手つかずの新客層への対応が住宅事業を前進させる

住宅業界では4LDK発想のファミリー層が「戸建住宅の客層」と固定概念で捉えてしまっています。

しかしながら、世帯人数の構成比でみると「1人・2人世帯が全世帯の2/3以上」を占めています。

従来は社会に出て一人暮らしを始め、やがて結婚して夫婦2人世帯になり子供が出来て3人、4人の世帯へと進むというのが「人生双六」の常識でした。
そう単純にことが進まないのが令和の現在です。

1人・2人世帯の中身が多様化

生涯独身の一人暮らし、結婚しない若者、DINKS、80才の父親と55才の娘、68才の姉と63才の弟、シングルマザーと息子など「1人・2人世帯の中身は多様化」しています。

従来もこういう世帯の方たちは「特殊な世帯という目で見られながらも存在」していました。
これが徐々に増えて「1人・2人世帯が全世帯の2/3以上」という先ほどの数字の約半分、つまり「全世帯の1/3程度」がこういう「特殊な世帯」です。
もはやこれが「主流の世帯」と言っても過言ではない時代です。

誰も気づいていない戸建住宅の新需要への対応が必須

■ 人口減少

■ 世帯数は50年で倍増

この2つのデータが示す住宅事業の未来の姿は「ファミリー層だけを狙っていては生き残れない」ことを住宅業界へ警告しています。

「特殊な1人・2人世帯」が顕在化しないのはご本人も含めて、こうした暮らしを「社会が仮の姿」と無意識に捉えていることに起因します。

多くは賃貸共同住宅か、親が建てた古い大きな家に暮らすなど「モラトリアムな仮の暮らし」であり、この先の暮らしをどう組み立てればよいのか見えていないため、惰性的に「現状に流された暮らし」が続いているというのが実態です。

●「このままで生涯心豊かに暮らせますか?」

■ 非婚化傾向〈結婚しない30才台〉
住宅建築の若年化傾向と表裏一体で進行

■ 世帯構成内容の変化 1人・2人世帯が2/3
〈2人世帯内容〉
・80才の親と50才の子供
・シングルマザーの親子
・60才台の姉弟 etc.
〈1人世帯内容〉
・独身中高年
・結婚する気のない若者etc.

非ファミリー層の芽生え 

「ペットも飼いたいが仮住まいだから諦めた」、「ドラムを思いっきり叩きたいが仮住まいのアパートでは無理だ」、「車をいじりたいが賃貸マンションの駐車場じゃなあとあきらめた」、「親の家は大きすぎて改装するのもお金がかかるし中途半端なことになりそうだからといつも立ち消えになる」というのは「住まわれている方はご自身のライフスタイルは理解していてもその暮らし方にフィットした住宅を建てよう」とはならず、旧来の社会の常識として「仮住まい」に埋もれておられます。

【心豊かにする暮らしの集客イベント企画】
ときめきの暮らしに気づくイベント
https://www.housing-labo.com/plan/plan-750

●非ファミリー層向けの住宅が必要

総合住宅展示場の来場者にも、こうした「特殊な層」が多く含まれていますが、全てのモデル住宅はファミリー層向けの住宅です(一部に平屋の終の棲家モデル住宅などはありますが客層が異なります)。
こうした「特殊な層」が来場されても、営業が「客ではない」と判断してスルーしてしまうことが多く顕在化しません。
総合住宅展示場にこの客層向けのモデル住宅を建てる必要はありませんが、「見せられるモデル住宅」を1棟だけでも用意しておくところから始めましょう。

●個人の暮らしを中心に置いた住まいづくり

「個人の暮らしを中心」にわがままな計画ができますから、極端に「住まいを楽しみ人生を楽しむ暮らしの実現」となるためファミリー層の住宅ほど大きくはないが、金額も伸びる可能性のある住宅になりそうです。
お客様の「暮らしの重心が個人として明確」になればなるほど営業も設計も従来の4LDK発想を捨てる必要があります。

【個人の暮らしを中心にした住宅営業】
気づき共感営業研修
https://www.housing-labo.com/training/training-575.html

●暮らしの多様化への回答を

医療機関、警察、消防などの24時間体制の職業があり、24時間オープンのお店もあるということはそういう職種のお客様の住宅では「昼間に寝る」ことが当たり前であるように、いつの間にか暮らし方が多様化しています。
水面下で潜在化している見えない「非ファミリー層」という究極の多様化した住まいづくりの時代が始まります。

まとめ

「非ファミリー層」の住まいづくりはじっとしていては需要として顕在化しません。
しかもこの需要層は全世帯の1/3に及びます。
もちろん賃貸集合住宅で十分という方も多くおられるでしょう。

「潜在需要としては大きいが掘り起こして上手く受注できるようなる」ということがこれまでの住宅営業と設計では「やったことがない」ジャンルであるのも事実です。
チャレンジしがいのある新需要層です。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する、スピード感のある住宅営業手法をご用意しています。
自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の5分野からなる住宅営業サポートです。

是非ご活用ください。

■ハウジングラボの住宅営業サポート
https://www.housing-labo.com/consulting

住宅事業の安定継続/発展に役立つセミナーも開催しています。
■住宅営業セミナー
https://www.housing-labo.com/seminar

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

関連記事

増加傾向の新たな客層に対応する住宅業界の集客手法

住宅業界全体の集客が減少している中、集客手段はチラシやホームページ、SNSの活用、総合住宅展示場への出店、住宅の総合情報サイトへの登録、フランチャイズへの加盟など、以前は一番効果の高いものや自社の特性に合ったものを選んで […]

住宅の価格アップ時代には「気づき共感営業」が強力な武器になる

住宅業界は30年振りの価格アップ時代に突入しました。「超低金利デフレ時代」が続きましたが、外的要因によって資源/資材のインフレへと急速に転じています。住宅価格アップ時代に適応させ、住宅事業を発展させる方策がこの春からは必 […]

「暮らし視点の住宅営業」は、大きな他社差別化になる!

今後の住宅市場は外形として捉えれば建築適齢期の人口減が進み、一方で空き家率は13.6%もあるという市場です。需要漸減化の「モノ」が余っている市場で「対価」を支払うだけの「魅力ある住宅」をお届けできるのかという課題が、住宅 […]

新着記事

注文住宅上位客層シフトで「価格帯の大台突破」を成功させる戦略(後編)前中後の3編

【前編・中編のあらすじ】 前編では、住宅市場が直面する「価格の台替わり」という構造変化と、従来の「モノ売り」の限界について論じました。中編では、その打開策として「注文住宅の本質」、すなわち「個々の家族の暮らしにフィットし […]

注文住宅上位客層シフトで「価格帯の大台突破」を成功させる戦略(中編)前中後の3編

【前編のあらすじ】 前編では、現在の住宅市場が直面する「価格の台替わり」という構造変化と、その背景にある実質賃金の低下や家族像の多様化といった地殻変動について考察しました。従来の「モノ売り」の発想では、お客様の価格上昇へ […]

注文住宅上位客層シフトで「価格帯の大台突破」を成功させる戦略(前編)前中後の3編

今回は、現在の住宅市場が直面する構造変化を分析し、これからの時代に求められる新たな受注戦略を3回にわたって連載します。前編は、市場の「今」を正確に捉えるため、顧客マインドや社会構造の変化といった、戦略転換の必要性の背景に […]

【2025/2026年 注文住宅事業の進め方】「暮らし視点」で受注力・商品力・人材力を進化させる

少子化・人口減少・金利上昇・物価上昇と、注文住宅業界を取り巻く経営環境は今、大きな構造変化の渦中にあります。しかし、すべてがマイナスに振れているわけではありません。むしろ多様化・個別化が進み、「自分らしい暮らし」「人生の […]

【住宅展示場の来場者数推移から見る集客対策】集客数減少 → 受注棟数減少の解決方法

近年、住宅業界を取り巻く環境は、お客様のSNS、ネットからの情報収集が一段と進み、いつのまにか、集客数もさることながら、来場段階でのお客様の考え方も大きく変化しています。特に総合住宅展示場の来場者数推移に注目すると、来場 […]

【2025年住宅市場】新しい「中級住宅」の定義と現状認識

かつては、多くの家庭が手の届く価格で、ある程度の性能やデザイン性、暮らしやすさを兼ね備えた「ちょうどいい住宅」として捉えられていた中級住宅ですが、今はその基準が崩れつつあります。 経済状況の変化、ライフスタイルの多様化、 […]