お客様の正確な建築条件を引き出す住宅営業のコツ
2022/03/17
住宅営業において受注活動をスムーズに行うためには、住宅を建てるために必要な土地、建築予算、建築スケジュールの情報を正確にお客様に開示していただく必要があります。
ただし、お客様にこれらの建築条件をお聞きしても、土地については「いい土地がでれば」、予算もお客様がなんとなく思っている金額をお答えになったり、建築スケジュールも将来的に考えている段階というアバウトな解答になることが多いものです。
実際に、お客様は建築計画初期段階では、ほとんどの場合は曖昧な建築条件しかお持ちではありません。
お客様の建築条件は初期段階で掴みたい情報です。
かといって、初来場のお客様の正確な建築条件を無理に聞き出そうと、いきなり『敷地調査させてください』『資金計画を立てましょう』と言ってもお客様に嫌がられてしまいます。
今回は、住宅営業の初期の段階から、お客様の正確な建築条件を引き出す住宅営業のコツについて記します。
Contents
お客様自ら正確な建築条件を知りたくなるには
実は、お客様ご自身が、手に入れたい住まいでどのような暮らしを実現したいのかが見えていません。
したがって、そこに気づいていただき『こんな家が欲しい』がわかると、ご自身の土地・予算に納まるのか、いつそれが手に入るのかを知りたいという気持ちになられます。
初回来場時から『こんな家が欲しい』と思っていただけるご案内ができると、そのお客様のお住いを実現するためのステップとして、自然と敷地調査、資金計画、建築スケジュールの話に進むことができます。
お客様ご自身が暮らすとして案内
お客様に『こんな家が欲しい』と思っていただくためには、初回来場時からご来場いただいた展示場や見学会を見ていただく際に、『お客様ご自身が暮らす家』として観ていただく必要があります。
新しい家づくりのための参考として、住宅展示場や住宅見学会をご覧になられると、一般には第三者の視点で見てしまいます。
これでは「こういう雰囲気は好き」「そういう工夫の仕方もあるんだ」と「情報収集」の域を出ません。
「ご案内する場所」で「ご自身が暮らす」という、当事者目線で体感体験を含めて観ていただきかなければ、実感を持って『こんな家が欲しい』とはなりません。
お客様がご自身の正確な建築条件の枠組みを知りたくなる第一歩は、お客様ご自身が暮らすとしての視点を持てる案内を受けることから始まります。
新しい暮らしを触発
お客様がすでに考えておられる新しい住まいへの要望に応えただけの案内では、『こんな家が欲しい』ということに気づかれることはありません。
例えば、
「キッチンがモノで溢れてしまっているので収納が欲しい。」
という方に
「このキッチンは収納が充実しています。これだけの大容量を収納可能です。」
というご案内をしても、当然お客様も収納量の多いキッチンにしようと考えておられますし、他社からも収納量について説明を受けているはずです。
そこで、『こんな家が欲しい』を生み出すためには、きれいに片付いたキッチンで何をしようとされているのか、奥様が凝った料理をされようとしているのか、ご夫婦でキッチンに立とうとされているのか、またはお子様と一緒にお菓子作りをされようとしているのか、お客様がキッチンでどのような暮らしをされたいのかが大切です。
奥様が凝った料理をされる場合に、調味料をたくさん使われるというのであれば、オシャレに飾れる調味料棚を設けると作業もしやすく、日々の料理がより楽しい時間に変わります。
キッチンの収納量に対応するだけではなく、片付いたキッチンで何をしようとしているのか、それをより楽しめる工夫が分かると、『そんなキッチンにしたい』と気づいていただくことができます。
お客様が思っておられるご要望だけでなく、お客様がワクワクする楽しい暮らしを触発できると『こんな家が欲しい』に近づきます。
実現したい暮らしを共有化
住宅展示場や住宅見学会でのご案内で、お客様の新しい暮らしの触発をしていくと、各ご案内場所での『こんな暮らしは楽しそう』『こんな風にしたい』が見えてきます。
ご案内をしていきながら見えてきた『お客様の実現したい暮らし』を「キッチンでは調味料が置ける便利でおしゃれな棚は実現しましょう」「リビングでは・・・」というように、ご案内の最後に「こういうことを実現なさりたいのですね」と確認し、お客様と共有化します。
こうした『お客様の実現したい暮らし』を「これから計画を進めていく上でお客様の新居で必ず実現していきましょう。」とお客様と共有化できると、『売り込みをされる住宅営業』、『迷惑な訪問をされる住宅営業』ではなく、お客様の実現したい暮らしを具体化するためのスタッフという、お客様のパートナーとしての立ち位置になれます。
土地/資金計画/建築スケジュールの共有化
『こんな家が欲しい』という家を実現するために、今ある土地を最大限有効に活かすために敷地調査で確認しましょう。
お客様が、最大どこまで資金調達可能なのか、その中でどこまで住まいづくりに投資をすべきなのかを検討していただくために、詳しい資金計画を立ててみましょう。
欲しいと思っていただいた新居が最短でいつ手に入るのかを把握していただくために、建築スケジュールを立てましょう。
ということができれば、お客様のお住いを実現するためのステップとして、自然と敷地調査、資金計画、建築スケジュールのアポ取得可能です。
逆に、『こんな暮らしがしたい』『こんな家が欲しい』ということにお客様が気づかない限りは、建築条件を正確に把握するための行動はお客様にとっては必要性を感じない住宅営業のごり押しになってしまします。
まとめ
初回面談からお客様の正確な建築条件を共有化するためには、お客様に『こんな家が欲しい』と思っていただき、それを実現するためのステップとして敷地調査や資金計画、建築スケジュールが大切だと認識していただくことです。
お客様ご自身が暮らすという視点でご見学いただき、お客様の楽しい暮らしを触発できる案内ができると、『こんな暮らしをしてみたい』と思っていただけます。
お客様の『実現したい暮らし』をまとめ、『こんな家が欲しい』をお客様と共有できると、住宅の売り込みをする住宅営業という立場から、お客様の欲しい家を実現するためのスタッフという立ち位置になれます。
そうすると、お客様のお住いを実現するためのステップとして自然と敷地調査、資金計画、建築スケジュールへ進むことができます。
《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗