中高級住宅は、お客様中心の「時間の質」向上ビジネスへ

お客様にとっては、数ある住宅会社の住宅展示場や完成住まいの見学会に参加しても、従来通りの営業対応ではローコスト系の住宅と「価格の割には大差がない」ように伝わってしまっています。価格の割には大差がなく伝わってしまう原因と中高級住宅が「価格以上の価値がある」と認識していただき、受注するための住宅事業のあり方を考えてみます。

中高級住宅とローコスト住宅の違い

弊社がサポートしている住宅会社の営業担当者に「中高級住宅とローコスト住宅の違いとは?」と質問したところ、しばらく考えて「価格の差」と答えました。「本当に価格の差だけなのか?」と少し驚きましたが、改めて「中高級住宅とは」を考えてみたところ、あながち間違いでもないということに行きつきました。

ローコスト系住宅の現状

現在全国で建てられているローコスト住宅は、グッドデザイン賞、耐震等級、温熱環境等級、長期保証など性能やデザイン面で中高級住宅と遜色ない住宅に進化しており、お客様にとっては、外観デザイン、インテリア、仕様など、住宅会社が公開しているホームページやSNS上の情報や住宅展示場などの住宅の見た目だけでは中高級住宅との差が見えない状況になっています。さらに、若い世代への「アパート家賃並みで家が建つ」という発想のもと、中高級住宅を建てるには手が届かない客層を取り込み、住宅業界内で勢力を伸ばしてきました。

中高級住宅の現状

大きく捉えると、より高性能で且つ良い資材/仕様の住宅が中高級住宅といえます。

例えば、
自然素材の魅力 → 木を中心とした家づくり
健康志向に応える → 漆喰、珪藻土、セルロースファイバーなどの仕様
デザイン力 → デザイン系木造住宅
高性能住宅 → G3以上や高耐震など

などといった「モノの価値」です。
これは、「モノの良さの追求」や「木のイメージ」「おしゃれ」といった「お客様の趣向性」を刺激していますが、ローコスト系住宅も概ね同じ方向性です。したがって、大手住宅会社へのネームバリューへの信用をお持ちのブランド指向タイプのお客様や良いモノ指向のお客様以外のお客様は、資金を充分にお持ちでも「安い方が良い」という心理からローコスト系住宅に動いています。

価格が高くても欲しくなる住宅とは

上述したように、モノの良さやお客様の趣向性という「モノの価値」の他に、住宅に価値を付加しない限り、中高級住宅を建てるお客様は減少し続けます。今後は、注文住宅事業の本質である「お客様の暮らしを中心に考えた住まいづくり」を進め、心豊かな暮らしを実現していただくことが中高級住宅が選ばれるポイントになると考えます。

「時(トキ)」が楽しくなるのが中高級住宅

中高級住宅、ローコスト住宅の双方で、お客様の「心豊かになる暮らし」に焦点をあてた住まいづくりを進めている住宅会社・工務店は全国的に見ても少数ですので、ここがお客様に選ばれるためには狙い目です。お客様とその家族のための時間を幸せにすることです。ここで注意したいのが、収納を増やしたいなどのご要望は、現状の生活の不満の解消であって、ご自宅で過ごす時間(トキ)が心豊かになることとは異なるということです。

【参考】「不満の解消」と「満足の向上」は似て非なるもの

心豊かになる暮らしとは

例えば、ご自宅でボディーメンテナンスをするために数台のマシーンを置くフィットネスルームを作りたいなどの大掛かりなことだけが心豊かになる暮らしではありません。このような大掛かりな仕掛けをご希望のお客様は少数派であるため、むしろ日常の暮らしの中のワンシーンが小さいながらも幸せになれるだけで良いのです。在宅勤務時の仕事スペースとしての書斎で、休憩時にコーヒーを飲みながら窓から外を見た時に庭に咲く花が見えたり、立地によっては海が見えたりと、その時間が幸せになるようにするだけで心豊かになれるのです。

お客様の小さな幸せは多種多様

時間(トキ)の幸せは、お客様ごとにことなります。ご家族内でもご主人様、奥様、お子様でもそれぞれ異なります。「このお客様」の暮らしの中の小さな幸せを住宅営業が導いて見出し、心豊かな暮らしが実現できるのが中高級住宅です。

【参考】住宅営業の視点変更で「中高級住宅」を再構築-2

まとめ

お客様に従来通りの「モノの価値」を訴求した営業を進めると、中高級住宅とローコスト住宅は「価格の割には大差がない」ように伝わってしまっています。中高級住宅をローコスト住宅と大きく差別化が可能な「暮らし視点の付加価値」に焦点を当て、「日常の中の小さな幸せ」を積み重ねて「時間(トキ)の質」が断然高くなることに気づいていただくと、お客様は価格が高くても建てたい家として選んでいただけるようになります。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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