「建築資材高騰だから受注が取れない」というのは言い訳

住宅原価(建築コスト)は高騰が続いており、2020年から5年間で約26%上昇、2030年には約49%増(2020年比)に跳ね上がる見通しです。
仮に給与所得が2%アップしたとしても、家庭の電気ガスといったエネルギ―コスト、食料品、日用品の原材料価格アップによる価格転嫁が各分野とも止まらず、生活費全般が圧迫される中で、これよりも一桁上回る住宅の価格上昇率と住宅建築費の絶対額の大きさを考えれば、「建築資材高騰だから受注が取れない」というのも正当な理由のように聞こえます。
しかし、実際の営業場面では、お客様はどのように考えて行動し、どういう現象が起きているのでしょうか。その対策はどうすればよいのかという現実的な発想が必要です。

価格帯はシフトするが需要が消失したわけではない

現場で起きている現象は3つに分かれます。先ず、気づけば従来よりも所得上位客層が2~3割増加しています。

最上級客層を従来から狙っている場合を除き、必ずこうした現象が起こっています。つまり新規来場者の2~3割は、従来よりも所得上位客層が上から降りてきており、お客様の望む付加価値を提供すれば「簡単に受注」できます。いわゆる「おいしいお客様」です。

客層の中ほどを占める3~4割のお客様層は、従来客層の上位2/3を占める客層です。
従来の対応で概ね受注できますが、現状ではより価格に敏感な客層が3割程度増えているように見受けられます。あれもこれもと付加価値を提示すると価格オーバーになってしまいます。
この自社対象客層の中の価格鋭敏層には、「これだけは実現しましょう」という「暮らしの重心を絞る」対応が必要です。

個々のお客様が魅力に感じる付加価値は必要で、「お客様予算」に縛られて付加価値を削り、床面積を縮小すると敗退への道をまっしぐらです。
お客様の「ご予算」~「Max資金計画」の間で、付加価値を絞って「実現しましょう」が受注には重要な考え方です。

一方、従来客層の下から2~3割はこうした的を絞った付加価値も採用できない場合が多く、単純な価格合わせの付加価値の無い縮小されたプランでは受注は出来ません。
こうした客層にこだわってしまうと「価格高騰で受注が取れない」という考えに縛られてしまいます。全体を俯瞰すれば、全体に所得客層が上位へシフトしたということです。

上位客層にシフトしたときの注意点

一般に上位客層ほど要求が強くなったり、複雑化しやすいという傾向があります。営業技術としては「お客様を受容れる」技術がポイントです。徹底的にお客様を受容れるが言いなりにならず、お客様を理解してポイントを押さえた対応をするということです。

住宅営業の接客対応について、お客様からの不満の6割を占めるのは「私の話を聴いてくれない」「相談したかったのに」という部分です。「話を聴いて欲しいお客様」に対して、「自社特長を話したい住宅営業」が「対立軸」を生み出してしまっています。注意しましょう。
「住宅については白紙状態でまだ何も考えていない」というお客様も約4割程度いらっしゃいます。だからと言って「住宅営業が自社特長を話す」というのも間違いです。「場が持てないから話した程度」のようなものです。聞いてはくれるでしょうが効果は疑問です。

「ご自身がどんな暮らしを実現したいのか」ということを気づいていただかないと、注文主の注文が無いままの「注文住宅」という意味不明の住宅になってしまいます。ご自身の暮らしへの気づきにつながる様々な触発が必要になります。

●お客様の「予算」に縛られないこと

お客様がおっしゃる「ご予算」という金額的な枠組みでは根拠が明確なものは少なく曖昧な状態が大半です。
ところが住宅営業は真面目にこれに合わそうとしますから、魅力のない住宅になってしまい受注につながりません。「『ご予算』以上『Max資金計画』未満」でお客様の満足につながる「個々のお客様が魅力に感じる付加価値への投資」をしたいと気づいていただくようにするのが住宅営業の仕事です。
単純な予算合わせの住宅営業は失注につながるだけです。

●最近の断られ方で特徴的な現象

この2年間のコロナ禍でお客様の行動様式が変わり、事前にネットで候補会社を絞ってネット予約の上、ご来場されるようになりました。絞って来場されたお客様の期待を裏切ってしまうと再挑戦はほぼできないという現象が起こっています。
お客様の話されたいコトを受容れてよくお聴きする、関心事を掴み方向性を持っても初回面談を進めることがより重要になってきています。
これに失敗すると「別の会社も検討するので」と言われて次アポも取得できず、「これにて終了」となってしまいます。改めて初回面談の重要性がクローズアップされています。

まとめ

「建築資材高騰だから受注が取れない」という言い訳が出ないように住宅市場の変化を俯瞰して冷静に全体像を理解して社内で共有することが大切です。

気づかぬうちに来場されるお客様が高所得客層に少しずれたという現象と併せて、事前にお客様が住宅会社/工務店を絞って来場されているということ。
このお客様を理解する姿勢、受容れる姿勢が重要だということ。

また、不毛な価格合わせでは受注できず、お客様が「ご予算」範囲で耐久消費財を買うという行為から「個々のお客様に取って魅力的な付加価値」への投資をしたいという行動へつなげることが受注のポイントです。お客様の「実現したいコト」を共有化することが重要です。

ハウジングラボでは、お客様が「見て分かる」魅力的な付加価値で、住宅の単価が上がっても受注できる営業プロセスをまとめました。
お客様が「見ればわかる」シンプルな手法なので、営業全員が戦力化できる営業方式になっています。
詳細内容は無料オンライン相談でご説明しますので、下記URLからお申し込みください。

≫無料相談申し込み

住宅事業の安定継続/発展に役立つ無料のオンラインセミナーも毎月開催しています。弊社のノウハウの一部を公開していますので是非参加ください。
■住宅事業セミナー
https://www.housing-labo.com/seminar

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

関連記事

5~7万円/坪価格アップ下の住宅営業と商品運用

春は値上げのシーズンですが、住宅建築原価も自助努力の限界を超えて5~7万円/坪の価格アップは避けられないという住宅会社/工務店が多くなっています。「価格が上がったから売れません」ということは口が裂けても言えないのが営業で […]

住宅の価格アップ時代には「気づき共感営業」が強力な武器になる

住宅業界は30年振りの価格アップ時代に突入しました。「超低金利デフレ時代」が続きましたが、外的要因によって資源/資材のインフレへと急速に転じています。住宅価格アップ時代に適応させ、住宅事業を発展させる方策がこの春からは必 […]

「モノからコトへ」の住宅事業の新スタイル

景気は回復基調にありますが、目の前の集客が少ないとか、建設資材は上がり続けるとか、明暗が混ざった昨今の市況環境です。もう少し全体を俯瞰して考えてみると、自動車産業と同じように住宅産業も100年に一度の大変革期に差し掛かっ […]

新着記事

注文住宅のビジネスモデル転換

Contents1 縮小した市場で、何を変えるべきか1.1 1.多くの住宅会社が陥っている発想1.2 2.自由設計という言葉の誤解1.3 3.顧客と一緒に考え「プロが暮らしを設計する」視点1.4 4.顧客は自身の「未来の […]

画像・動画がメインの住宅営業ツールは営業の代わりに働いてくれる

実物が目に見えない「住宅」という商品を売る注文住宅営業は、お客様にお見せできる「モノ」が限られているため、「会話力」での営業力を重要視してきました。現在もこの傾向が根強く残っていますが、お客様にとって住宅に関する「言葉」 […]

工務店・住宅会社向け 展示場/見学会で少数でも本気度の高い集客方法

工務店/住宅会社のみなさんが、お客様と出会うまでという意味でのマーケティングは大きく分けると2段階あります。 ①地元への認知段階②行動喚起段階(集客、資料請求) 地元への認知段階は、オンラインでの情報発信や看板などのオフ […]

住宅展示場・見学会でのお客様を惹きつける資料の見せ方・伝え方

同じ資料を使ったとしても、住宅営業がお客様への資料の見せ方・伝え方の違いで、理解度や共感度、さらには自社への関心度に大きく差が出ます。今回は、住宅営業が住宅展示場や完成住まいの見学会でお客様を惹きつけて関心を高める資料の […]

今の時代住宅事業で『安ければ売れる』『付加価値があれば高くても売れる』という考えは、どちらも間違い

住宅営業にとって自社住宅の価格や付加価値は確かに受注状況に大きく影響します。従来の「他社より価格が『安ければ売れる』」や「他社より価格は少し高いけれど自社住宅は差別化できる『付加価値を持っているので売れる』」という考えだ […]

注文住宅は「耐久消費財」から「未来への投資」へ変革の時

数年前に比べ住宅の価格が数段アップしている現在、コストダウンなどの企業努力だけでは対応しきれない状況です。この難局を乗り切り、注文住宅事業を安定継続させるための従来とは異なる考え方の住宅営業について考えてみます。 Con […]