誰かの成功事例を自身の住宅営業のノウハウにするには

住宅営業のノウハウは、誰かの成功事例を聞いて取り入れようとしても中々実戦で効果を出すのが難しいものです。
他社の成功事例を聞いてチャレンジしたり、先輩にノウハウを教えていただいても、その人だからできることであって、同じ言葉をお客様に言っても伝わらないということはよくあります。

だからといって自分一人で営業のノウハウを積み上げていこうとしても10年単位で時間が掛かりますし、そうしている間に市況やお客様特性も変化していきます。

今回は、住宅営業ノウハウを修得し実戦で成果を出すためにはどうすればいいのかを説明します。

住宅営業ノウハウが上手く活用できない理由

住宅営業のノウハウが上手く活用できないのは、マニュアル化することが困難であるということです。
お客様に言うセリフが決まっていれば、覚えて読み上げるだけでいいのですが、住宅事業はお客様によって住まいに対する考え方が違いますので、画一的な文言での対応が難しいということがあります。

成功した事例を真似しようとしても、住宅営業担当者ごとに人間性も違えばお客様も違いますので、上手くいかないのは当然です。
ましてやセミナーなどで他社の成功事例を聞いても、社内の成功事例でも中々水平展開をするのが難しい住宅営業のノウハウを上手く活用することは大変困難です。

社内でも住宅営業担当者ごとの『人間性の違い』や『お客様ごとの対応の違い』があり、他社とは『異なる地域』、『異なる規模』、『異なる歴史』、『異なる考えの経営者』、『異なる狙いの客層』、『異なる工法/構造』になっており、ノウハウを聞いただけでは修得することは非常に難しいということになります。

住宅営業のノウハウで結果を出す3つのステップ

マニュアル化できず水平展開が難しい住宅営業のノウハウですが、弊社がコンサルティング/研修を実施していく中で、実際に成果を出していただいている3つのステップがあります。

STEP1 ノウハウの成功ポイントを頭で理解する

お客様ごとの対応の仕方が変わる住宅営業で、全てのお客様に対応していく営業ノウハウを自分自身で積み上げるのは相当の労力と時間を要しますので、成功事例を上手く活用して、自身の営業ノウハウとして短期間で身に付けられるようにしたいです。
住宅営業のノウハウを活かすためには、その成功事例を分析/解析して、『成功のポイント』を抽出する必要があります。

例えば、『お客様のアポを取るのに既に住まわれているお宅をご案内することが有効』という成功事例あります。
この住宅営業ノウハウの『成功のポイント』は、受注につながるアポとして全てのお客様に対して有効なのかというと、そうとも限りません。
お客様の関心が無いお宅を紹介しても意味がないですし、いきなり住まわれているお宅に行くことに対して気を使われて躊躇される方もいらっしゃいます。

この住宅営業ノウハウの成功のポイントは

・モデルハウス、見学会での案内時にはお客様の関心事を把握する
・お客様の関心事項について新居で実現できるのかお客様の土地、資金に近しい場所での実現例をお見せする


ということです。

ノウハウを活用して実戦で成果を出すためには、まず成功事例の成功ポイントは何処にあるのかを頭で理解する必要があります。

STEP2 体を動かしてロープレ訓練し実行する

ノウハウを活用する二つ目のステップは、体を動かしてのロープレ訓練後に実践してみることです。

「モデルハウス、見学会での案内時にはお客様の関心事を把握する」としても、お客様にいきなり「何に関心をお持ちですか?」とお聞きしても唐突過ぎて、何をどう答えてよいのかわからず、住宅営業が期待する内容で応えていただける方はいらっしゃいません。
何をすればお客様の関心事を把握できるか、ご案内時にどうするのか実戦レベルで考えて訓練し、実行する必要があります。

例えば、ご案内の最初にお願いするアンケートに他社を見られて「気に入った点、気になった点」を記入する項目を入れ込むなどのアンケートの「関心事を把握する」ための工夫も併せて必要です。
ご案内をする中で、お客様の関心事を把握するための具体策も設定し、訓練後に実行します。

STEP3 応用力を身に付ける

住宅営業ノウハウの成功のポイントを訓練後に実行しても上手くいかないお客様が出てきます。
ノウハウが活用できない一番の理由が、このやってみたけれど上手くいかないということで簡単に諦めてしまうことです。

お客様の関心事を掴むためにアンケート記入をお願いしても、アンケートの関心事項について「特にない」と記入されたり、空欄のままということが大半のお客様で起こります。
住宅営業ノウハウで結果を出すためには、上記のような場面で対処できる応用力が必要です。

実際にアンケートを書いていただけなかった方の反応とその場でどのように対応したのか検証をします。
アンケートのこの項目にご記入いただく目的がお客様メリットとして伝わっていなかったのではないか。
アンケート記入段階では、お客様の関心事を把握できなかったけれど、案内時にお客様の関心事を引き出すためのモデルハウス案内の工夫が足りなかったのではないか、など問題点を洗い出し、解決策を検討します。

成功のポイントを掴み、実行するため、実戦での様々なお客様への対応を積み重ねてどのようなお客様でも確実に成功できるように実戦と振り返りによる工夫の積み重ねは、確実に成功へ近づきます。

「このお客様には無理であったので、このようなタイプのお客様には、このやり方は使い物になりません」としてしまうと、様々なお客様がいらっしゃる中で活用できるお客様はほとんどいなくなってしまします。
住宅営業ノウハウの成功ポイントを理解し、様々なお客様にどのように活用して成果を上げて行くかという、実践と振り返りによる努力によってのみノウハウは身に着くものです。

どのように優れたノウハウであっても、この努力なしに身に着くものではありません。
「良い情報を教えてもらった」という「情報を知っている」程度の話しと「ノウハウを身に着ける」ことは根本的な次元の差があります。
「頭でわかり」「訓練で基本を身に着け」「実戦で様々工夫する」努力が必要です。

まとめ

住宅営業の成功事例を聞くと自分でもできるように感じてしまいますが、実際やってみると上手くいかないという住宅営業ノウハウを吸収し、自分のモノにして活用する時の落とし穴があります。

弊社の住宅営業のサポートでは、住宅営業のノウハウについて合理的で効率的な「住宅営業の進め方の基本形」としてまとめており、まず頭で理解していただくためのテキストと動画をご用意しています。
さらに基本的なロープレ訓練と実戦応用ロープレ訓練、さらには営業がその時点で向き合っている実案件で検証し、受注具体策を提示する訓練も実施して実力をつけていただくようにしています。

住宅営業ノウハウを活用し、結果を出すためには、この3つのステップ『頭で理解する』『体を動かしてロープレ訓練し実行する』『応用力を身に付ける』が非常に有効です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

関連記事

住宅営業の基礎力を身に付けるために

住宅営業には会話力、プレゼン能力など様々なスキルが求められます。もちろん、自社住宅商品や住宅建築に関する知識は前提として必要ですが、最初に身に付けるべきスキルは「お客様に見られるスキル」「お客様を見るスキル」です。 Co […]

【住宅営業チームのマネージメント】住宅営業の結果が出る朝ミーティングの進め方

住宅営業のチームでは、自身も営業をしているプレイングマネージャーがチームを管理していることが多く、部下の事も自身の営業活動も行っていらっしゃるため、時間がない中でどうやってチームのマネージメントをしていけば良いのかという […]

住宅の価格アップ時代には「気づき共感営業」が強力な武器になる

住宅業界は30年振りの価格アップ時代に突入しました。「超低金利デフレ時代」が続きましたが、外的要因によって資源/資材のインフレへと急速に転じています。住宅価格アップ時代に適応させ、住宅事業を発展させる方策がこの春からは必 […]

新着記事

新築同等以上のフルリフォーム事業成功のポイント-②

新築事業の勢いが無くなり減速していく中、これをカバーして余りある事業としての新築同等以上のフルリフォーム事業分野を開発し事業として確立することは、今後の住宅事業戦略で重要です。従来のリフォームのような小規模な案件が多い、 […]

【住宅展示場の来場者数推移から見る集客対策】集客数減少 → 受注棟数減少の解決方法

最新の情報では、2024年7月の総合住宅展示場の来場者数は、前年同月比14.2%の減少、1月~7月までの今期来場者の累計は前年比3.2%減へと推移しています。大手ハウスメーカーの新築受注棟数もで概ね減少しています。集客数 […]

「非住宅木造建築」分野で成功するポイント

木造で住宅建築に取り組んでこられた住宅会社/工務店/建設会社にとって、非住宅木造建築分野は「未開拓分野」でありますが、保有建築技術の応用で自ら積極的に切り拓くことができる分野です。 戸建住宅市場が、人口減少と出生率の低下 […]

新築同等以上のフルリフォーム事業成功のポイント-①

新築住宅は、人口減少、出生率の低下で、少なくともこの先40年は、確実に需要が減少します。一方で、住宅ストック戸数は増加をし続けており、リフォーム需要は、インフレが継続する昨今の経済環境も含めて成長が期待されています。特に […]

間違いだらけの注文住宅事業

過激な表題ですが、正確に表現すれば、注文住宅を発注する側のお客様が軸を持たずに住宅会社へ注文を出しているため、予算は低めで、要求はランダムかつ過大になりがちです。それに振り回されているのが現実だと思います。 注文住宅は、 […]

市況によって上昇する価格に振り回されない住宅営業とは

ウッドショックから始まり、多くの住宅会社・工務店で坪単価が上昇しています。 「住宅の坪単価が上がったから売れない」というのはプロの世界では通らない話です。 具体策としてどう対処するのかを考えてみましょう。 Content […]