「高くてもこの会社で建てたくなる」顧客心理とは
2023/09/08
インフレ下で1棟あたりの住宅価格が以前よりも数百万円アップしています。
お客様も住宅営業担当者も「より安く」という意識がありますが、住宅価格を抑える工夫をして安くしただけで受注できるのでしょうか。
今回は、高くても納得と満足を得て受注する住宅営業について考えてみます。
Contents
お客様の購買傾向
すべてのお客様が低価格志向とは限りません。
ある調査では、低所得者層から富裕層などの所得に関係なく「こだわりがあるモノは、7割以上の人が多少高くても買う」という結果が出ています。
しかし、「こだわりのないモノはとにかく安く」という結果も出ています。
お客様の「こだわり」の変化
昭和30~40年代にかけての高度経済成長期の「いつかはマイホーム」という人生の目標が大きく捉えられていた時代には、住宅が不足していたこともあり「モノとしての住宅」で充分に売れていました。
極論を言うと「どんな住宅でも家を持つことにこだわりを持っていた」という時代です。
そして、バブル経済の崩壊や阪神淡路大震災の影響で財布の紐が固くなったお客様に住宅を売るために、「モノ」の差別化として「安心安全の家」「健康に良い家」「ローコスト住宅」など数値化して見える性能や価格などで優劣をつけて訴求し、お客様もここにこだわりをお持ちでした。
しかし、現在は、耐震性に優れ、温熱環境も整い、空気環境も良し、などの訴求をされている多くの工務店・住宅会社が存在しているため、大きな差が見えにくく、さらには、購入する際の判断基準が「モノの違い」よりも「モノによって得られる幸福感」に変化しており、この「幸福感」の基になっているのが「こだわり」なのです。
つまり、性能、構造、仕様などへのこだわりが低下しているということです。
そして、「幸福感」の基になっている「こだわり」は「必ずこうでなければ!」という強いものでもないというところに住宅営業のヒントがあります。
お客様メリットを積み重ねる営業
まずは、ご来場されたお客様のお話を徹底的にお聴きし、お客様の想いを尊重する対応をします。
新しい住まいでの姿を想像していただく
例えば、お客様の話を聴いていく中で「ワイン」をよく飲んでいるという話が出てきたら、この話題を深めていきます。
ワインを、いつ、どこで、誰と、何をしながら飲むのかをお聴きし、このワインを飲むシーンをどのような空間で、どのように飲みたいのかをお客様に想像していただきます。
想像していただくために、リビングのソファーとローテーブルで、ゆったり夫婦で会話しながら飲んでいる画像、落ち着いたワインバーのような雰囲気のカウンターの画像などをお見せして、お客様のイメージに近い画像を探していきます。
そうすると、それまでは「ワインを飲む空間」に強いこだわりがあったわけではなくても、「この雰囲気がいいな」という好印象を得られます。
こうした暮らしのワンシーンの「これいいね」を深めていくことで、最終的には「この会社で建てたい!」に変化していきます。
「これはいいね」を積み重ねると、ワクワク感が増しお客様が自社を選んでくださることに繋がります。
「小さな幸せの積み重ね」がポイント
例えば、朝起きたらストレッチをする、家族全員が必ず揃うのは朝食時、紅茶が好き、など、お客様からお聴きしたことの中でも、見過ごしてしまいそうな「コト」に対して「どんな空間で過ごしたいか」を深めていきます。
具体的な空間づくりの話題を積み重ねていくと、住宅を手に入れることによって「お金に換えられない幸せを得られる」と思ってくださいます。
そして、「値段をつけられない幸せな住宅」として「高くても建てたい住宅」となります。
まとめ
モノの機能や品質よりも幸福感を基準に購入するお客様が大多数を占める現在、自社住宅商品の説明の際に、安全/安心/快適を備えた性能や構造、生活動線などの利便性を考えたプラン、カッコイイデザイン、良い仕様の設備や部材などの優位性をそのまま説明しても、お客様には響かず「安い方が良い」となってしまいます。
暮らしの中の小さなこだわりを実現する対応を重ねて、最終的には「幸せがたくさん手に入る」ことを実感いただけると、高くても欲しい住宅に変わります。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子