取得率100%が可能になる住宅展示場のアンケート取得方法

アンケート取得は営業活動を始めるのに欠かせないものです。アンケートにご記入いただけなければ、次のご案内も追客も何もできません。住宅展示場や見学会も少なくない投資がされて開催するのですから、来場された方からアンケートを取得するということは最低限しなくてはいけない住宅営業の仕事です。

そうはいっても、アンケートのご記入をお願いしてもスルーされてしまったり、拒否をされるお客様もいらっしゃいます。
見学会の時には、見学会の開催を許可いただいたお施主様に対して見学会を開催するのに誰が来場されたのか名前も分からない方の入場はご遠慮いただくという配慮の為に、アンケートはご入場いただくのに必須にさせていただくということはできますが、自社の住宅展示場ではそうもいきません。

今回は、ご来場された全てのお客様にアンケートをご記入いただく為にはどうすれば良いのかを考えてみます。

アンケート記入は誰のためなのか

住宅展示場や見学会でのアンケート記入は、自社の営業活動に必要だからお客様に書いていただいていると思っている営業の方は少なくありません。
お客様もご自身の個人情報を引き出されるだけのアンケートはできれば書きたくありません。

もちろん、お客様の連絡先をご記入いただき追客できるようにするためという側面もありますが、アンケート記入の一番の目的はお客様の為です。
来場された際に、お客様のことを何も知らずに案内をスタートすると一般論での案内になってしまい、お客様の関心をお持ちでない場所も関係なく時間を掛けて案内することになってしまいます。

「お客様のために」がポイント

住宅会社・工務店の受注を目指す営業上で必要な内容だけ(氏名、年齢、住所、資金、土地に、年収、勤務先、建築時期など)のアンケートだと、住宅営業も申し訳なさそうに「アンケートのご記入をお願いします」とお伝えするのが精いっぱいの状況が多発しています。そもそもお客様は、「家を見るだけなのに、個人情報を含む内容は書きたくない」などの警戒心をお持ちです。さらに、住宅営業の「申し訳なさそう」という雰囲気を感じとり、ますますアンケート記入に後ろ向きになりがちです。したがって、「お客様の住まいづくりのため」のアンケート項目を設定し、「お客様の意向に沿ったご案内のため」という目的を持たせたアンケートに変えると、お客様も「記入してもよい」状態になり、住宅営業も申し訳なさを感じずに、お客様にアンケート記入をお願いすることが出来るようになります。
アンケート記入をしていただくことで、お客様に合わせたご案内ができご来場いただけた時間を有効にお使いいただくことができます。
お客様のお住いの計画に役立つ案内にアンケート記入が必要だということをアンケート記入時にお伝えします。

【関連記事】住宅営業におけるアンケートの取得タイミングと位置づけ

お客様の意向を把握できるアンケートとは

「お客様の意向に沿ったご案内をするため」というアンケートは、記入するとお客様ご自身に合った案内をしてもらえ、良い住まいづくりにつながるということがお客様に伝わる項目でなければなりません。

お客様の関心事を知る項目

自社住宅展示場や完成住まいの見学会へのご来場動機や他社の気になっている部分などは、初期段階ではお客様の関心の方向を掴むためには有効な項目です。そして、ご家族でご来場されているお客様の場合には、ご主人様、奥様お二人それぞれにご記入していただくことがポイントです。そうすることで、ご主人様、奥様それぞれが、「自分の事を考えてくれている」と思っていただけ、自分に合った住まいづくりのためのアンケートであることが伝わります。

新しい住まいで実現したいコトを知る項目

「収納を多めに」「部屋数を多く」「動線を良く」などのご要望はよくあると思いますが、これは現在の暮らしでの「不満解消」という範囲の話であって、「実現したいコト」とは別の話です。また、Instagramの画像で、気に入ったインテリアやデザインなどでお好きなイメージを伝えてくださるお客様も増えていますが、これも住宅の外形のイメージであって「実現したいコト」とは別の話です。

「実現したいコト」というのは、大きなイベントである必要はありません。日常の暮らしの中の1シーンで「心豊かになれる」ことで充分です。
例えば、朝食の時間が唯一家族全員が揃う時間だとすれば、DKを北側でなく朝陽が差し込む東側に設けて、明るい朝食の時間にすると気分よく1日が始まる工夫などの「ささやかでも幸せなシーンがどういうものなのか」をお客様に気づいていただき、考えていただくところから始めます。しかしながら、「新しい住まいでどんなコトがしたいですか?」と質問しても、明確に答えてくださるお客様はほぼ皆無ですので、新しい住まいで実現したいコトに関しては、ご記入いただいた内容を基に、少しでも関心を持たれた部位から、新居での新しい暮らしを触発しながら、お客様ご自身が「実現したいコト」に気づいていただくようにご案内を進めることが重要です。

アンケートご記入内容を確認する

アンケートをご記入いただけた後にも、ほとんどの営業担当者はアンケート記入項目が埋まっているかを一瞥しただけで案内をスタートしています。
これは、アンケートをせっかく書いていただいたお客様に失礼ですし、アンケート内容を反映したご案内になっていません。

アンケートに書いていただいたお名前を確認して、その後はお客様のお名前でお呼びするのは当然ですし、ご職業は会社名まで書いていただけなくても職種をお聞きするようにします。
職種によって生活時間帯なども変わり案内する際の内容にも大きく関わってきます。
また、学校や職場の場所との距離により通勤、通学時間が変わり、朝食や朝の支度の時間帯が変わり、キッチンや洗面などの使い方にも影響がでてきますので、アンケート内容を確認して案内の仕方を変える必要があります。

お客様にご記入いただいたアンケート内容を確認し、反映した案内の内容をお客様と共有するようにします。

アンケートご記入内容を活かした案内

アンケート内容を活かした案内をする際にお客様の関心事についての案内を行うには、アンケートの内容にも工夫が必要です。
来場されたご夫婦それぞれの関心事項を記入できる項目を用意します。

① 来場動機(何が気になって当社に来場されたか)
当社へご来場された理由に、何らかのお客様の関心事項が含まれている可能性があります。
「当社への来場動機」という項目をアンケートの設問に加え、記入して頂けていない場合もお聴きするようにします。

② 他社の住宅で気になったところ
他社の話をされると嫌な表情をしてしまう営業担当者の方もいらっしゃいますが、「競合に巻き込まれている」とマイナスに捉えるのではなく、他社住宅を見学された時に気に入ったところ/気になったところは、「お客様の関心事を理解するため」として、お聴きするようにします。

③ 新しい住まいで実現したいコト
これが一番聞きたい項目です。ただし、いきなり「どんな暮らしがしたいですか?」とお聴きして応えられる方はほぼいらっしゃいません。この項目は、ご案内をしながら「ここでお客様ならどんな暮らしをされたいのか」をお聴きしながら埋めていきます。

④ 現在のお住まいへの不満
現在のお住いの不満点は、お客様が書きやすい項目です。現在のお住いへの不満を解消できるのかを、ご案内しながら確認していきます。

上記の①~④の項目をアンケートにご記入いただき、お客様の関心事についての案内方針を設定します。
自社の情報収集のためのアンケートではなく、ご記入いただいた内容に基づいて、ご来場いただいた場所では『この部分でご案内させていただけます。』とお客様の関心事についてご案内することをお客様にフィードバックします。

お客様が、お住いの検討を進める上で役立つ案内に活用するためのアンケートを実施することで、アンケート記入率を高めることが可能です。
弊社の住宅営業サポートを受けられた住宅会社様/工務店様に、見学会や住宅展示場で、このアンケート取得方法を実践していただいた住宅営業担当者の中には、アンケート記入率100%を達成したケースが多くを占めます。営業チーム平均では、80%、90%を超えるアンケート記入率を実現できています。

お客様の関心事が初回来場時に掴めることで、その後の追客活動も的を外さない資料や情報をお届けすることができるようになります。

見ていただいた住宅の感想の項目

「ご覧になられた住宅についてのご意見・ご感想」という項目は、当日ご案内した住宅展示場や見学会の振り返りを行っていただくことで、お客様の自社住宅の印象を強めるための項目です。そして、良かった部分と良くなかった部分の理由をお聴きして、次の対策の手がかりにします。

まとめ

初回来場時にお客様にご記入いただくアンケートは、単なる住宅建築に必要な個人情報などを取得する物ではありません。お客様のご意向に沿ったご案内を実施し、自社住宅の良い印象を与え、さらに、「自分の事を考えてくれる」「自分の事をわかってくれる」住宅会社/住宅営業として認識していただいて、お客様の住まいづくりの検討を進めるのに役立つアンケートを実施しなくてはなりません。
初回面談を成功させるため、また、ご来場されたお客様にとって最適なご案内ができるということを、アンケートを使って共有することが大切です。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する、スピード感のある住宅営業手法をご用意しています。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

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