住宅展示場・見学会への新規来場数減少で重要性を増す週中アポ

新規来場者数が減少しているという事態では、「来場者を全て受注する」というのが営業の基本姿勢です。
コンサルティングを実施している何社かのデータを詳しく分析すると、受注した案件のお客様との面談間隔が3.5日のお客様が最も受注率が高くなっていました。
週に2度、お客様とお会いするということですから、週末にモデル住宅やOB宅訪問という体感体験を中心とする行動アポを取得して、さらに週中にも面談をしていることを示しています。

間隔が空いた面談は受注から遠ざかる

逆に面談間隔が空けば空くほど受注率は下がります。
「友人宅でBBQがあるから来週はダメ」という言い訳を、「お客様が無理だとおっしゃったから」という「正当な理由」として住宅営業は主張しますが、本当にそうなのか。
BBQは24時間開催なのか、週末のどちらかで3時間の時間を確保できないのか、淡白な住宅営業に「粘りが足りない」とついついお説教をしてしまいそうになります。
そもそも、「行ってみたい」と思っていただける内容の魅力的な次週アポ内容だったのか、そして、それが伝わったのか。
いずれにしても毎週末の行動アポは、順調に受注ステージを上げて行くためには必要です。
2週間間隔が空いてしまったら、前回の記憶はほぼ消去されていると考えた方が良いでしょう。
2週間前の夕食内容を覚えていないのと同じです。

週末行動アポに「行ってみたい」と盛り上げるのが週中アポ

例えば、「毎週末の昼食を二人で楽しみたい」というお客様へ、「テラスと一体のキッチン」のOB宅訪問で「こんな楽しみ方をされています」を体感体験していただこうと企画して、次週アポを取得した場合を考えてみます。
多くの住宅営業は、「良いアポ取れた」と安心して来週まで放置します。
しかし、「テラスと一体のキッチン」の魅力は本当に伝わっているのでしょうか。
「言葉はコミュニケーションの5~15%程度の効果」しかありませんから、おそらく伝わっていないでしょう。

週中に「週末にご案内するOB宅」のビジュアルな画像を中心とした「テラスと一体のキッチン」の楽しみ方の魅力が伝わるビジュアル情報提示して、「行ってみたい」を盛り上げて、その気持ちを定着させます。
「ワクワクする週末アポ」ならお客様は時間をやりくりして出向いてくださいます。

●週中アポは簡潔にポイントを絞った内容で

「週末アポがワクワクして楽しみにしてくださる状態」に持って行ければ100点満点です。
毎週2回面談するということは3.5日に一度お会いするということですから、面談内容に強弱が必要です。
こってりとした内容でてんこ盛りの面談が続くと、お客様は「くどい」「うんざり」になってしまいます。
また、週末の体感体験で新しい情報を取得するのと比べれば、ビジュアルでとは言うものの、タブレットの画面やプリントアウトした資料では伝わる限度があります。
「週末は中味を濃く」、「週中は週末の魅力的な予告編」と考えて強弱をつけます。

3日も経てば忘れてしまうのが人間です。
週中アポは記憶の上書きと意欲の盛り上げを中心にします。

宿題は週中に提出が基本

週末の体感体験を伴う面談では、お客様も触発されることが多く、「疑問」や「質問」をされることも多くなると思います。
その場でお答えできるものはその場でお答えしますが、難しい場合はご質問の意図を確認して「今週火曜日に資料をお持ちします」と週中アポと絡めて「宿題」に対応します。
出来るだけ簡潔でビジュアルな資料でパッと見てわかる資料で提出します。
宿題提出までの間隔が翌週まで空くと、場合によってはお客様は質問されたことさえ忘れてしまわれていることがあります。
また、週末行動アポの本来の狙いとする体感体験内容が薄まらないように、週中アポ時に宿題は片づけます。

●毎週テンポよく確実に受注ステージを上がって行くために

来場者数が減少していますが、本気のお客様が多く来場者の質は高いという状態が続いています。
コロナ禍で事前にネットで住宅会社を絞り込んで来場されているわけですから、「確実に受注をあげる」ことが求められます。
「商売はテンポ良く」が原則ですから、週末アポと週中アポの強弱、強弱のリズムでテンポよく受注というゴールを目指します。

●課題解決は週末の行動アポで

お客様から出た「宿題」も含めて週中アポを有効に使って営業のリズムを生み出しますが、「受注のための大きな問題/課題の解決」は、週末の行動アポの中に組み込みます。
週中のあわただしい時間の中で解決したつもりになっても、中々そうは行かないことが多いと思います。
時間的にも気持ち的にも余裕のある週末に課題解決は行うことが原則です。

まとめ

新規来場者が減少する中だからこそ週中アポの重要性が高まっています。
週中アポはその使い方を明確にしてテンポのよい営業リズムを生み出すようにします。
人間の記憶力の薄れ方という生理的な面も含んで週中アポは重要です。

少ない来場者を確実に受注に結び付けるための重要な一つのポイントが週中アポですので、工夫を加えて実施してください。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

関連記事

住宅展示場や見学会の少ない来場者から確実に受注する方法

住宅展示場や見学会への来場者数が減少したことを嘆いても始まりません。新規来場者数の減少も是とした上で受注を如何に上げていくのか、という発想が営業の考え方です。住宅営業担当の各人がすぐに取り組める内容の具体策をいくつか考え […]

住宅会社/工務店のSNSでの情報発信セオリーとは

現在、住宅会社/工務店の集客方法として、SNSでの情報発信は非常に活発に行われています。20代後半から30代前半までのセンスのいい客層にアピールするには「Instagram」、30代後半から40代前半までの自身の暮らしへ […]

住宅営業に役立つ持ち物とは

住宅営業の持ち物についてですが、モデル住宅内、あるいは内見会(完成住まいの現場見学会)などの住宅内で営業活動を進めるために、有効に使う持ち物について考えてみたいと思います。 モデル住宅を有効に使おうとすると、本来、初回面 […]

新着記事

【2025/2026年 注文住宅事業の進め方】「暮らし視点」で受注力・商品力・人材力を進化させる

少子化・人口減少・金利上昇・物価上昇と、注文住宅業界を取り巻く経営環境は今、大きな構造変化の渦中にあります。しかし、すべてがマイナスに振れているわけではありません。むしろ多様化・個別化が進み、「自分らしい暮らし」「人生の […]

【住宅展示場の来場者数推移から見る集客対策】集客数減少 → 受注棟数減少の解決方法

近年、住宅業界を取り巻く環境は、お客様のSNS、ネットからの情報収集が一段と進み、いつのまにか、集客数もさることながら、来場段階でのお客様の考え方も大きく変化しています。特に総合住宅展示場の来場者数推移に注目すると、来場 […]

【2025年住宅市場】新しい「中級住宅」の定義と現状認識

かつては、多くの家庭が手の届く価格で、ある程度の性能やデザイン性、暮らしやすさを兼ね備えた「ちょうどいい住宅」として捉えられていた中級住宅ですが、今はその基準が崩れつつあります。 経済状況の変化、ライフスタイルの多様化、 […]

【2025年住宅市場】60歳代に目を向ける注文住宅事業

現在の新築住宅市場において、中心となる顧客層は30〜40歳代のファミリー層です。特に35歳前後の世帯が主なターゲットとなっており、結婚し、子育てを始めるタイミングで住宅を取得するケースが一般的です。しかしながら、日本の人 […]

住宅事業の集客革新!|令和の集客方法を、考え方から新しいアイデア、イベント活用事例まで徹底解説

住宅業界の集客において、従来の手法では限界が見え始めています。多くの住宅会社や工務店が住宅性能や間取りを中心に訴求していますが、お客様にとってはどれも似たように映りがちです。これからの住宅事業での集客では、新しいアイデア […]

【2025年住宅市場】城南地区から横浜/湘南方面エリアで住宅事業成功を掴むには

現代の住宅市場においては、単なる「住むための家」ではなく、「心豊かな暮らし」を実現する住まいが求められています。特に、東京の城南地区(品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・港区)から横浜/湘南方面にかけてのエリアでは […]