住宅価格上昇場面では増改築事業が伸びる好機到来

過去を振り返っても、古くはオイルショック時も原材料価格が高騰し、住宅業界を直撃したため、新築住宅価格は急騰しました。好景気の好循環時のインフレとは異なり、近い将来を含む現在の給与所得の伸び率を大きく超える住宅価格の上昇局面において、「価格を抑えての新築並みの増改築事業は伸びる好機」と考えられます。新築に比べて遜色のない暮らしが実現できて、コストが抑えられるといったメリットがクローズアップされ、注目される事業です。

新築住宅需要を取り込む視点での増改築事業を

修繕、取替、リフォーム、改装、増改築、リノベーションなど様々な既存住宅をベースにした事業はあり、住宅価格が急上昇している局面では、すべての分野で既存住宅対象の建築事業は伸びますが、特に新築市場に食い込むことができる「本格的な新築並みの増改築」を伸ばす好機到来だと思います。ただし、従来の同じような住宅価格上昇局面での対応と異なるところが大きく2点あります。

1、住宅の高性能化に対する対応
・耐震/断熱気密/耐久性の確保は必須です。どこまでの性能を確保するのかは、公的な基準のどこに狙いを設定するのかも含めて検討する必要はありますが、対象の既存住宅の築年数と保有性能も勘案して、投資可能な資金というマーケティング的に判断すべき面もあります。総合的な判断の上、曖昧な言い方ですが新築並み以上の水準の性能確保が必要です。

2、お客様の暮らしの多様化への対応
・場所さえ良ければ中古住宅を購入して増改築してきれいにすれば売れるというビジネスもありますが、一般的にお客様が所有されている既存住宅は性能もさることながら、お客様の現在の暮らしとの不整合が大きな問題になります。実際には、既存住宅での日常生活に慣れてしまっているため、「これが普通」で住みづらさを意識せずに過ごしておられるお客様も多くいらっしゃいます。建替か増改築かと悩んでおられる方は、総合住宅展示場で最新のモデル住宅に触れる機会もあろうかと思いますので、「新築市場を食う」ことを考えるなら、この部分への対応は必須です。

このような2点を勘案して、「新築住宅需要を取り込む視点での増改築事業」は何処がポイントになるのか考えてみましょう。

「スピード」と「分かりやすさ」が全てについて重要

初回面談時に、その足で現調が可能ですから、床下や天井裏などの構造チェックの他に室内の現在の暮らし方までが初日に把握可能というアドバンテージを活かして、営業戦略として「スピード」を重視します。構造については、基礎の配筋状況確認なども含む現況調査(チェックリスト整備)、それと併せてお客様の許可をいただいて、室内の現状の写真撮影、収納内部の写真撮影を行い、現在のお住いの不満点についてお聴きします。画像は持ち帰って、どこが不便でどこを改良すれば、より便利な暮らしができるかなどをチームで検討します。
従来の現調では構造面と施工面に気を取られて、せかっく現在のお住いの中に上がり込むことが出来ているにもかかわらず、何も暮らし視点での情報を掴むことなく終了、という場合がほとんどでした。せめて写真は持ち帰りましょう。一般に新築系の営業では、お客様宅に上がるには数週間以上はかかりますから、最初期にスピードという面で大きなアドバンテージが持てますので、これを活用します。

●積算もスピード化

既存住宅の全面的な増改築となると、新築のような積算方法をとる会社が多くみられますが、「スピード」が急に遅くなりますので、簡易積算システムで概算でいくらと30分程度で積算可能な仕組みを構築します。
既存建物が開けてみたら意外と腐食していたということがありますから慎重になるのは分かりますが、ある程度のリスクヘッジを年間の仕事量でカバーするという割り切った考えも必要です。

●プラン作成時は暮らしの改善の画像解析を

既存建物の図面を起こして暮らし改善案を盛り込んだ改良プランを作成します。その際に有効なのが、現調時に撮影した室内の画像と収納内部の画像です。チーム内での検討結果を受けて改善案を盛り込んだプランを作成します。つまり初回面談後1週間でプランと見積が最短で可能という「スピード」がポイントです。

新築住宅に勝つためのポイント

受注戦略としては、「性能機能が同等」で「価格が2/3」というのが基本方針です。

1、「安全/安心/快適」という性能と、「生活利便性」という部屋数、収納、動線という意味での暮らしやすい家という面で新築と同等であるということ。
2、価格面で新築の2/3というラインを目指します。

「シンプル」に分かりやすく「スピード」を持って新築系の会社を凌駕します。

価格アドバンテージが弱い場合

価格的に新築の2/3が実現できない場合は、「暮らし視点」を強化します。「安全/安心/快適」という性能と、「生活利便性」という部屋数、収納、動線という2つの軸は満足していても、これは不満/不安要素を改善したレベルですので、これだけでは価格面で大きく上回れない場合は、暮らしのマイナス要素である不満/不安要素が払拭されたら、「せめてこれだけは実現したいコト」という暮らしのプラスの要素をお聴きして実現を目指します。あれもこれもと盛り込み過ぎず、「重点を絞って実現したいコト」を盛り込みアドバンテージを掴むようにします。

●暮らしのプラス要素を難しく考えない

「実現したいコト」について大技を考えない。
大きな実現したいコトをお考えのお客様は、最初からそう言う要求は出ています。むしろ現状の日常生活のちょっとした幸せなシーンを楽しむための「工夫」程度と捉えてください。例えば、家族でゲームをするが、どういうゲームなのか、タブレットを使うのかスマホなのか、TVゲームなのか、そのシーンを簡単に演出するLED照明の色温度設定で、盛り上がるとかのお客様の暮らしに寄り添った「実現したいコト」の触発です。

まとめ

原材料価格が未だに上昇していますので、しばらくは住宅価格が上昇し続けるか、高止まりをすると考えられます。これに一般消費者の給与水準が追いつくまでの期間は、少なくとも数年以上は掛かると思います。
この間に新たな事業として新築住宅需要を取り込む視点での増改築事業を展開されることをお勧めします。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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