新人住宅営業を早くデビューさせる方法

注文住宅営業において、新卒新人でも異業種からの中途採用の新人でも、一人前になるためには様々な知識と経験が必要です。
昭和の時代の徒弟制度的な会社では「10年は掛かる」と言われていましたが、これではビジネスとしては成り立ちません。
また、採用された人材から見てもすぐに脱落してしまうでしょう。

新人に短期間で成果を上げて自信をつけていただき、自分も会社に貢献できているという前向きな仕事の楽しさを与えることが大切です。

小さな成功体験を積み重ねて「褒めて育てる」プログラムを用意する必要がありまます。

Contents

部分成果を早く上げるために

住宅を受注するまでの全住宅営業プロセスを身に着けて「受注」という成果をいきなり出せと言っても無理な話ですから部分的な成功体験をさせますが、そのために会社として成果に結びつけることができる「部分的な成果」を上げていただくプログラムを用意します。

結果を出せたという「自信」も重要です。
その結果が会社にとっても「受注」につながるということが新人を活かす営業プログラムです。
「初回面談」を失敗してしまっては何も起こりませんから、先ず「新人に必ず初回面談を成功させる」ためのスペシャル手法を用意します。

本来は「初回面談で自らの暮らしに気づいていただきこの会社がNo.1」とお客様に言っていただくレベルがプロの初回面談時の営業には求められますが、新人にはさすがにこれは無理です。
せめて「この会社のモデル住宅はよく考えられているし対応してくれた人もわかりやすく案内してくれた」というレベルで先輩や上司につなぐことができれば十分「成功し成果を上げた」と言えるでしょう。
最低でもそこを狙います。

新人が簡単な研修で実行できる初回面談

新卒新人と異業種からの新人はともに住宅営業で使っている単語はほぼ理解できない言葉ばかりに聞こえていると思います。
この印象は「覚えることが多すぎる」という先行き困難なことが多くありそうだという「高い壁」を連想させて尻込みし、後ろ向き思考に入ってしまいかねない状況を社内の日常会話で作っています。

「もちろん」覚えなければいけないことですが、「覚えることを目的」として取り組むと挫折しますが「覚えなくてもよいからお客様と一緒に同じ説明テキストを読みながらモデル住宅の案内時に使ってみる」ことでお客様とご一緒に覚えていくというスタイルが効果的です。
そしてお客様に「わかりやすかったよ」とお褒めの言葉をいただくとさらに前向きな心情を得ることができます。

●お客様と説明テキストを一緒に読む

多くの住宅会社ではモデル住宅ご案内は曖昧です。
キッチンの説明もキッチンメーカーの商品説明のように天板の素材だとかIHがどうのこうのという機器の説明です。
住宅会社のモデル住宅案内になっていません。

本来お客様が求めているのは「どういうキッチンが良いキッチンなのか」「この会社のキッチンはどのように使いやすいように考えて設計しているのか」という住宅としての商品解説です。

「良いキッチンを作るための基本になる調理、収納、動線、コミュニケーションの4つの要素があります」と説明テキストをお客様をリードして読み上げます。

何も覚える必要はありません。

お客様も自分の手元の資料に目を落として確認しながら営業の説明が聴けます。

●解説したことを体感体験していただく

お客様に「調理の体感体験」をしていただきます。

お客様の昨日の夕食づくりをモデル住宅のキッチンで再現していただくようにしてキッチンの体感体験を進めます。

サラダづくりなら野菜を冷蔵庫から取り出してシンクで洗いまな板を取り出して包丁で切る。
食器を取り出して盛り付けて食卓に運ぶというように実際の「このキッチンを新しい住まいのキッチンとして使っていただく」という体感体験です。

冷蔵庫とシンクの距離は3歩だったがこれで良いか、食材を切る際の高さは85cm+2cm(まな板の厚み)だが、これで使いやすかったのか、調理台からダイニングテーブルは直線ではあるが7歩、遠くはなかったか等を実際に体感体験していただきお客様に評価いただきます。

結果として会社のキッチンの設えの考え方や使いやすさをお客様に伝えることができ、お客様は自身のキッチンをどうすればよいのかを考えることができます。
この一連の中に「調理」「収納」「動線」が絡んできており、お客様の「なあるほど」を引き出せます。

お客様の暮らしを具体化

良いキッチンを作るための4要素を体感体験で理解していただくことで「住宅という商品のキッチン部分の商品説明」が出来ただけではなく、お客様が「自分たちのキッチンはどうすればよいのか」を考え始めるという「自分ごと化」するという視点に切り替えることが自然の流れで可能になります。
住宅という商品の部屋単位の「説明テキスト」をお客様とご一緒に「読むだけ」でここまで進展させることが可能です。

●説明テキストと体感体験

説明テキストと体感体験を繰り返すことで「お客様の実現したい暮らし」を少しずつ共有化できてきます。

キッチン機能の最も重要な部分は「調理」する場と言うよりも「コミュニケーション」の「場」ですから、奥様にキッチン立っていただき、ご主人様にはダイニングチェアに腰掛けていただき「普通の声で会話」していただきます。
普通に聴こえて顔の見え方もちょうど良いというご夫婦の感覚的な最適位置関係の距離をメジャーで測ります。

体感体験によるコミュニケーションの、このご夫婦の最適化の実現です。
初回面談からお客様とお客様の住まいづくりを進めるということができてきます。

●「これなら出来る、やってみたい」新人教育のポイント

キッチンの例のように同じ説明テキストをお客様と持ちながらそれを新人営業が説明して歩くところから始まり、お客様とご一緒に、住宅の一部分ではありますが住まいづくりを進めることが自然にできるという簡単なロープレ研修をモデル住宅で実施して「これなら出来る、やってみたい」を引き出せれば、前向きのドライブがかかり積極的に営業に取り組む前進力を手にすることができます。

まとめ

新人を即戦力化するためには、一人前の営業が出来る60点でもよいから合格ラインに到達できる営業の進め方から入っていただき、即戦力化するとグングンと成長していきます。
注文住宅営業の暮らし視点の住いづくりの営業手法のプロ用のフルバージョンは「気づき共感営業」方式ですが、新人用には説明テキストをお客様と共有化しながら初回面談を進めて行く「いい暮らし実現営業」方式から導入するなどの新人を即戦力するための仕掛けの工夫が必要です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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