営業のスキル不足の解消法

営業は、普段の「トーク」が上手ければ受注できるわけではありません。では、営業が成果を上げるために必要なのは、どんなスキルなのでしょうか。今回は、成果が上がらない営業には何が足りていないのか、そして、その解消法について考えてみます。

成果が上がらない営業の特徴

思うように成果が出ない営業には、以下のような特徴が考えられます。

・見込み客がいない
・ヒアリングがうまくいかない

見込み客がいない

住宅展示場や完成住まいの見学会などでの初回面談は、受注成否の80%に影響すると言われています。
この初回面談を「名簿獲得」の位置づけにして、どのお客様にも同じようなご案内をした場合、お客様の心が動かず、見込み客にはなりません。
また、住宅は超高額商品なため購入するかどうかの決定には慎重になるのが当然なうえ、物価上昇率に給与所得の上昇率が追いついていないことなど、住宅の購買行動がさらに慎重になっていますので、印象に残らない初回面談では、尚更見込み客の獲得が難しくなるのです。

ヒアリングがうまくいかない

ご来場されたお客様の住所/氏名/資金/土地の有無などの建築与条件を「お勤めの会社は?」、「建築予定地は?ご両親様の土地?」、「部屋数のご希望は?」といった質問ばかり投げかけていませんか?このような場合、お客様にとっては尋問のように感じられ、さらには、「自分の話を聞いてくれない信用に値しない営業担当者」というレッテルを貼られてしまい、受注どころか見込み客にもならないのです。
また、ヒアリングが苦手という意識から、お客様に対して説明ばかりしている場合もあります。営業にとっては「自社住宅の特徴を説明しきった」という達成感があるかもしれませんが、お客様の住まいづくりに対する考えをお聴きできていない、つまり、受注を獲得するために重要なことをお聴きできていないことが成果が上がらない原因です。

営業が成果を上げるために必要なこと

営業の仕事は、お客様が希望する暮らしが実現する住まいづくりのお手伝いをすることです。
初期段階では建物としての「新しい住宅」を求めて来場されるお客様がほとんどです。予算は3000万円、広いリビングが欲しい、部屋数は4部屋などのご要望ですが、お客様ご自身でも気づいていない潜在している「暮らしへの希望」を引き出し、これが実現できるような情報提供とスピード感ある対応が営業には必要なスキルです。

お客様の話をじっくりお聴きする

お客様は、自分に関心を持って聴いてくれる住宅営業担当者には、不信感ではなく安心感を覚え、心のバリアがなくなります。営業が「もう十分に話は聞いた」と判断するのではなく、「お客様ご自身がお話になりたいことを十分に話せた」と満足されるまで十分にお聴きします。判断軸はお客様側にあります。これによってお客様は自身の住まいづくりについて「重視された」と満足度が上がります。

建築適齢期である20代後半~40代前半のお客様は、個性や人間性を尊重された学校教育を受けており、「みんなと一緒」である必要は無く、「自分に合ったモノやコト」を好みます。したがって、「一般に良い住宅と言われる家」、「良い部材や設備を使った家」、「高い性能の家」などの「モノの良し悪し」で判断しかねない表現には魅力を感じません。家を建てることによって出来る「楽しいコト」「うれしいコト」「安らぐコト」などに魅力を感じます。したがって、お客様が関心をお持ちのことや知りたいことには営業からお応えしますが、基本は、ご家族それぞれの興味関心事をお聴きし、深く堀り下げていきます。

例えば、家族と過ごす時間も楽しいが、「一人で動画見ている時間も好き」というお客様には、一人になれる場所で動画を見たいのか、リビングやダイニングなどの家族もいる場所でTVで動画を見たいのか、寝転ぶのか、スマホ(タブレット)スタンドは必要なのかなどの動画を見る環境もお聴きし、最適な空間についても共有して、家族全員の新しい暮らしへの期待を高めます。
また、お客様のご希望を実現するために、お客様が好きなコト/モノ、よく行っている場所など、一見住まいづくりに関係ないようなことでもじっくり話をお聴きして、「お客様の暮らしが幸せになるポイント」を見つけます。

こうした「暮らしのコト」を見つけ出し、お客様と共有することで、自社での住まいづくりへの期待値が上がり、見込み客になり得ます。

「聞き取り調査」というヒアリングはしない

年収を推測するために勤務先の会社名をダイレクトにお聞きしても答えを渋られるお客様もいらっしゃいます。営業からの質問攻めにうんざりしていらっしゃる状態なら、尚更お答えくださるはずもありません。しかしながら、お客様の話をお聴きしている流れでのやりとりであれば、お答えくださいます。
例えば、パソコンを操作できる専用スペースが2人分欲しいというお客様の場合、仕事をするためにパソコンを使うのか、YouTubeに公開するための動画編集をするためなのか、など、パソコンで何をするのかをお聴きすることで職業を知ることが可能になりますし、お客様の実現したいコトの情報も得ることもできます。
そして、自分が興味関心があることに関しては、「語りたい」のがお客様ですので、お客様の話をじっくりお聴きして情報を得ます。

まとめ

営業で成果が上がらない場合、「見込客がいない」「知りたい情報を聞き出せない」などの原因が考えられます。お客様の不満の約6割は「自分の話を聴いてくれない」「相談したかったのだが・・・」という内容ですので、営業は話すよりも、お客様の話を聴くことに集中して「自分たちのことを理解してくれている」という信頼を得ます。そうすることで、見込客獲得とヒアリングの課題を解決できます。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する、スピード感のある住宅営業手法をご用意しています。
自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の5分野からなる住宅営業サポートです。

是非ご活用ください。

■ハウジングラボの住宅営業サポート
https://www.housing-labo.com/consulting

住宅事業の安定継続/発展に役立つセミナーも開催しています。
■住宅営業セミナー
https://www.housing-labo.com/seminar

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

関連記事

「高くてもこの会社で建てたくなる」顧客心理とは

インフレ下で1棟あたりの住宅価格が以前よりも数百万円アップしています。お客様も住宅営業担当者も「より安く」という意識がありますが、住宅価格を抑える工夫をして安くしただけで受注できるのでしょうか。今回は、高くても納得と満足 […]

「No.1」を獲得する初回面談のポイント

初めてご来場されたお客様には、とりあえずその住宅会社/工務店の家を見てみようという方もいらっしゃいますが、想いの大小に関わらず「自分の話を聴いてほしい」、「自分が考えていることを相談したい」という想いをお持ちです。住宅営 […]

「この家が欲しい」の「やる気スイッチ」を入れる

「いい家を作っているのに、思うように受注が伸びない」、「住宅の良さや魅力が、きちんと伝わらない」など、競合他社との競争が激しい環境では、こうした課題が尽きないものです。今回は、数ある工務店/住宅会社の中から自社を選んでい […]

「良い住宅なのに売れない」の解決策

「お客様の予算に合わせたプランでは納得してもらえないし、ご要望通りのプランだと高くなりすぎて失注する」、「良い住宅だからこその価格であることを理解していただけず、価格で他社に負ける」「暮らしやすい住宅なのに『検討します』 […]

新着記事

新しい「中級住宅」の定義と現状認識

かつては、多くの家庭が手の届く価格で、ある程度の性能やデザイン性、暮らしやすさを兼ね備えた「ちょうどいい住宅」として捉えられていた中級住宅ですが、今はその基準が崩れつつあります。 経済状況の変化、ライフスタイルの多様化、 […]

【2025年住宅市場】60歳代に目を向ける注文住宅事業

現在の新築住宅市場において、中心となる顧客層は30〜40歳代のファミリー層です。特に35歳前後の世帯が主なターゲットとなっており、結婚し、子育てを始めるタイミングで住宅を取得するケースが一般的です。しかしながら、日本の人 […]

住宅事業の集客革新!|令和の集客方法を、考え方から新しいアイデア、イベント活用事例まで徹底解説

住宅業界の集客において、従来の手法では限界が見え始めています。多くの住宅会社や工務店が住宅性能や間取りを中心に訴求していますが、お客様にとってはどれも似たように映りがちです。これからの住宅事業での集客では、新しいアイデア […]

【2025年住宅市場】城南地区から横浜/湘南方面エリアで住宅事業成功を掴むには

現代の住宅市場においては、単なる「住むための家」ではなく、「心豊かな暮らし」を実現する住まいが求められています。特に、東京の城南地区(品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・港区)から横浜/湘南方面にかけてのエリアでは […]

住宅会社の未来を切り拓く「集客と受注」戦略——市場変化に適応するために

近年、住宅業界はかつてないほどの変革期を迎えています。従来の集客戦略や営業手法では通用しなくなり、住宅会社や工務店は、新たな時代に適応するための「集客と受注」の再構築が求められています。 人口減少や少子高齢化、ライフスタ […]

新築同等以上のフルリフォーム事業成功のポイント-③

今回は、従来のリフォームのような小規模な案件が多い、一般的なリフォーム事業ではなく、新築するのと同等か、それ以上のメリットをお客様に提供する「フルリフォーム事業」成功のポイント③として、フルリフォーム事業の営業について考 […]