【住宅営業の基本 | 聴き方編】「聴く」と「聞く」では大違い。身につけるべき「聴き方」とは
2022/05/01

「聴く」と「聞く」の違いをご存知でしょうか。
辞書によると、
「聴」・・・耳でとらえて知る
「聞」・・・音声を耳に感じとる
とあります。つまり、住宅営業の場合で言うと、お客様に真摯に向き合い理解しようと集中して聴くのか、住宅営業が投げかけた質問の返答を聞きながら「性能の話をしよう」などと、質問した内容とは別の事を考えながらお客様の話を聞いているという違いです。当然、住宅営業に必要なのは「聴く」姿勢です。そして、「聴く」ことは、「話す」「会話を組み立てる」よりもずっと大切です。
今回は、「聴き方」について考えてみます。
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Contents
住宅営業にとって「聴く」ことが大切な理由

住宅営業にとって、お客様へ自社住宅の良さをどう伝えるかは、受注に関わる重要な要素のひとつであることには変わりません。しかし、お客様は住宅営業がご自分の話を本気で聴いているかどうかは敏感に感じ取ります。お客様が「この住宅営業は自分の話を聴いていない」と認識されると、自身の営業成績のために自社住宅を売ろうとしている住宅営業、適当に受け流す軽い住宅営業などの印象を持たれてしまう危険性をはらんでいます。その結果、見込み客にもなり得ず受注から遠ざかってしまいます。
信用できる住宅営業だと思っていただける

人は自分に関心を持って聴いてくれる相手には不信感ではなく安心感を覚え、心のバリアがなくなります。この「関心を持ってくれている」と認識していただいた場合の住宅営業上の効果は絶大です。
・自分を理解しようとしてくれている
・良い住まいづくりができそう
・自分の要望を言いやすそう
・現在の困っていることが解決できそう
など、プラス要素がたくさんあります。
反対に、お客様の話を聴かずに住宅営業が「提案」ばかりしたりすると、「本当にそうなのか?」と信じていただけなかったりします。さらに、反感を買う状況に陥ったりする場合もあります。また、お客様が知りたいことを無視して住宅営業が伝えたいことだけを説明し続けたりすると、うんざりされたり、飽きられたりしてしまいます。お客様に自社での住まいづくりを積極的に考えていただくためにも「聴く」ことは重要です。
お客様の心の内を理解できる

時にお客様は心で考えている事と発する言葉が乖離している場合があります。もしくは、まだこれといった住まいづくりへの考えがまとまっていない場合もあります。多くのお客様は後者のケースです。したがって、お客様の話を聴くことにより住まいづくりにおける興味関心事、趣味、考え方、同居する方への想いなどの価値観を理解することができ、「このお客様」に最適な住まいづくり情報を提供することが可能になります。
聴く方法

お客様の話を聴くことは、「聴いている事を伝えること」でもあります。だからといって、聴くテクニックだけを身につけたら良いという訳ではありません。お客様と真摯に向き合い、お客様に関心を持つことがポイントです。
聴くテクニックが効果を発揮するのは、お客様を本気で理解しようとする姿勢です。
お客様に聴いていることが伝わる所作

お客様との会話の中で、お客様からのお話を出来るだけ多くお聴きするための所作のポイントは、「うなずき」、「キーワードメモ」、「表情」です。
・お客様が話される内容に対して、お客様の目を見て一つひとつしっかりとうなずきます。
・お客様からの情報に集中し、メモをあまりとらず記憶することが原則ですが、場合によってはポイントになる部分はキーワードメモを取ります。メモを取る場合も、重要ポイントは囲みを入れるなど、書き方のアクションでポイントを把握したことをお客様に伝えます。多色ボールペンの色を変えるアクションも有効です。
・お客様の真意やお考えの基になっている価値観や判断基準などが理解出来た場合は、「パッと明るい」表情を作り、「理解しました」ということをしっかりとお伝えします。
・お客様が話される内容が楽しい話題の時は楽しそうにお聴きし、困りごとなどのマイナス要素の内容の時は、お客様と「困っている」「それは大変ですね」という表情でお聴きする。
・お客様への質問が思いついたり、住宅営業自身が発言したくなっても、お客様の話を最後までしっかりとお聴きした後に発言します。
住宅営業が伝えたいことを伝える前に「お聴きする」姿勢をお見せすると、お客様には住宅営業からの情報を受容れる余裕が生まれます。
まとめ
上述した聴くことが伝わる所作をお客様との会話中に行うことで、聴いているという姿勢を明瞭にお伝えすることができ、信頼を勝ち得るベースになります。しかしながら、聴くことが伝わるテクニックだけ身につけてもお客様には「聴いている」ことは伝わりません。お客様と真摯に向き合う姿勢も重要です。「聴き上手」は、コミュニケーションの極意スキルでもあります。
《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子