お客様の正確な建築条件を引き出す住宅営業のコツ

住宅営業において受注活動をスムーズに行うためには、住宅を建てるために必要な土地、建築予算、建築スケジュールの情報を正確にお客様に開示していただく必要があります。
ただし、お客様にこれらの建築条件をお聞きしても、土地については「いい土地がでれば」、予算もお客様がなんとなく思っている金額をお答えになったり、建築スケジュールも将来的に考えている段階というアバウトな解答になることが多いものです。

実際に、お客様は建築計画初期段階では、ほとんどの場合は曖昧な建築条件しかお持ちではありません。
お客様の建築条件は初期段階で掴みたい情報です。
かといって、初来場のお客様の正確な建築条件を無理に聞き出そうと、いきなり『敷地調査させてください』『資金計画を立てましょう』と言ってもお客様に嫌がられてしまいます。

今回は、住宅営業の初期の段階から、お客様の正確な建築条件を引き出す住宅営業のコツについて記します。

Contents

お客様自ら正確な建築条件を知りたくなるには

実は、お客様ご自身が、手に入れたい住まいでどのような暮らしを実現したいのかが見えていません。
したがって、そこに気づいていただき『こんな家が欲しい』がわかると、ご自身の土地・予算に納まるのか、いつそれが手に入るのかを知りたいという気持ちになられます。
初回来場時から『こんな家が欲しい』と思っていただけるご案内ができると、そのお客様のお住いを実現するためのステップとして、自然と敷地調査、資金計画、建築スケジュールの話に進むことができます。

お客様ご自身が暮らすとして案内

お客様に『こんな家が欲しい』と思っていただくためには、初回来場時からご来場いただいた展示場や見学会を見ていただく際に、『お客様ご自身が暮らす家』として観ていただく必要があります。
新しい家づくりのための参考として、住宅展示場や住宅見学会をご覧になられると、一般には第三者の視点で見てしまいます。
これでは「こういう雰囲気は好き」「そういう工夫の仕方もあるんだ」と「情報収集」の域を出ません。
「ご案内する場所」で「ご自身が暮らす」という、当事者目線で体感体験を含めて観ていただきかなければ、実感を持って『こんな家が欲しい』とはなりません。
お客様がご自身の正確な建築条件の枠組みを知りたくなる第一歩は、お客様ご自身が暮らすとしての視点を持てる案内を受けることから始まります。

新しい暮らしを触発

お客様がすでに考えておられる新しい住まいへの要望に応えただけの案内では、『こんな家が欲しい』ということに気づかれることはありません。

例えば、

「キッチンがモノで溢れてしまっているので収納が欲しい。」

という方に

「このキッチンは収納が充実しています。これだけの大容量を収納可能です。」

というご案内をしても、当然お客様も収納量の多いキッチンにしようと考えておられますし、他社からも収納量について説明を受けているはずです。

そこで、『こんな家が欲しい』を生み出すためには、きれいに片付いたキッチンで何をしようとされているのか、奥様が凝った料理をされようとしているのか、ご夫婦でキッチンに立とうとされているのか、またはお子様と一緒にお菓子作りをされようとしているのか、お客様がキッチンでどのような暮らしをされたいのかが大切です。
奥様が凝った料理をされる場合に、調味料をたくさん使われるというのであれば、オシャレに飾れる調味料棚を設けると作業もしやすく、日々の料理がより楽しい時間に変わります。

キッチンの収納量に対応するだけではなく、片付いたキッチンで何をしようとしているのか、それをより楽しめる工夫が分かると、『そんなキッチンにしたい』と気づいていただくことができます。

お客様が思っておられるご要望だけでなく、お客様がワクワクする楽しい暮らしを触発できると『こんな家が欲しい』に近づきます。

実現したい暮らしを共有化

住宅展示場や住宅見学会でのご案内で、お客様の新しい暮らしの触発をしていくと、各ご案内場所での『こんな暮らしは楽しそう』『こんな風にしたい』が見えてきます。
ご案内をしていきながら見えてきた『お客様の実現したい暮らし』を「キッチンでは調味料が置ける便利でおしゃれな棚は実現しましょう」「リビングでは・・・」というように、ご案内の最後に「こういうことを実現なさりたいのですね」と確認し、お客様と共有化します。

こうした『お客様の実現したい暮らし』を「これから計画を進めていく上でお客様の新居で必ず実現していきましょう。」とお客様と共有化できると、『売り込みをされる住宅営業』、『迷惑な訪問をされる住宅営業』ではなく、お客様の実現したい暮らしを具体化するためのスタッフという、お客様のパートナーとしての立ち位置になれます。

土地/資金計画/建築スケジュールの共有化

『こんな家が欲しい』という家を実現するために、今ある土地を最大限有効に活かすために敷地調査で確認しましょう。

お客様が、最大どこまで資金調達可能なのか、その中でどこまで住まいづくりに投資をすべきなのかを検討していただくために、詳しい資金計画を立ててみましょう。

欲しいと思っていただいた新居が最短でいつ手に入るのかを把握していただくために、建築スケジュールを立てましょう。

ということができれば、お客様のお住いを実現するためのステップとして、自然と敷地調査、資金計画、建築スケジュールのアポ取得可能です。

逆に、『こんな暮らしがしたい』『こんな家が欲しい』ということにお客様が気づかない限りは、建築条件を正確に把握するための行動はお客様にとっては必要性を感じない住宅営業のごり押しになってしまします。

まとめ

初回面談からお客様の正確な建築条件を共有化するためには、お客様に『こんな家が欲しい』と思っていただき、それを実現するためのステップとして敷地調査や資金計画、建築スケジュールが大切だと認識していただくことです。

お客様ご自身が暮らすという視点でご見学いただき、お客様の楽しい暮らしを触発できる案内ができると、『こんな暮らしをしてみたい』と思っていただけます。
お客様の『実現したい暮らし』をまとめ、『こんな家が欲しい』をお客様と共有できると、住宅の売り込みをする住宅営業という立場から、お客様の欲しい家を実現するためのスタッフという立ち位置になれます。

そうすると、お客様のお住いを実現するためのステップとして自然と敷地調査、資金計画、建築スケジュールへ進むことができます。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

関連記事

取得率100%が可能になる住宅展示場のアンケート取得方法

アンケート取得は営業活動を始めるのに欠かせないものです。アンケートにご記入いただけなければ、次のご案内も追客も何もできません。住宅展示場や見学会も少なくない投資がされて開催するのですから、来場された方からアンケートを取得 […]

住宅営業は毎週確実に前進が原則

住宅営業と言っても建売分譲住宅営業、建築条件付き売建営業、注文住宅営業に分かれ、さらに価格帯や住宅テイストで市場は分かれ、販売方法や販売期間のベンチマークは異なります。 最新の営業手法でも「目に見える商品を売る建売分譲住 […]

住宅展示場や見学会の少ない来場者から確実に受注する方法

住宅展示場や見学会への来場者数が減少したことを嘆いても始まりません。新規来場者数の減少も是とした上で受注を如何に上げていくのか、という発想が営業の考え方です。住宅営業担当の各人がすぐに取り組める内容の具体策をいくつか考え […]

新着記事

モデルハウス・住宅見学会への「集客数の減少」をお客様の視点から見てみると

モデルハウスや住宅見学会で、「集客が伸びない」「来場者数が減った」という声は、コロナ禍に突入してから多少の波はありますが常態化しています。また、人口減少や物価高などの社会情勢の影響もあり集客数は減少していますが、いずれに […]

【工務店・住宅会社のSNS集客のコツ】必要なのは、たった1つの要素

住宅建築適齢期の20~40代は、SNS世代です。利用されているSNSは、Instagram、Twitter、LINE、YouTube、TikTokなど多数存在し、住宅展示場や完成住宅見学会や相談会などへの集客には、SNS […]

ハウスメーカー・住宅会社・工務店集客数減少 → 受注棟数減少の解決策

住宅展示場協議会と住宅生産振興財団が発表した2024年2月の住宅展示場の来場者組数は、対前年同月比2.7%増の24万9423組とのことです。2024年1月の減少から増加へと転じましたが、様々な理由で、従来通りの集客数は見 […]

【住宅営業のコツ】値引きせずに新築住宅を受注するコツ

お客様から値引きを匂わされたら応じなければならないと思っていませんか。値引きしなくても受注出来る住宅営業のポイントをお伝えします。 「お客様の予算枠に金額を合せないと受注できない」「失注するくらいなら、多少値引きしてでも […]

初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション―②

初回のプラン提示でお客様にご納得いただく為のプレゼンテーションについて、前回は、何故お客様に初回のプラン提示でのプレゼンテーションがご納得いただきにくいのかについてと、お客様に伝わりやすいプレゼンテーション資料の見え方に […]

受注歩留まり率を高める住宅営業とは

「なかなか受注ができない」と日々あの手この手と対策を考えながら営業活動をしているかと思います。数多くのお客様に営業活動をして、その中から反応の良いお客様の受注を目指すのは、人口減少の時代には厳しい方法です。また、エンドユ […]