【住宅展示場・見学会のご案内の基本】ご案内ルート設定

お客様の初回来場時の住宅営業担当者の営業上の目的は、お客様に自社を住まいづくりのパートナーとして本気で検討してみたいと思っていただくことです。つまり、「自分の住宅を建てる会社」として検討の対象にしていただくことです。初回面談の成否が、その後の営業活動の80%を握っていると言っても過言ではありません。さらに、現在のお客様は、ご来場前にご自身でネット上で充分に情報収集し、見学する住宅会社を絞り込んでご来場されます。したがって、住宅展示場や完成住まいの見学会でのご案内を失敗すると復活はかなり厳しい状態になりますので、初回面談の重要度は以前よりも格段に上がっています。

多くの住宅営業に見られる「お客様追随型のご案内」は、お客様主導で展開し、住宅営業が思い描く自社住宅特徴をご理解いただくことがが難しくなり、他社との違いが見えず「自分の住宅を建てる会社として検討の対象外」となってしまいます。
今回は、住宅営業がリードしながらご案内する第一歩目の「ご案内ルートの設定」について考えてみます。

Contents

何のためのルート設定なのか

初回面談で、お客様に自社住宅を「欲しい」と思っていただくためには、強く印象に残るご案内が欠かせません。お客様に良い住宅だと思っていただくために、2時間や3時間かけて住宅展示場や完成住まいの見学会の住宅内のすべての場所にご案内して一生懸命説明を頑張る住宅営業をお見掛けする時がありますが、お客様の情報吸収力は40分間程度ですので「説明した住宅営業が満足した」だけで、お客様は「この会社のことは十分わかった」「長かった」などの印象が強くなり、次の段階に進まない状況に陥ります。お客様に自社住宅や住宅営業の良い印象を与え、なおかつ、別の日に「もう一度」と思っていただくためにルート設定が必要です。

次のアポイント取得のためには

初回面談のご案内では自社住宅のすべての特徴をご紹介する必要は無く、厳選した場所へのご案内を重点的に行い、お客様に「もっと見たい」「自分の事を分かってくれている」と思っていただくために住宅展示場や完成住まいの見学会のご案内のルート設定をします。
ご案内ルート設定は、次のアポイント取得のためにも必須です。

ご案内ルート設定の方法

お客様が「今日は一部しか理解できなかったが、この内容から推測すると他の場所も結構良いのでは」という自社を本命レベルに持ち上げる、数は少ないがインパクトを残す工夫をしたご案内ルート設定です。
3ヵ所へのご案内が基本です。

一番初めにご案内する場所

自社住宅の最高の見せ場からご案内します。基本的に一番「ワァッー!すごい!」と感じていただける場所へのご案内です。
例えば、LDKは吹抜け等も絡んだ空間である場合が多く、外部にも視界が抜けているでしょうから広く感じられ、見せ場となることが多いと思います。「せっかくご来場いただいたのだから」と住宅の最高の見どころへ促します。お客様に五感を使って充分に空間の心地よさを体感していただきながら、何故、このような空間が出来ているかをご説明すると、実体験+理論の両方でご理解いただけます。

二番目以降にご案内する場所

自社住宅の最高の見せ場をご案内した後は、ご夫婦それぞれが関心をお持ちの場所を中心に設定します。初回面談時の最初期で取得するアンケートでのお客様ご夫婦へ質問で案内ルートを設定するのが基本です。このルート設定はお客様別にその特徴で異なった設定になります。

お客様の関心がどこにあるのかを住宅営業が把握しない限り営業は始まりません。ご関心の方向が見つけられれば、お客様の暮らし、生活にフィットした形でのご案内が可能になります。

お客様の関心をお持ちの分野の把握については、下記の記事をご一読ください。
住宅営業におけるアンケートの取得タイミングと位置づけ

お客様の暮らしにフィットした住宅営業については、下記記事をご一読ください。
「暮らし視点の住宅営業」は、大きな他社差別化になる!

シミュレーションも重要

全体の流れを実行できるように、図面上でどこが最高の見せ場なのか、どこに着座していただくのか、商品特徴をこの住宅でお見せできる部分はどこかシミュレーションを行い、ロープレ訓練でシミュレーションを行います。実際のご案内時には、お客様のご関心の場所によってルートは様々変化する可能性が高いですので、最高の見せ場の位置からどう展開されるかの動き方のバリエーションをある程度身につけておくと、応用が効きスムーズにご案内できるようになります。

まとめ

初回面談のご案内では、自社住宅の最高の見せ場と(ご夫婦の場合は)ご主人様と奥様のそれぞれのご関心をお持ちの場所へご案内するルート設定をお勧めします。「次への期待」を持っていただくためには、お客様を受容れ、お客様との対立軸を作らず、しかし、お客様のいいなりにならず、常にお客様の側に立って同じ方向を向いて、お客様のためになることを、住まいづくりのプロとして考えたご案内が必須です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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