注文住宅営業という仕事の目的と本質

住宅価格の上昇場面を迎えている昨今、より住宅営業の役割が重要になっていますが、現実にはどうも「営業作業」に終始してしまい、受注に対してどう向き合うのかとう考えが浅くなっているように見えます。「最近資材が高騰しているようだから、何社かと合い見積で比較したい」と言われると、腰が引けて、本来の付加価値部分を最初から省いたり、サイズを縮小したりと浮足立ってしまっています。景気が良くなっての住宅価格が上昇するような場面なら余裕も持てると思うのですが、今回は外的要因で資材のみが上がり、お客様の収入が伸びていないという状況では、住宅営業が価格に怖じ気づくのもわかります。こういう時こそ「注文住宅営業という仕事の目的と本質で考える」対策を講じる必要があります。「注文住宅営業という仕事の目的と本質で考える」とはどういうことなのか、具体的に考えて行きましょう。

「お客様に受容れていただく」ために、先ず「お客様を受容れる」

「お客様の要望に従って住いづくりを進める」から「注文住宅」というわけですから、先ずはお客様を受容れることが優先されます。接客の目的は、お客様を受容れて住いづくりのお考えを理解することです。
ところが、ほとんどの住宅会社/工務店の営業ルーチン(作業)は、「自社の特長を説明する」ところから入ろうとします。出だしから「注文住宅営業の目的がズレ」ています。「お客様を受容れ」ましょう。その最初の一歩が「案外難しい」と住宅営業は感じていますから、最も得意な「自社の構造/工法/性能の話」をしてしまっているという面もあります。
お客様のタイプも様々で、ただお客様と住宅営業が向き合っていても何も話してはくれないというお客様から、断熱気密と環境問題について大学教授じゃないかと思うくらいの知識で話をされるお客様までいらっしゃいます。
そのため、アンケート内容の冒頭に、お客様の関心事が分かる仕掛けを組み込むと効果的です。新型コロナ感染拡大以降、お客様は事前に住宅会社/工務店を調べて、訪れる住宅会社のモデル住宅や完成住まいの現場見学会を絞り込んでおられます。ということは、ご来場時に多くのお客様はご自身なりの範囲ですが、その住宅会社の知識を持っておられるということです。
従って、例えば「当社にご来場になられたのは当社のどこが気になったのですか?」という質問は、お客様の関心事にフォーカスし、お客様を受容れるための入口を設けることになります。先ず、お客様を中心に、お客様の関心事を受容れることが注文住宅営業のお客様との向き合い方です。最初期段階の営業「目的」は、「お客様の関心の方向を掴み受容れること」ことです。

「価格上昇局面」においては「付加価値ポイントを絞る」

モデル住宅なり完成住まいの現場見学会の住宅をご案内する際は、「一通りの案内」という住宅営業による「案内作業」が現状では中心になっています。住宅会社と住宅営業によって案内内容の深さのレベルは異なりますが、「一通りの案内」というのが問題です。お客様を受容れて「お客様のご関心の方向」を共有化できたのですから、そこを中心にご案内するのが自然な流れです。

特に、価格上昇局面にあっては、あれもこれもと「良いでしょう!」と自慢げに案内すると、「あれもこれも全て入れてオール込みで3000万円で」と言われてしまい、自ら首を締めてしまうことになります。

従って、ご案内カ所は、ご主人様のご関心の分野、奥様のご関心の分野と住宅会社としてのおすすめポイントの3点くらいに絞って丹念にご案内します。「丹念に」とは、「お客様がここに住むとして」とご自身の暮らしをここで再現してご納得できるかどうか、「ここはこうしたい」と具体的なご要望(注文)が出やすい様な対応をします。1カ所15分間程度のご案内でも、45分間~1時間程度ご案内に時間がかかります。お客様が集中できて情報取得可能なのは正味40分間程度です。

「これは是非とも実現しましょう」という「実現したいコト」のコアを共有化します。このコアを残しつつ予算枠が厳しくプラン縮小する場合でも、「これが実現できました」という「お客様のご満足度」を確保し受注に繋げます。ここでの注文住宅営業の目的は、「お客様がご納得いただける住まいづくりのコア部分」をお客様と共有化することです。

「予算枠」を突破し「Max資金計画」で住いづくりを実現する

「注文住宅営業の本質」は、「お客様に幸せになっていただく」ことです。その対価として建築費をご負担いただいているわけです。
「注文住宅営業の本質」の達成には「長期の時間軸」を配慮する必要があります。新築時にはこれで良かったかもしれませんが、半世紀以上に亘って暮らす住宅です。投資可能なら、この長期に亘って暮らしを楽しめる部分に投資していただくことが「お客様の幸せ」に結び付きます。
また、暮らしの安全/安心/快適に直結する躯体構造/性能については、「お客様のために譲れない」という「お客様の長期に亘る幸せな暮らしの実現のために」としてプロの知見をお客様へ意思を持って提供します。

「注文住宅営業の本質」の実現を追求しながら現実的な対応で受注する

お客様にとってご納得の行く「心豊かに暮らしていただくためにお客様が『実現したいコト』」を組み込んだ住いを創りお届けしますが、「価格」が今まで以上に厳しい問題としてクローズアップされて来る可能性があります。

お客様が想定されていた「ご予算」内での受注はかなり限られてくると思います。「ご予算」と「Max資金計画」の間の金額で受注することができるようにならないと、受注計画の達成は難しいものになると思います。これに対応するために「注文住宅営業という仕事の目的と本質」で考えて具体的に行動する実力が営業に求められています。

●気づき共感営業手法の導入という具体策

「注文住宅営業という仕事の目的と本質」で考えて具体的に行動する実力を系統立てて導入されるなら「気づき共感営業手法がおすすめ」です。
動画中心の研修とロープレ訓練、実案件での受注検討で実力をつけていただけますので効果的です。

気づき共感営業研修はこちら。

まとめ

30年振りの住宅価格上昇局面ですが、バブル期の価格上昇と異なり、お客様の収入が伸びていない中での価格上昇ですから、従来手法では勝ち残れないのは明白です。

最終的にお客様が支持する住宅会社/工務店というのはどういう会社かと言えば、「支払い可能な金額内で『最も自身の今後の暮らしが幸せになる』ことができる住宅を提供してくれるところ」です。「注文住宅営業という仕事の目的と本質」で考えて具体的に行動する実力を早急に身につけましょう。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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