【受注力の上げ方】中高級住宅には中高級住宅に合った営業をしないと売れない

価格の話はお客様にとっても住宅営業担当者にとっても判りやすく、他社との違いが見えやすい話です。価格が安いことが魅力であることは否めませんが、価格だけで勝負すると低価格帯の住宅を売る工務店/住宅会社に中高級住宅が勝てるのかというと難しいと言わざるを得ません。インフレという価格上昇が避けられない市況環境下では、低価格帯住宅の営業と同じ売り方をしていては、差別化ができずに苦戦を強いられるのが中高級住宅の営業です。今回は、「高い」と言われずに喜んで買っていただける中高級住宅の営業について考えてみます。

Contents

「モノ」での差別化は難しい

デザインが良い、性能が良い、設備が良いに越したことはありませんし、これらが良ければ心が満たされる部分があることを否定はしませんが、このような「良い」は「モノの良し悪し」でしかありません。

中高級住宅を手がける工務店/住宅会社と低価格帯住宅を手がける工務店/住宅会社のホームページを見比べてみると、「外観デザイン」では「違いが見えない」というのが現実です。設備等のグレードが違うと言われるとそうなのですが、見た目では「高級そうだな」などの雰囲気を感じ取る程度で、他の差が見えないものです。性能などの分野でも、低価格帯住宅でも充分にその性能を確保しており、これもまた、お客様にとっては差が見えなくなっています。しかしながら、中高級住宅と低価格帯住宅のどちらの営業も、デザイン・性能・設備・仕様などの「モノ」で勝負しているため、お客様にとっては、「そんなに差が無いなら安い方で」とより安い住宅を売ってくれる工務店/住宅会社に行っています。中高級住宅の工務店/住宅会社が「モノで差別化」しようとすると、「高いだけ」という存在になりかねない状況です。さらに、インフレで住宅の価格が従来より高くなり、特に中高級住宅は厳しい状況になっています。したがって、「モノとしての住宅」以外で勝負することが、中高級住宅の工務店/住宅会社の生き残る方法と考えます。

お客様の住まいづくりへの想いを実現する

住宅価格の上昇によって、「床面積の縮小」か「より安い住宅」にお客様は向かっています。同じ広さ・仕様の家を建てるとしても以前より15%程度価格が上がり、「何を諦めるか」「どうすれば安くなるか」という想いが先行し、新しい住まいづくりのモチベーションが下がってしまいます。

限りある建築資金の中でも、「これだけは実現したいコト」という優先順位が高い「コト」が実現できる価値を持つ住宅が手に入ることが伝わると、お客様ご自身が設定した「予算」突破するほど「コトが手に入る住宅」を欲しくなります。お客様にとって魅力的な心豊かな暮らしが手に入る住宅です。

「実現したいコト」を引き出す

まずは、普段の暮らしでお客様が何をされているのかをお聴きします。この時お聴きするのは、毎日ルーティーンになっていることから始めるのも良いでしょう。このルーティーンの「コト」がほんの少しでも幸せになる空間にできることをお伝えします。

例えば、起床後、毎日ストレッチをされている方には、寝室の片隅で多少窮屈になりながらストレッチをされていた場合、「朝陽を浴びながらのびのびと体をほぐすスペースを確保して、気持ちよく1日をはじめられる空間はどうですか?」と触発するのも一つの方法です。

「コト」をどんな「空間」で実現するのか伝える

お客様に、住宅展示場や完成住まいの見学会で、実際にどのようにストレッチされているのか再現していただきます。のびのびとストレッチするためには、どのくらいの広さが必要か、燦燦と降り注ぐ朝陽を浴びるにしても眩しさは大丈夫か、ストレッチマットは使っているのか、他のストレッチ用の道具を使っているのか、道具はどこに収納したら使いやすいか、など楽しみながらストレッチをして心豊かになれる時間を持てる情報提供をすることがポイントです。

「コト」を実現する空間イメージを共有する

ストレッチをする場のインテリアイメージ、収納イメージなどをお客様と共有する際には、画像や動画を活用すると食い違いなく共有できます。

まとめ

「住宅は安い方が良い」と考えるお客様に、価格が高いと感じさせてしまう「モノ主体」の営業では低価格帯住宅に負けてしまいます。中高級住宅を受注するためには、新しい住まいで、「毎日のルーティーンのコト」という何気ない日常のシーンが幸せな時間をもたらしてくれる住宅であることが伝わる営業に転換することをおすすめします。

ハウジングラボでは、何気ない日常のコトのシーンを画像でお見せし、触発する営業ツールをご用意しています。お客様にお見せするだけで営業力を発揮する便利なツールです。お客様の「納得」と「満足」を得やすいツールとしておすすめです。工務店の住宅営業をサポートし、リーズナブルな料金で大きな効果が期待できるハウジングラボの「お役立ちLabo」サービスです。是非ご活用ください。詳細は、下記URLからご覧ください。

https://www.housing-labo.com/onlinesupport

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

関連記事

【売れる住宅営業になる!】今の時代に適した住宅の売り方

インフレ下での顧客心理は「節約志向」になり、住宅の「予算」も「低めの予算」に下振れしています。このような市況環境で、従来通りの住宅営業のしかたを進めると、良い住宅を提供しているにもかかわらず、「高い」と言われて自社から離 […]

【中高級住宅の必須条件】「小さな幸せ」の積み重ねの住まいづくり

自社住宅の価格や性能は確かに大事ですが、「安ければ売れる」「性能が高ければ売れる」「良い設備(モノ)であれば売れる」といった要素が良ければ売れる時代ではなくなっています。「お客様にとって良い住宅」であることが重要であり、 […]

中高級住宅は、お客様中心の「時間の質」向上ビジネスへ

お客様にとっては、数ある住宅会社の住宅展示場や完成住まいの見学会に参加しても、従来通りの営業対応ではローコスト系の住宅と「価格の割には大差がない」ように伝わってしまっています。価格の割には大差がなく伝わってしまう原因と中 […]

お客様層を「ローコスト住宅~中高級住宅」では、もはや分類出来ない

1950年代から1970年代は、住宅不足から住宅市場は「住宅というモノを充足させる量」の時代でした。それ以降21世紀の今日までは、着工数は減少しながらもひたすら住宅の耐震性、断熱気密性能、設備の高装備化と「住宅というモノ […]

新着記事

【競合対策の基本①】他社の悪口はタブー

住宅営業を進める上で必ずと言っていいほど存在する競合他社への対策は、受注を獲得するためには重要な対策のひとつですが、間違った対策を打つと自分(自社)の信頼を失ってしまう危険があります。今回は、競合他社を賞賛しつつ差別化を […]

競合他社とは異なる差別化戦略で受注する

「モノ」としての住宅が売れていた時代には、住宅の構造・性能などのハード面の優位性を訴求することが受注に有効でした。実際に、持ち家着工数は1973年をピークに多少の上下はあっても下降傾向です。さらに、1978~1982年を […]

【営業会議の進め方】受注につなげる作戦会議の場が営業会議

営業活動の進捗報告、目標達成見込報告、その報告をうけて上司が住宅営業担当者に指導とはかけ離れたしっ責が延々と続くなど、営業会議より営業活動に時間を使いたいと思うような営業会議の経験がある方が多いのではないでしょうか。今回 […]

受注まで6週間! 消費者心理を理解して購買意欲を刺激する住宅営業とは

土地探しも含め初回面談から受注獲得まで数ヶ月~数年を要する、というのが注文住宅業界のが常識ですが、消費者心理を理解し、お客様の購買意欲を刺激するテンポ良い営業で6週間で受注を獲得する住宅営業について考えてみます。 Con […]

人材育成の大切なポイント

人材育成は、住宅会社にとって重要な課題のひとつです。新人(中途採用・新卒採用)だけでなく、今現在所属している社員の育成も、今後の住宅会社の発展に大きく影響します。その中でも新人の営業人材育成について考えてみます。 Con […]

売れない住宅営業と売れる住宅営業の違い。売れる住宅営業になるために必要なこと。

自社住宅商品の性能/構造や設備/仕様など商品知識をしっかり身につけ、お客様にも一生懸命説明しているのに、なかなか受注に繋がらない住宅営業の特徴とその解決策を考えてみます。 Contents 売れない住宅営業の特徴 頑張っ […]