住宅営業の受注に直結するアポとは

営業活動の目的は受注を獲得することですが、住宅営業の本質は、お客様の「暮らしを楽しみ人生を楽しむ暮らし」を実現できる住宅を実現することです。

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アポを取得することは営業活動上必要不可欠なものではありますが、アポ内容が曖昧な「とりあえずアポ」や何よりもまず「絶対アポをとる」などのアポ取得が目的になってしまっているアポは、お客様にとってメリットはなく、受注に近づくアポとは言えないばかりか、競合他社との競争から抜け出すことが難しくなります。今回は、お客様に楽しみに待っていただき受注に最も有効なアポについて考えてみます。

住宅営業のアポとは何か

「アポ」とは「アポイントメント」の略語で「会う約束を取り付けること」です。
住宅営業の時間が空いたので訪問してみようなどのアポ無し訪問などの無計画の訪問はおすすめしません。住宅営業に限らず全ての業界の営業は、お客様への訪問や面談などは、訪問目的を明確化し、アポを取得してからの訪問が原則です。そして、この時に重要なのが「お客様メリットを提供できる内容を伴ったアポ」なのかということです。

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受注に近づくアポ内容

お客様が興味関心をお持ちになっていただいたいることについて、具体的に理解できる場や、実現されたい暮らしについて体感体験できるアポ内容は、お客様にフィットした住まいづくりというお客様メリットが明確であり受注に近づきます。では、どうのようにしたら、お客様が興味関心をお持ちのことについて住宅営業はお客様と共有化できるのかというと、住宅展示場や完成住まいの見学会などでのご案内時の会話やお客様の「気づき」の様子、アンケートにご記入いただいている興味を示されたポイントなどについて、その原因もしくは、理由をお聴きして共有化します。
お客様にとって住まいづくりが成功するためにというユーザーメリットにつながる内容でのアポのみが有効なアポイントです。

どこにご案内するのかも重要

お客様に体感体験していただく次回アポのご案内場所は、お客様の暮らしの関心事をより具体化、鮮明化できる場所であることがポイントです。お客様のMax資金計画内で実現可能な住宅サイズに近い住宅で、住宅展示場で気に入った部分(ex.アイランド型のキッチン)がコンパクトな住宅でも実現できるのかどうかなど、お客様が現実に実現できると思っていただける場所へのご案内などが有効です。
お客様が「行ってみるだけの価値がある」というユーザーメリットを明確にします。

最短で受注を獲得するアポの回数

人の記憶は3日で揺らぎ1週間でほぼ体感体験したことは消えます。したがって、ご来場いただいてから1週間以内にお客様が興味関心をお持ちの部分をご案内できる住宅展示場やOB宅での体感体験アポを必ず取得するようにします。そして、初回来場時とこのご案内アポの中間くらいに、「週中アポ」としてお客様宅への訪問アポも取得します。この訪問アポは、お客様からの「宿題」の答えに加え、体感体験を中心とした「行動アポ取得」のポイントでもある次回ご案内する場所の魅力を伝え、ここまで経験していただいた住まいづくりの知識と経験をさらに積み上げて、ご自身の住まいづくりを正しくご判断いただけるようにリードします。

つまり、1週間に「週中アポ」と「週末の行動アポ」の2回のアポを取得します。

「都合がつかない」とお断りされた場合はどうする?

お客様の中には、「来週は子供の運動会で行けない」など、都合がつかずにお断りされることもあります。しかし、「そうなんですか・・・」と何もせずに引いたり、先延ばしにしてしまっては、お客様の記憶が薄れ、ますますアポが取得しにくくなります。
「お客様がご自身で正しい住まいづくりの判断をしていただくために、本日体感体験された記憶があるうちに体感体験を通じて情報/知識の吸収を積み重ねてほしい」ということを、お客様の住まいづくりが上手くいくために譲れないという気持ちで7日以内の体感体験を中心とする行動アポ取得にトライします。
また、ご夫婦共働きで、勤務体系が異なり、予定が合わないとおっしゃられた場合は、「お二人の都合に全て合せますので、夕方でもお昼休みでも良いので3時間でもご夫婦で合せられる日程はありませんか?」とお客様に時間調整を打診します。

一生に1回の住まいづくりですので、お客様のために住いづくりを進めて行く期間の6~8週間は何とか7日以内に一度のペースのスケジュール調整をお願いします。お忙しくスケジュールを組みにくいお客様ほど事前のスケジュール調整が重要です。

まとめ

人が記憶している期間には限界がありますので、7日以内の体感体験を中心とする住まいづくりの行動アポと、この行動アポを成功させるための「行ってみたい」というお客様のメリットを明確に伝えて、週末のモチベーションアップのための「週中アポ」が受注に近づく営業のリズムです。そして、こうした行動をお願いするためには「お客様の新しい住まいづくりのために」という住宅営業担当者の「住宅営業の本質に対する信念」がなければ「来週は都合が悪い」の一言で終わってしまいますので、「お客様の暮らしを中心に考える」ことができているのかの本気度も重要です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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