お客様視点で考える工務店/住宅会社の集客方法

集客企画を考える際、キャッチ―な文言で惹きつけたり成功している他社の事例を参考にしてみたりと集客数を確保するための企画に毎回頭を悩ませることになります。
特に今はこれをすれば集客ができるということはなく、ネット/非ネット問わずあらゆる集客手法について考えなくてはいけません。

今回は集客企画を考える起点となる考え方『お客様視点で考える』集客企画について、お客様視点ではどのようにイベントや見学会、住宅展示場に行ってみたいと思うのかを考えてみます。

住まいづくりを考え始めたお客様の視点

お客様はコロナの影響もあり、現状事前にネットやSNSで調べた上で、事前予約で来場される方が50~70%程度になっています。
お客様が訪れる会社の数も、従来は総合住宅展示場来場時に3.5社程度観て回っていたのが1.3社程度に減っています。お客様が絞り込んだ住宅会社、工務店の中に自社が残るためにも、お客様視点でお客様が『行ってみたい』と思われる集客企画と情報発信が重要になってきています。

集客企画とお客様とのズレ

お客様視点で考えてみると、『自社の住まいの魅力』を一生懸命に伝える集客企画を考えて発信しても、お客様と住宅会社、工務店の間には魅力に対する認識のズレが生じています。
一般論での良い住宅やすごい住宅が見たいのではなく、お客様はご自身の関心事やご自身の住まいづくりに役立つ場所に行ってみたいと思われています。

・何が見れるのか(お客様の関心事)
・それが自身の住まいづくりにどう役立つのか

上記の2つがない限り『行ってみたい』となっていただけません。
このお客様とのズレが、見学会では開催場所の影響の割合が高くなり、見学会の内容よりも他の理由に左右されることになっています。これが安定した集客を確保できない原因になります。

集客内容をブラッシュアップしていくには

集客数が少なかった場合に、集客企画や情報発信が主な原因ではないのに、次のイベントでは全く別の新しい企画を次々と考えなければいけなくなります。経験の積み重ねが無いため自分たちの集客力がつけられず、思い付きの集客企画で一喜一憂をすることになってしまいます。
もちろん、様々な集客企画を打ち出していくことは大切ですが、お客様視点に立った集客企画で経験を積み重ねていくことで、自社の集客力を高め、安定した集客をしていくことに繋がります。

行ってみたい集客企画

住宅のイベントに何を見に行けばいいのかが分かっていないお客様に対して、「まずはご来場ください」とご来場を勧めても『行ってみたい』とは思っていただけません。
ホームページやSNSでの情報発信で、お客様にご来場していただいた際の具体的なお客様メリット(お客様の住まいづくりに役立つ内容)を提示する必要があります。

お客様が『行ってみたい』と思うイベント

ここでヒントになるのが、昔から集客企画として成功している『冬に暖かい家』『夏でも涼しい家』というイベントの成功事例があります。
これは、お客様が現在のお住まいで感じておられる『暑い』『寒い』という不満点について解決できるイベントです。何が見れて、ご自身の住まいづくりに役立つということが見えやすいということがあります。
ただし、現在は住まいの性能が上がり、ローコスト住宅でも多くの会社が温熱環境の良い住宅を提供していますので、『冬に暖かい家』『夏でも涼しい家』というだけではこの住宅会社、工務店に行ってみようとはならなくなってきたということです。

お客様の住まいづくりに役立つ集客企画

お客様が『行ってみたい』と思える住まいづくりに役立つイベントとは、お客様の関心事について体感体験できるイベントです。
お客様の住まいの関心事については大きく2つに分類されます。

① お客様の抱えておられる住まいの問題解決
お客様が現在住まわれているお住いでの問題点の解決策が見られる集客企画(マイナス面の解消)
『冬に暖かい家』『夏でも涼しい家』というのはこちらに分類されます。

② お客様が新しいお住いで実現したい暮らしが見れる
お客様が新しいお住いで実現したい暮らしを見ることができる集客企画(プラス面の触発)

お客様視点での集客企画の情報発信

お客様の住まいづくりに役立つイベントでは情報発信にも工夫が必要です。
集客イベントの概要についてお伝えするだけでなく、ここでもお客様視点で考えていきます。

お客様の関心事についての情報発信とは

お客様の住まいの関心事についてイベントで何が見れるのか。

① お客様の抱えておられる住まいの問題解決について、具体的に何が見られるのか(マイナス面の解消)
キッチン、収納、水回りなどは奥様に人気のテーマになっています。

② お客様が実現したいと思える楽しい暮らしを具体的に見せる(プラス面の触発)
家具や小物を入れて、実際に楽しい暮らしのシーンをお見せし、体感体験していただける工夫が必要です。

楽しい暮らしを見せる方法については過去の記事でご紹介しています。
「増加傾向の新たな客層に対応する住宅業界の集客手法」
https://www.housing-labo.com/attract-customers/post-1510.html

まとめ

集客企画は何かこれだけをすれば集客数を確保できるという時代ではなくなってしまいました。
新たな集客企画を次々と打ち出していく必要が出てきていますが、お客様とのズレがあると、見込んでいたような効果が出ません。
そこで、お客様視点に立った集客企画のノウハウを社内に蓄積できると、新たな集客企画を実行する際にも、イチかバチかの賭けにでるのではなく比較的安定した集客が可能になります。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

関連記事

お客様層を「ローコスト住宅~中高級住宅」では、もはや分類出来ない

1950年代から1970年代は、住宅不足から住宅市場は「住宅というモノを充足させる量」の時代でした。それ以降21世紀の今日までは、着工数は減少しながらもひたすら住宅の耐震性、断熱気密性能、設備の高装備化と「住宅というモノ […]

住宅の価格アップ時代には「気づき共感営業」が強力な武器になる

住宅業界は30年振りの価格アップ時代に突入しました。「超低金利デフレ時代」が続きましたが、外的要因によって資源/資材のインフレへと急速に転じています。住宅価格アップ時代に適応させ、住宅事業を発展させる方策がこの春からは必 […]

「モノからコトへ」の住宅事業の新スタイル

景気は回復基調にありますが、目の前の集客が少ないとか、建設資材は上がり続けるとか、明暗が混ざった昨今の市況環境です。もう少し全体を俯瞰して考えてみると、自動車産業と同じように住宅産業も100年に一度の大変革期に差し掛かっ […]

新着記事

【2025/2026年 注文住宅事業の進め方】「暮らし視点」で受注力・商品力・人材力を進化させる

少子化・人口減少・金利上昇・物価上昇と、注文住宅業界を取り巻く経営環境は今、大きな構造変化の渦中にあります。しかし、すべてがマイナスに振れているわけではありません。むしろ多様化・個別化が進み、「自分らしい暮らし」「人生の […]

【住宅展示場の来場者数推移から見る集客対策】集客数減少 → 受注棟数減少の解決方法

近年、住宅業界を取り巻く環境は、お客様のSNS、ネットからの情報収集が一段と進み、いつのまにか、集客数もさることながら、来場段階でのお客様の考え方も大きく変化しています。特に総合住宅展示場の来場者数推移に注目すると、来場 […]

【2025年住宅市場】新しい「中級住宅」の定義と現状認識

かつては、多くの家庭が手の届く価格で、ある程度の性能やデザイン性、暮らしやすさを兼ね備えた「ちょうどいい住宅」として捉えられていた中級住宅ですが、今はその基準が崩れつつあります。 経済状況の変化、ライフスタイルの多様化、 […]

【2025年住宅市場】60歳代に目を向ける注文住宅事業

現在の新築住宅市場において、中心となる顧客層は30〜40歳代のファミリー層です。特に35歳前後の世帯が主なターゲットとなっており、結婚し、子育てを始めるタイミングで住宅を取得するケースが一般的です。しかしながら、日本の人 […]

住宅事業の集客革新!|令和の集客方法を、考え方から新しいアイデア、イベント活用事例まで徹底解説

住宅業界の集客において、従来の手法では限界が見え始めています。多くの住宅会社や工務店が住宅性能や間取りを中心に訴求していますが、お客様にとってはどれも似たように映りがちです。これからの住宅事業での集客では、新しいアイデア […]

【2025年住宅市場】城南地区から横浜/湘南方面エリアで住宅事業成功を掴むには

現代の住宅市場においては、単なる「住むための家」ではなく、「心豊かな暮らし」を実現する住まいが求められています。特に、東京の城南地区(品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・港区)から横浜/湘南方面にかけてのエリアでは […]