モデル住宅が「楽しそうでしょ」と語りかける集客
2022/04/25
コミュニケーションの80~90%以上は視覚情報によるものだと言われています。言葉によるコミュニケーションは、思っている以上にそのウェイトは少なくある意味驚きです。総合住宅展示場、もしくは単独住宅展示場のモデル住宅の集客の手法についても考え方を変える必要があります。「玄関前にテーブルを出して呼び込み」などは一定の効果はあるというものの、「これで良いいのか」「前線ではこれぐらいのことしかできない」という声はいつもあります。そもそも「モデル住宅が集客の主役」です。主役であるモデル住宅に「楽しそうでしょ。この住宅での暮らしは」と視覚的に語りかけてもらうというのが「前線で出来る集客策」です。
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「楽しい暮らしが出来そうなモデル住宅」は意外と見当たらない
総合住宅展示場を歩いてみても、あるいは「ああ、あそこにあるな」と気づいてはいるが行ったことがない単独住宅展示場も、「楽しい暮らしが出来そうなモデル住宅」には見えません。賑やかしの昔ながらの手法で万国旗を飾ったり、風船を飾ったり、「マスコットキャラクター」や「ゆるキャラ」を表に出したりはしても、「楽しそうな暮らし」を訴えかけて来るモデル住宅は中々見当たりません。何かモデル住宅の集客の主旨が間違っているのではないかと思います。総合住宅展示場の主催者が「アンパンマンショー」で集客数を確保した数字を出展企業に伝えても、「こういう集客じゃ、住宅の客じゃないよね」とブツブツと不平が聞こえてきますが、同じことを各モデル住宅で行っているように見えます。
楽しい暮らしが見えるように工夫をしましょう。モデル住宅に「楽しそうでしょ、このモデル住宅での暮らしは」とモデル住宅にビジュアルな視覚情報の発信で語り掛けてもらいましょう。
「キャンプをテーマ」にしただけでも楽しい暮らしが伝わる
幾つかの会社で「お家でキャンプ」あるいは「お家でもグランピング」というテーマで可能な限りリアルで「ド本気」のセッティングのグランピング企画を実施しました。リビングを開け放し、ウッドデッキを一杯に使って「どうだ楽しいだろう」「お家でここまで出来るんだぞ、グランピングが」とモデル住宅に前を通るすべての人にインパクトを持って伝わるように、ビジュアルで語りかけてもらいました。効果は絶大です。集客数はそんなに増えませんが、目的を持った方が来場されますから「暮らし触発営業」が最初からできています。その結果、「こんなことも、あんなこともできそうだねと」新しい住いでの楽しい暮らしが具体的に見えたというお客様が多く、受注へ直接結びつくお客様が中心で、しかも短期間で成約に結び付きました。モデル住宅によっては2階のベランダや、屋上でも「こんなグランピングはどうですか」的な提示もでき、「アウトドアを楽しむならあそこを見た方が良い」とSNSで波及していきました。モデル住宅による楽しい暮らしの発信例です。
●インナーガレージのあるモデル住宅
インナーガレージのあるモデル住宅は結構あっちこっちにありますが、ミニクーパーなんかが置いてある程度です。それでも具体化して見えるので効果はありますが、インナーガレージの中まで完全に作り込んで「こういう車の楽しみ方はどうだ」とか、バイクいじり、オールドカーのレストア、陶芸のスペースとして電気釜まで用意して、楽しみ方のバリエーションも発信します。あの手この手のアイデアは社員の発想力の問題です。
手間もお金もかかりますが、「受注につながる楽しい暮らし」のモデル住宅を使っての発信は受注に結び付き効果的です。SNSなどでの情報発信と併せると、新たな客層を拡げ、自社商品の魅力的な付加価値を伝えることができます。
●お客様の想像力を利用する
「お家でキャンプ」とかで発信すると、そういう客しか来ないのかと考えがちですが、お客様はモデル住宅からの発信情報を「自分なりに昇華」して来場されます。「キャンバス生地をパーゴラの上に張って地中海の海岸通りにあるようなカフェのような雰囲気でホームパーティがしたい」というように「お家キャンプの触発がそのお客様の実現したいコト」を引き出しています。
「インナーガレージ」の発信も、実際の来場者で程度の差はあっても、車いじりがしたい人は1割程度であとの方は「花屋を妻がやりたがって」とか「途中で雨が降っても大丈夫だから近所のお子さんを遊ばせるアウトドアのプレイルーム/スペース」にしたいとか、まさにお客様の多様な発想に驚かされます。お客様の想像力を触発したのはモデル住宅での「こんな楽しい暮らしができますよ」のビジュアル化による「見ただけでワクワクする暮らし」が伝わる「ド本気」の暮らしディスプレイです。
まとめ
集客は量を追う時代から受注につながる集客の質の時代に入ったと思います。また、コミュニケーションの大半はビジュアルによるものということから、集客の場の主役であるモデル住宅に「そこでの楽しい暮らし」を発信させるという視点を持ってください。
ただし、受注に直結させるためには「暮らし触発営業手法」や「気づき共感営業手法」の修得が必要です。3カ月に1度程度のモデル住宅からの楽しい暮らし発信内容の新規企画も含めて営業手法と集客企画の在り方も変革が必要です。
《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士