建築与条件の中で最適なプランを設計、提案する手法を取ります。

まとめ

令和は『個の時代』の対応が必要になりました。
『個の時代』へ日本全体がまだ対応できておらず、デフレからの根本的な脱却ができていません。
多様化したお客様の暮らしを理解し、お客様の個性に最適な住まいを提供する営業、設計手法があります。
サスティナビリティが掲げられている令和に、『個の時代』に適した新しいお客様中心の対応で健全な住宅事業の推進の一助にしていただければ幸いです。

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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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