【中高級住宅の必須条件】「小さな幸せ」の積み重ねの住まいづくり
2022/11/11

自社住宅の価格や性能は確かに大事ですが、「安ければ売れる」「性能が高ければ売れる」「良い設備(モノ)であれば売れる」といった要素が良ければ売れる時代ではなくなっています。「お客様にとって良い住宅」であることが重要であり、お客様ごとに異なる良い住宅を提供していくことが住宅営業には必要です。
Contents
お客様が安い工務店・住宅会社を選ぶ理由

インフレ局面では、お客様は将来への不安から実際の資金調達力に関わらず、「できるだけ安く」と思われる傾向が強まります。
工務店・住宅会社が重視する住宅性能を、お客様はどのように感じているか
耐震・制震性/耐火性/断熱気密性/耐久性/防犯などの安全/安心/快適は、住宅の基本性能であり重要な部分です。しかしながら、現在はローコスト住宅も各基準をある程度以上の高いレベルでクリアする性能を備えていれば、お客様にとっては、「多少の性能や工法の差があったとしても、問題ない」と認識しておられ、「そうなれば安い方が良い」と思われています。
生活利便性を判断基準にするのか
部屋数/収納量/生活動線などの「生活利便性」も住宅の基本性能の重要な機能であり、工務店や住宅会社を選ぶ判断基準にされる部分ではあります。お客様は、現在の生活の不便さという不満をお持ちだからこそ「水回りの動線は直線で」などの効率的な動線に関心を寄せてくださいます。しかしながら、競合他社へも同じ不満を伝えているため、どこの工務店や住宅会社もその不満を解決できる提案をします。したがって、お客様にとっては、「どこの工務店や住宅会社でも生活利便性が解決できる」ため、「だったら安い方が良い」と思われます。
「住宅」を「モノ」として捉えると安い方を選ぶ
お客様の安全/安心/快適を備えた性能、利便性を考えたプラン、カッコイイデザイン、良い仕様の設備や部材などを全面に押し出すと、お客様は「住宅はモノ」として捉えられますので、「大差なければ安い方が良い」となります。
例えば、上位グレードのキッチンをお勧めしたい場合に、「高級感があるデザインで、選べる色も標準グレードのキッチンよりたくさんあります」といった「モノの説明」をすると、根底に「なるべく安くしたい」という想いをお持ちのお客様は、「デザインを妥協したら安くなるなら、安い方で」となります。もちろん、高級感があるデザインを優先し、上位グレードのキッチンを選ばれるお客様もいらっしゃいますが、総てのお客様がそうとは限りません。
家で過ごす時間の質の向上が中高級住宅を受注するポイント

例えば、「防音機能と音響機能の両方を備えた本格的なシアタールーム」などの大掛かりなものをお勧めする必要はありません。むしろ、このような強いこだわりをお持ちで、そのこだわりを実現したいお客様は少数です。多くのお客様は、日常の暮らしの中のひと時が今までよりも幸せになるだけで、喜びを感じてくださいます。
例えば、寝る前にカモミールティーをキッチンで飲むことが日課のお客様には、「offモードに切り替える場として、キッチンの一角に音楽をかけながらお気に入りのグリーンを置いてくつろげる自分専用のスペースを設ける」などの日々の日課が少し心豊かになる程度のコトで良いのです。
または、ダイニングで採る朝食だけが家族全員揃っての食事であるご家庭なら、「家族全員での朝食が気持ちよく採れるように、朝陽をたっぷり取り込む大きな開口部を」など、小さな幸せが感じられることを積み重ねていくと、「心豊かになる幸せなマイホーム」となり、「値段をつけられないプライスレスな住宅」として「高くても建てたい住宅」という意識を持っていただけ、より価格が安い住宅に流れることはありません。
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住宅の性能・生活利便性を伝えるタイミング
工務店・住宅会社の住宅営業担当者は、自社商品特徴のひとつである構造や工法、性能や主な設備の仕様などの説明を最初に一生懸命説明されるのが一般的ですが、一般的なお客様は「多少の性能や工法の差があったとしても、ある程度以上の性能なら似たようなもの」という認識ですので、初期段階で住宅のハード面の説明だけをすればするほど、退屈に感じられることになります。
例えば、前述した例の「家族全員での朝食が気持ちよく採れる、朝陽をたっぷり取り込む大きな開口部を取り付けられる」のは、「耐震等級も温熱環境も最高等級を確保できる自社住宅工法だから」という説明をすると、お客様にも腹にストンと落ちるように納得していただけます。つまり、「幸せになれる場」に共感いただいてから「自社住宅の性能があるから実現できる」ことを説明する順番が大切です。
まとめ
「住宅はできるだけ安く」と思われるお客様が多数を占める中、価格が高い中高級住宅を受注するためには、住宅性能一軸で勝負するのは避けるべきです。新しい住まいでは、小さいながらも幸せな時間が持てる、そして、幸せな時間が過ごせる場は自社住宅の性能があるから実現できるという順番で説明することが、価格が高くても欲しくなる住宅として受注できる要件です。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子