新築同等以上のフルリフォーム事業成功のポイント-③
2024/10/16

今回は、従来のリフォームのような小規模な案件が多い、一般的なリフォーム事業ではなく、新築するのと同等か、それ以上のメリットをお客様に提供する「フルリフォーム事業」成功のポイント③として、フルリフォーム事業の営業について考えてみます。
Contents
フルリフォーム営業は「暮らし視点」と「顧客心理」で進める

フルリフォーム営業は、モデル住宅もしくは、完成住まいの見学会への集客時の広告は、「こころ豊かな暮らしの魅える」広告で、触発し、集客していますので、広告自体が暮らし視点へ誘うように構成されています。来場時の「顧客心理」としては、「何となく、楽しい暮らしができるのかも」という、ある程度、前向きな意識を持ってもらえる「pre営業機能」を組み込んで、ご来場後の「暮らし視点」の営業へ繋げやすくしています。
こうしたマーケティング(集客)策で、ご来場者されたお客様を、初回面談で事実上、「フルリフォームでの住まいづくり」を「この会社/営業と進めたい」という意思決定に持ち込むために、営業手法として、フルリフォーム「気づき共感営業」を導入します。
お客様心理をつかんで、自社の「良い記憶の定着」が叶う営業のポイント
初回面談時のフルリフォーム「気づき共感営業」のポイントは、「暮らし視点」と「顧客心理」で、お客様に向き合う考え方です。
①ご来場時に、その住宅で最も気持ちの良い場所(来場時の「顧客心理」)へご案内して、アンケートを取得しますが、「アンケート取得」の目的は、「お客様の関心亊」の把握にあります(アンケート取得に掛ける時間は、10分間以内)。
お客様は、ご自身の関心のある分野以外の営業からの話しは、「ただの騒音」にしか聞こえないという「顧客心理」に基づく対応です。この「お客様の関心事」に基づき、住宅の案内場所を設定します。自社の商品特徴を中心に、営業が説明したいところを説明しながら、住宅全体を案内するという旧来の考え方ではなく、徹底して、お客様を中心に置いた営業方式です。旧来の案内の仕方では、営業は「話し切った満足感」はあるかもしれませんが、お客様の立場で考えれば「会社と営業勝手の売り込み」にしか聞こえていません。お客様中心のご案内に切り換えない限り、フルリフォーム受注には、至らないことを理解しましょう。
②住宅をご案内する場所は、「ご主人様、奥様の最もご関心のある部屋/部位」と、暮らし時間で、最も多く過ごすことになる「リビング」の3カ所に絞って、お客様と共有化してご案内を開始します。1カ所、15~20分間として、3カ所のご案内で、45~50分間程度、アンケート取得時のやり取りも含めて、総計60分間程度が、人が集中して外部からの情報を吸収して、理解することができる時間の長さです。
それ以上の案内は、脳のキャパオーバーで、最初の60分間を含めて、全て曖昧な記憶になってしまい、「何も残っていない状態」になってしまいます。
お客様を惹き込む、最初のひとこと
ご案内に先立って、住宅の観方として「ご自身がこの家に住むとして」という「暮らし視点」の観方を、事前にお客様に、ご理解、ご納得をしていただき、住宅のご案内をスタートします。
ご案内と称していますが、「気づき共感営業」では、お客様と選んだご案内先の各部屋での、新たな暮らしをご一緒に、設定していくことを目的としています。これが実現できるのは、お客様の関心のある分野に絞ってご案内することが前提になっています。どのような部屋にするのかを、お客様とご一緒に考えて、創れるのは、「その部屋で、どんなコトを誰と行うのか」という視点、つまり「場」×「コト」×「登場人物」=「暮らし」という、「暮らし視点」で「ご案内」することがポイントです。自然に、事実上のお客様の住いづくりを、ご一緒に進めてしまうということが、初回面談から実現できます。
初回面談の具体的な流れをつくる手順や、接客スキル、営業スキルは、もちろんノウハウとしてご用意していますが、お客様に接する際の、営業の考え方のベースとして、「暮らし視点」と「顧客心理」の考え方の目的を理解し、個々の営業が場面ごとに、この2つの視点に基づいて考えることが大切です。難しく感じるかもしれませんが、新卒新人でも1カ月で、適切な教育と訓練を行えば、修得可能な誰でも実践可能な営業方式です。
初回面談当日の営業現調を実施
初回面談で、事実上のフルリフォームの発注意思決定していただいていますが、具体的に受注に持ち込むためには、出来るだけ初回面談当日のお客様の帰宅時に、お客様に同行して現状のお住まいへお伺いし、営業による暮らし視点の現調を実施することが有効です。現調と言えば、土台が腐っているか、基礎に鉄筋が入っているかなどの、工事による現調を連想しますが、それとは全く異なる「暮らし視点」の現調です。モデル住宅、もしくは完成住まいの現場見学会で共有化した、「実現したい心豊かな暮らし」を、フルリフォーム対象の現状のお住まいに重ね合わせて、「実現できる、実現して行こう」という、お客様のモチベーションを高めて具体化するために行う重要な営業活動です。
お客様が、初めて「暮らし視点」で気づきかれた、「実現したいコト」を現在のお住まいでも十分に「出来そうだな」という実現に向けて踏み出すことを加速する場面です。
まとめ
新築同等か、それ以上の暮らしを実現するフルリフォームは、現役を退かれてからの時間を、一生の中で最も自由で、好きなことができる時期と捉えた視点で、お客様に向き合うことで、お客様のその時点からの生涯の暮らしにとって、最適の住いを創り上げていきます。また、若いお客様には、物価上昇が続く中で、土地価格も上昇し、街中から離れたエリアで、土地を求めて、新築を目指すよりも合理的で、よりこころ豊かな暮らしが実現できることをご理解いただきます。特に若いお客様には、可能な範囲での、外観デザインの創出や、実現したい暮らしに気づいていただきプラン空間をはじめ、インテリアコーディネート、仕様設備部材を選定し、温熱環境/耐震性能などの住宅性能も、最大級引き上げることで得られる暮らしをご理解いただきます。もちろん、収納、動線などの暮らしやすさ、なども、お客様の暮らしを中心に置いて住まいづくりを進めます。
プロがとかく陥りやすい、撤去出来ない柱などの、出来ない理由、制約事由視点というマイナス要因ばかりに目を向けるのではなく、異なるアプローチも含めて、どうすれば、お客様が気づかれた、こころ豊かな暮らしが実現できるのかという、プラス要因で考えることもフルリフォーム事業を成功させるためには必須です。
このように、従来のリフォームとは全く異なる、新築同等かそれ以上の暮らしを実現するフルリフォームを受注するためには、集客段階、営業段階共に「暮らし視点」と「顧客心理」という全く新しい視点に基づく手法を導入する必要があります。
新築事業も手法を進化させれば、その分野での業績を確保することはできますが、今後は、大きく成長させることは難しく、新たな事業分野への進出が必要です。現在、新築事業を進めておられるのであれば、人的資源も充分にあるはずですから、フルリフォーム事業の担当チームを編成し、適切な教育訓練をすれば、大きく成長可能な未開拓分野として、フルリフォーム事業を成功させることができます。是非、ご検討ください。
先ずは、お気軽にご相談ください。
株式会社ハウジングラボ
代表取締役 一級建築士 松尾俊朗