【住宅営業の基本 | 話し方編】ご案内内容より先に身につけるべきは話すスピードや声のトーン
2022/04/20
住宅展示場や完成住まいの見学会など、お客様をお迎えする初回面談は、受注成否の80%を握るほど重要な場面です。ご案内時の内容も重要ですが、それ以前に、お客様に「信頼に値する住宅営業」と認めていただけなければ、どんなに素晴らしい住宅でもお客様は半信半疑な気持ちになってしまいます。したがって、【住宅営業の基本】シリーズでもご紹介しました視覚から与える信頼感である「笑顔」と「姿勢」を身につけることが必要です。さらに、聴覚からもお客様の信頼を得る「話し方」も重要なポイントとなります。今回は【住宅営業の基本】の続編として、お客様からの信頼を得て伝わる「話し方」を考えてみます。
参考記事「【住宅営業の基本 | 姿勢編】お客様に好印象を与える姿勢とは」
参考記事「【住宅営業の基本 | 笑顔編】信頼を得る佇まいを身につける方法」
Contents
お客様が最初に敏感に感じ取るのは住宅営業が話す内容よりも話し方
お客様の「聴覚」については、初回面談時にどんなにお客様の立場になり、お客様のためになるご案内をしても、どのような話し方をするのかで、住宅営業と自社住宅への認識が全くと言っていいほど変わってしまいます。
一生懸命ご案内をしても、お客様がつまらないと思われたり、住宅営業の熱意が伝わらなかったりなど、もったいない現象が起きてしまう可能性があります。
メラビアンの法則によると、人が言語、聴覚、視覚から得られる情報のうち、コミュニケーションには「言語情報7%」「聴覚情報38%」「視覚情報55%」の割合で影響しているとのことです。
※メラビアンの法則
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによって提唱された、コミュニケーションにおいて言葉と口調・表情などが一致しておらず、矛盾した内容を発している状況では、人は表情やパフォーマンスを優先して判断する傾向にあるという法則。
話し方の失敗例と成功例
例えば、お客様が「住宅の予算は1500万円で、20帖のリビングとアイランドキッチンにできるキッチンの広さが欲しい」という発言に対して、住宅営業の気持ちは「その予算では出来るわけないのに・・・」と思いつつ、お客様には<歯切れが悪く遅い話すスピード><低い声のトーン><曇った表情>で「それはいいリビングとキッチンになりますね・・・。プランを作ってみましょう・・・。」とお伝えした場合には、お客様は住宅営業が発した言葉よりも、<歯切れが悪く遅い話すスピード><低い声のトーン><曇った表情>を優先して認識し、この住宅営業・住宅会社に対して「やる気がない」「態度が悪い」など悪い印象を持ってしまいます。
逆に、<テンポ良い話すスピード><高めの声のトーン><満面の笑み>で「それはいいリビングとキッチンになりますね!プランを作ってみましょう!」とお伝えすると、お客様は、この住宅営業・住宅会社での住まいづくりに好印象をお持ちになります。
つまり、住宅営業は、発する言葉、話すスピード、声のトーン、表情を一致させなければ、お客様を逃がしてしまい、初回面談が失敗に終わってしまうということです。
話すスピードの基本
住宅営業ご自身は、自分の話すスピードは「普通だ」と思っていても、お客様は「普通のスピード」とは捉えていらっしゃらない可能性があります。
適切な話すスピードは、300語/分が基準です。これは、文字数ではなく語(ワード)数で、NHKのアナウンサーがニュースを読む速度です。
話すスピードの練習方法
NHKのニュースを録画し、ニュース内容を書き起こして台本を作り、録画を再生してアナウンサーと一緒に話す練習を繰り返すと効果的です。
声のトーンの基本
声のトーンが高いと、一般的に明るい印象を持っていただけますので、「ドレミファソラシド」の「ソ」の音くらいの比較的高めの音域を使い、声の通りを良くします。高すぎてしまうと騒々しく、耳障りになりますので注意する必要があります。
自然で高めのトーンにする方法
お客様をお迎えする前に、「ド・レ・ミ・ファ・ソ」と口ずさみ、「ソ」の部分で声を出し、「ソ」の音階を記憶しておいたうえで、お客様のご案内を始めます。声のトーンが上がり、明るい話し方ができるようになります。
声の大きさ、強さの基本
住宅営業の声が小さいと、声の張りも弱くなり、お客様は「自信がなさそうな住宅営業」と認識し、「この住宅営業に任せて大丈夫なのか?」と不安になるうえに、小さな声が気になって話に集中できずに、自社住宅の特徴が伝わらないことも起り得ます。
反対に、大声で話すと、騒々しい、威圧感があるなどの不快感を与えてしまいますので、大きすぎない声で話すことがポイントです。
不快感を与えない声の大きさと強さにする練習方法
腹式呼吸の要領でお腹から声を出す(息を出す)ようにして、声量を上げる練習をします。声を張り上げるのではなく、大量の息を出すというイメージです。
胸を張って背筋を伸ばすと、ひとつひとつの言葉がハッキリ聞き取れる強さになり、自然と声に張りが出ます。
口先で話そうとせず、腹の底から声を出すことが重要です。
話し方の練習とチェックが重要
先述したNHKのニュースを活用した話すスピードを練習した後に、自分を録画しながら話す練習をします。話すスピード、声のトーン、大きさ、強さを客観的に確認し、表情や姿勢も同時にチェックします。さらに、上司や同僚の前でも話す練習をして、改善点を指摘してもらうのもおすすめします。
まとめ
お客様は住宅営業の話すスピード、声のトーン、大きさ、強さ、発する言葉と表情が一致しているか否かに敏感です。お客様が不快感や不信感を抱かない話し方をするのが基本です。
「伝わる」話し方が出来る住宅営業に対して、お客様は住宅営業が持つ知識や情報についても信頼をお寄せになりますので、「話した」「伝えた」ではなく、「分かる」「伝わる」話し方を身につけましょう。
《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子