「予算」を突破する住宅営業力
2022/12/02
「お客様の予算内に収めないと受注できない」「失注するより値引きして予算内で受注する」など、お客様の予算に囚われ、厳しい状況に陥っている住宅営業担当者をお見かけします。さらに、お客様がネットなどで事前に調べたり、友人・知人に聞いた価格に関する情報は、インフレで価格上昇し、実際の価格とお客様の感覚にズレが生じているため、お客様の予算に合わせること自体が難しい状況です。今回は、お客様がおっしゃる「予算」を心から納得して受注する住宅営業力について考えてみます。
Contents
お客様がおっしゃる予算の根拠
お客様の「予算」は、住宅営業担当者が必ずお聴きする項目です。この時お客様が答えてくださる「予算は○○○万円」という金額は、果たして、ご自身の支払い可能金額や資産状況などをしっかり検討したうえでの「予算」なのでしょうか。
友人・知人に聞いた金額
お客様は漠然とでも「家が欲しい」と思った際には、ご自身の周りに家を建てた人がいないか考え、その人に何坪の家をいくらで建てたかをお聞きしています。
例えば、「5年前に2000万円で建てた」というような情報を知った場合、「価格上昇環境に無かった5年前」という情報よりも「2000万円で家が建てられる」ことがお客様の中に残り、「じゃあ、私も2000万円が予算かな」というのがお客様がおっしゃる予算です。
ネット情報を調べる
お客様はネット上で住宅価格相場や口コミ情報を見て大体の住宅価格を調べられています。ウッドショックから始まり、現在は、インフレ下で住宅価格が上昇していますが、ネット上では過去のウッドショック以前の価格相場や口コミも溢れている状況です。現在よりも価格が安い過去の相場がインプットされているお客様がいらっしゃることは否めません。したがって、何となく過去の価格相場を予算にしている場合もあります。
低価格帯住宅の価格
例えば、「住宅 値段」というキーワードでネット検索してみると、「1000万円台」「2000万円台」「3000万円台」「4000万円台」などの情報が載っているホームページが存在します。お客様は、このようなページをご覧になると「1000万円台から家が建てられるんだ」と安い方の価格が記憶に残ります。将来の不安もある中で家を建てるなら「なるべく安くしたい」という想いをお持ちですので、記憶に残った住宅価格が安い方の金額をベースにご自身の予算を決められます。
予算に合せなくても受注する住宅営業とは
建築資材原価の上昇下では、価格転嫁しなければ会社そのものの存続が危ぶまれます。価格転嫁のポイントは、お客様が納得する付加価値を提供できるかどうかです。
原価上昇期はお客様が納得の「付加価値提供営業」が必須
耐震性/断熱気密性能/部屋数/収納/動線などの住宅の良さを訴求した売り方は、お客様は住宅を「モノ」と捉えられるため、「モノであれば安い方が良い」となり、予算突破は難しいものです。モノが良くても売れなくなっている現在は、お客様個々の暮らしにフィットした住まいづくりで「コト」の価値を提供していく必要があります。お客様が何かを購入する時は、モノの良さよりも心が豊かになることを重視するため、住宅によって手に入れらる「心豊かになるコト」がお客様が納得する付加価値です。冠婚葬祭や介護などは病院や施設などで担っている現在、住宅は「家族の幸せな暮らし」のために専用特化して良いのです。
「個」への対応がポイント
住いづくりはお客様視点の最適解づくりです。多様化しているお客様の価値観に対応することが必須です。
例えば、「壁付キッチンは100万円、対面キッチンは150万円、アイランドキッチンは200万円ですが、どれにしますか?」とお聞きした場合、「安い方が良いが料理中に家族に背を向けているのも寂しいから対面キッチンで」とお答えになるお客様がいらっしゃるかもしれません。しかし、ご主人様/奥様/お子様全員で料理を作る、もしくは作りたいという想いを少しでもお持ちであることが分かれば、「アイランドキッチンだと家族全員がキッチンに揃ってコミュニケーションをとりながら楽しく調理ができる」ことをご理解いただけると、アイランドキッチンを選んでくださるようになります。
まとめ
お客様がおっしゃる予算の根拠は「何となく」ということが多くを占めます。また、心を豊かにするコトには購買意欲が高いため、予算に縛られずにお住まいでの楽しいコト提示を行い、心からの納得を得る営業活動を進めることをおすすめします。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子