住宅営業におけるアンケートの取得タイミングと位置づけ

住宅営業のコンサルティングや研修中によく問われる質問があります。「モデル住宅や完成住まいの現場見学会でお客様がご来場された際にアンケートを取得するのはどのタイミングが正解でしょうか?」「最初にアンケートを取得するのは拒否される方もあり、どうもこのやり方はよくないのではないでしょうか?」「最初にアンケートは取りにくいので、最後にアンケートを取得しているのですが結局取得できないまま帰られる方もいらっしゃるので、これで良いのでしょうか?」というアンケートの取得タイミングを問われます。以前に比べると来場者組数は減少しているので「せめてアンケートくらいは、漏れなく取得したい」という思いが強くなっていることも関係してのご質問だと思います。このようなアンケートの取得タイミングに関する考え方と併せてアンケート取得の目的、住宅営業における位置づけについても考えてみましょう。

アンケートは誰のためにお客様に記入していただくものなのか

住宅会社/工務店視点で考えれば、お客様の氏名、年齢、住所から始まるお客様ご家族の個人情報と住宅建築に関わる資金や土地に関する情報、建築時期などが知りたいのだと思います。このような住宅会社/工務店の受注を目指す営業上の必要な内容だけのアンケートでは、住宅営業はおっかなびっくり、上目遣いで「アンケートを記入いただけますか」とビビりながらのお願いということになってしまいます。アンケート記入をいつお願いするのかというタイミングの問題ではないと思います。お客様の視点で考えた場合、「個々のお客様の住まいづくりに役立つ」内容という、お客様のメリットが明確に伝わる内容なら記入しても良いということになります。このように、アンケート記入は「お客様の意向に沿った住まいづくりのため」というアンケートの使用目的に適合した内容に改めると、アンケートの位置づけが大きく変わります。
これからモデル住宅や完成住まいの現場見学会の住宅をご案内するに際して、お客様の意向を反映したご案内をするためにということになれば、自然にご来場最初期に記入していただくということが最適ということになります。また、記入した方が自身に合った案内、住まいづくりにつながるということが分かる内容なら、お客様のアンケート記入の抵抗はなく、むしろ積極的な姿勢に変わります。「アンケートはお客様の良い住まいづくりのために記入していただく」ということがポイントです。

受注成功の80%を占める初回面談の成功につながるアンケート内容

初回面談を失敗すると受注困難に陥ることはある程度、住宅業界内でも認識は一般的になっていると思います。特に、コロナ禍の2年間でお客様の行動様式が変わり、多くのお客様が事前にホームページやSNSなどで住宅会社/工務店の情報から、観る価値のある住宅/会社と判断されて、「事前予約」の上、来場されています。従ってこれといった目的なく浮遊する様に来場するお客様は減少し、結果としてモデル住宅等へ直接来場されて接触する会社数は、1/3程度に減少しています。逆に言うと、初回面談で失敗すると期待を裏切りますので、「次で何とか」ということが不能という「復活できない致命傷」になりかねないという状況になっています。

●受注に繋がる内容がない次アポ取得は初回面談失敗

お客様の初回面談時の「断り方」にも変化が見られます。「他社も検討したいので」という断られ方で、初回面談時の最後に次アポが取得できずに終了というのは、完全に初回面談の失敗です。
また、土地をお持ちでないお客様への土地案内のアポイントは、取得できてもこれは「天ぷらアポ」で住宅の受注につながりません。こうなると復活の可能性はかなり低くなります。

●アンケートさえ取得できれば成功という初回面談は過去の話

アンケート取得、内容が無くても次アポが取れれば後で何とでもなる、というのは過去の話です。
住宅営業は「適確な情報提供」を受注プロセスごとに適切に積み上げるというのが「ネット社会」化した現在の住宅営業を成功させるポイントです。適切な「情報提供」を初回面談で外すと脱落します。

アンケートの機能は「お客様の関心分野、方向性を掴む」こと

住宅会社/工務店が思う以上にお客様は多様化しています。個々のお客様の関心分野、関心の方向を掴んで住宅をご案内する必要があります。関心がない部位の案内は「ふ~ん」か「ウザイ」話です。自社特長をしゃべりたいというのが一般的な住宅営業ですが、「お客様の注文住宅」ですから、お客様の「注文」をお聴きする方が優先されるべきです。そういわれても「適切に注文できない」のがお客様ですから、「お客様の関心事項を引き出すための仕掛けをアンケートに4項目ほど組み込み」ます。その4項目での反応でモデル住宅などのご来場いただいた住宅の案内カ所を絞って、住まいづくりの重心を共有化するようにすると受注に大きく前進します〈この4項目はじめ適切なアンケート作成には弊社のコンサルティングもしくは研修をお受けください〈https://www.housing-labo.com/#top-consulting〉。

適切な内容のアンケートはお客様の本音が出る

受注できたお客様、受注活動の終盤で失注したお客様、双方とも振り返って初回面談時に取得したアンケートを改めて見返すと、驚くほどお客様は正直に「本音の思いが記入」されています。
営業活動の失敗がどこにあったのかを思い知らされますし、成功した場合は初回面談と最初期に取得するアンケート内容の重要さを改めて理解することになります。

●アンケートは初回面談の最初と最後に活用する

アンケートの表面は「お客様ご家族の個人情報、建築計画概要」と「お客様のご関心事項と方向性」で、この情報に基づいてご案内方針を設定しモデル住宅の案内を進めます。アンケート裏面は「モデル住宅でご案内した内容、部位の評価」と「知りたい情報」で、今後の住まいづくりの方向性をお客様営業が共有化します。
アンケートは初回面談を成功させ、受注につながる営業プロセスをスタートさせる重要なツールです。

まとめ

アンケートは従来の「名前と住所さえ記入してくれれば後からなんとかできる」時代とは大きく様変わりしています。現在のお客様の行動様式に対応した書式と内容に変更し、適切な運用を行う必要があります。これができると大きく受注に向かって前進することができ、適切な受注プロセスに導くことが可能です。
常に「お客様の暮らしを中心に置いた」視点で営業を進めることが求められる現在において適切なアンケートの作成と運用は重要度を増していますhttps://www.housing-labo.com/#top-consulting〉。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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