住宅営業の進化が他社差別化のポイント

住宅会社/工務店の営業力を高めることを目的とした住宅営業研修は様々あります。重要なのは、お客様が「明らかにこの会社は良いな」と初期の段階で差別化できるだけの「住宅営業の進化」を内包している研修なのかです。
モデル住宅(もしくは内見会の住宅)の見せ方とご案内の仕方から始まり、受注までのプロセスそのものが進化していることが大きな他社差別化になります。

モデル住宅案内後は直ぐに「プラン提示」では受注できない

多くの住宅会社/工務店は、モデル住宅案内、完成住まいの現場見学会の案内を終えると、次のプロセスは「プラン提示」で、土地を求めているお客様には「土地案内」というのが定番のようです。どちらも「次アポ」は取得できるので会社としても進捗しているように見えますが、本当にそうなのでしょうか。来場される前からこの会社で決めようと思ってご来場されているお客様は、この手法で良いでしょう。
それ以外のお客様に対しては、この「サルでもできる次アポの取り方」では受注につながらないはずです。住宅営業は、プラン提示と土地案内をしていれば「営業をしている気分にはなれます」が、「次々アポ」にどれだけつながったのでしょうか。住宅営業の進化が必要です。

何か一つでもお客様に触発を与えたのか

平成の30年間は、一貫してデフレと超低金利の市場環境でしたから、4LDKで性能等級それなりに高く、そこそこの仕様で、デザインもまあまあなら価格が安ければ売れた時代です。地方では、「アパートの家賃で家が建つ」と、低年齢、低年収の客層に合わせて低粗利でも底引き網漁のように受注してきました。昨秋から外的要因で建築資材が高騰し、健全な需要増のインフレではなく「需要が伸びない中でのインフレ」という不健全なインフレにこの春以降は直面しています。改めて魅力的な付加価値をお客様に気づいていただき、他社より高くても受注を上げて行く令和の時代に適合した住宅営業への進化が必要です。
「お客様にとって魅力的な付加価値」を一つでも触発できればお客様は気づき、共感してくださって聴く耳をお持ちになり、自身の暮らしへの魅力的な付加価値に次々と気づいていただけるチャネルを拓くことができます。

●体感体験の案内で触発

収納一つとっても、住宅営業が収納扉を開いて説明するのではなく、お客様にこの収納には何を入れましょうか、と具体的に考えていただきながらお客様自らが収納扉を開けて、ここに収納するモノをご自身の手が届く最大の高さの棚へ出し入れしていただき使いやすさの高さの上限を共有します。
お客様自身の体感体験を通して収納の使用目的や使用頻度に応じた設定を行うなど、一歩踏み込んだご案内で触発します。

●「普通に話す声が届く距離」を体感体験で触発

「リビングをもっと広く」という要求は年々大きくなってきています。実際に家族全員がリビングで過ごす時間が長くなっています。ところが、「静かな室内で普通の声でしっかり聴きとれる距離は3.6m以内」です。この会話が普通にできる距離を社会距離と言います。これ以上離れると何を言っているのか聴きとりにくくなり、ストレスが高まります。この、しっかり話が聞こえる距離を実際にご夫婦で会話しながら距離をとってみて、確認していただきます。家族が仲良く過ごす「リビングの領域サイズ」は8畳くらいです。ただし、このサイズの部屋を作るのではなく、ダイニングやキッチン、外部空間に視線が抜ける工夫をして広々感と併せて居心地の良いリビング設定を体感体験していただき、触発しながら共有化します。
「何でもできます」という言いなり営業から、住まいづくりのプロの気づき「共感営業への進化」です。

お客様が理解しやすく納得できる住まいづくりのプロセス設定

断熱気密性能やワイドスパンの構造などを最初に聞かされて喜ぶのは、お客様の中でも一部のご主人様だけです。本来は、「庭と一体のリビングで子供が駆け回っているような暮らしがしたい」から、それを実現できるワイドスパンを実現する工法で、開け放すことができない夏や冬でも快適温熱環境の室内から視覚的に外部空間と一体になった空間を楽しめるように断熱気密性能高い工法を使いましょう。というならお客様もわかります。
「モノありき」の考え方ではなく、「コトありき」の受注プロセスでは体感体験や説明には適切な順番が重要です。

先ずお客様の「実現したいコト」を共有化すること

「モノからコトへ」の時代に適応した受注プロセス設定は重要です。暮らしというコトの内容を明確にしてからそれを実現する住宅というモノを組み立てて行きます。お客様であるご夫婦にご納得をいただいてから、このご夫婦から直接ご両親様などの施主外キーマンへお話をしていただき、ご了承をいただくというのが正しいプロセスです。
何故か直接のお客様(契約相手)ではないご両親様へ先ず挨拶をしたがるベテラン住宅営業が多いというのも不思議な「業界の常識」になっています。これを自然の流れに戻しましょう。

●お客様とお会いするたびに気づき共感営業で触発

初回面談後は、お客様と住宅営業がお会いするたびに資金の話しやら受注手続きの話しばかりで、お客様はウンザリされてしまっています。
お客様とお会いするたびに気づき共感営業で触発しつづけて、ワクワク感を盛り上げるのも住まいづくりプロセスには欠かせません。

まとめ

このように考えてきますと、これまでの住宅営業はいかに住宅供給側の視点で進めていたかが分かります。これを180°変えて、お客様の暮らし視点の営業へ切り替えると、住宅営業は大きく進化して他社と全く違った差別化された住宅営業が実現できます。
気づき共感営業による触発で、魅力ある付加価値をお客様にご納得いただき、住まいへの投資、心豊かな暮しへの投資を引き出しましょう。そいう営業が必要な時代です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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