住宅営業研修の効果を定着させるために
2022/04/17
住宅営業研修は受講すれば何らかの効果はあります。特に受講後数日間は研修で「ハッと気づいたこと」も各人それぞれにあるでしょうから、気分も変わってやる気が出ます。しかし、持続期間は数日から2週間程度で、いつの間にか消失してしまっています。もったいない話です。住宅営業研修効果を上げ実績に結び付けるためには、いくつかの課題があります。これを受講させる側の会社が知っておくと投資対効果は大きく跳ね上がります。
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上司と一緒に住宅営業研修を受講することの効果は大きい
住宅営業研修の効果を上げるためには、先ず上司と一緒に受講するということが重要です。実務に落とし込むために、上司も研修内容を理解しているということが前提です。上司が住宅営業研修を受講していない場合、研修受講後に、受講された部下から研修内容の報告を聴いても、「そうか、分かった」程度にとどまらざるを得ないと思います。
上司が一緒に同じ研修を共有化することが、実戦に落とし込む上でも、継続的に追いまわして効果を上げるためにも必要です。
単発的な住宅営業研修受講は効果が上がらない
本来は各社に合った適切な住宅コンサルティングを受け、それに応じたカスタマイズされた住宅営業研修を受講することが効果的ですが、費用の関係でそうも行かないと思います。かといって、単発的な住宅営業研修を受講しても、点が線になって繋がって行くことはありませんから効果は上がりません。
研修を提供している会社がどのようなポリシー、考え方を持って住宅営業を系統立てて研修を進めようとしているのかを、ホームページ等でその会社が発信している内容から判断をされることをお勧めします。特に、ユーザー視点の考えを持っている会社の営業研修を系統立てて受講すると受注効果が大きいと思います。そいう会社に自社の困りごとも相談して研修計画を立てて進めることをお勧めします。
●新人研修の基礎的な研修について
挨拶の仕方や名刺の出し方などの営業の基礎的な研修は、何処で受講してもよさそうなものです。しかし、最初に受ける研修で「こうしなさい」「ああしなさい」とマニュアル的に教え込まれると、考えることをしない新人育成になってしまいます。
「なぜこうするのか」という「目的」を分かってもらうと、応用の効く「考える」人材を育てる一歩に繋がります。そのような視点で研修業者を探しましょう。
●テキストより動画、座学よりロープレ訓練
分かりやすく「見たらわかる」「まず真似してみよう」で実践したくなる研修であることと、「頭でわかっていただく」研修と「体を動かしてできる」研修の順序での研修実施が効果的です。特に、ロープレ訓練は自社のモデル住宅などで具体的な指導を受けることで実戦能力が向上します。
受講者の追客中の実案件を受注していただく実戦研修
住宅営業研修は受注を効率的に進めることが目的ですが、「建前は分かったがお客様は様々でそうはいかない」という「研修=建前」で、「実戦=従来の方法」という考え方は相当に根深く管理職を含む営業の中に浸透しており、これが研修効果を大きく妨げています。つまり、「わかっちゃいるが実践していない」という現象です。そこで、系統だった住宅営業研修のプロセスの後半においては、住宅営業の追客中の実案件を題材に実際に受注していただくための具体策の指導を組み込んだ実戦住宅営業研修を選択されることをお勧めします。
1件の具体的な受注成功を定着させる
住宅営業の追客中の実案件を題材に、実際に受注していただくための具体策の指導の本来の目的は、「住宅営業の本質」を理解して応用を効かせることにあります。受注は偶然の受注もあると思いますが、それは長くは続きません。住宅受注は「必然の受注」であるべきです。
1件の必然の受注を基に、住宅営業研修効果が拡がることを考えた住宅営業研修は、受講者と会社にとって投資し甲斐のある良い住宅営業研修です。
●研修は集中期間とインターバル期間を適切に
一つのテーマをクリアするのに、ある程度の期間が必要な場合があります。
例えば、「初回面談研修」は住宅営業の重要部分の研修ですが、土日での研修で修得した内容の実戦期間を含めて2週間おきに5回程度行うのが効果的です。研修で学んだことを直ぐにその週末に実行することを考えると、こういったパターンになります。実践して上手く行かなかったことを修正していくことも含めて、こうした集中期間で身に着けることが効果的です。2カ月程度の集中研修です。
一旦身に着いたスキルも、ある期間を過ぎるとその根底にある考え方が希薄になりますから、6カ月間のインターバルを空けて繰り返し訓練を行うことが必要です。コロナワクチンの2回目3回目の追加接種のようなものです。
●系統立てた研修で短期間に戦力化
注文住宅営業の離職率が高いのは、結果を出せない「役立たず期間」が長すぎるからです。4月入社の新卒新人は、ゴールデンウィークに照準を当ててデビューを目指します。初回面談のステージだけでもプロ水準の対応が出来れば、営業プロセスでの成功体験を得ることができ、「褒める」こともできますから、本人の「自信」にもなります。その先の研修も見えるようにプログラムし、自分を育成してくれる会社と理解すれば「頑張れる」のが新人です。短期間に戦力化を図ってステップを順番に上げて行くべきだと思います。
まとめ
住宅営業研修の効果を定着させるためには、様々な受講に対する準備や考え方を整理する必要があります。
限られた予算で効果的な研修という人材投資が効果的になるように、住宅コンサルティングを受ける場合と同じように、自社に合ったプログラム内容と効果を上げるための研修の組み立て方を、事前によく研修実施の会社と協議してください。
受注産業である住宅業界は、先ず住宅営業の実力アップが企業発展の礎です。営業人材への効果的な投資が不可欠です。
《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士