受注につながる総合住宅展示場や完成住まいの見学会への集客のポイント

総合住宅展示場の集客力に陰りが出始めてから既に何年も経ちます。
完成住まいの現場見学会を開催しても新規来場客ゼロということも生じるようになりました。
「集客を多く集める」という視点だけで集客企画を考えることは難しい段階に入っています。
本来「集客の成功」は、どれだけ受注につながったのかという評価ですから、集客数の大きな伸びが期待できなくても「見込度の高いお客様の集客」「集客の質」という視点で集客企画を考える必要があります。

「少ない集客数でも受注につながる」いわゆる「濃いお客様」の集客企画です。

Contents

「集客数」×「質」という視点の住宅展示場や完成住まいの見学会での集客企画

来場者数を伸ばすという企画から「来場者の質」を上げることへ重心を移します。
「住まいを楽しみ人生を楽しむ暮らしの実現」というのが注文住宅事業の本質とするなら、「来場者の質」を上げる企画の基本姿勢は「お客様の暮らしを中心に考える」集客企画です。

暮らしというのは手に触れたりできる分かりやすい「モノ」ではありませんから、「お客様の暮らし」と言っても住まいづくりに臨まれるお客様は「ご自身の暮らし」に気づかれていません。

楽しい暮らしの「触発」が集客企画のポイント

自社の「ハード」特徴の訴求というのは、実は「お客様の暮らしを中心に考える」のではなく「自社中心」の発想です。
これでは「お客様にとって楽し暮らし」が見えてきません。
「キッチンのプラン」という「ソフト」特徴の訴求でも結局は、お客様に楽しい暮らしの実現を触発できません。

「こんな楽しい暮らしが実現できる」という手に入れた暮らしの事例提示での「触発」が集客のポイントです。
個々のお客様で楽しみ方のポイントは異なりますが、「この家族はそういう楽しみ方なのか」ということがパッと見てわかるビジュアルで提示されると、「私たちなら・・・」と興味を抱いていただき「行ってみようか」という行動へつながります。
反応されるお客様の前提条件は、「本気で住まいづくりをかんがえている」ということですから「質の高い集客」が可能になります。

暮らしが見えるビジュアル訴求へ

Instagram、YouTubeという「ビジュアル主体のSNS媒体からの情報収集」が一般的になり、文章を読むのは面倒で敬遠される傾向にあります。
従って、どのような広告媒体を使うにしても「ビジュアル主体」で「この住宅でこんな楽しい暮らしが実現できている」という「暮らしが見える」いくつかのシーン提供をその暮らしを楽しんでいる家族が「動的に入った」ビジュアル訴求が基本です。
家族が座って「じっとしている」画像ではなく子供が走っているシーン、キッチンで夫婦が食事を一緒に作っている調理中の楽しいシーンなどの「一瞬の動きを捉えた画像」が「楽しい暮らし」を伝えます。

人物は予算があればプロのモデルさんで家族を構成して撮影しますが、社員のご家族で撮影しても効果は十分発揮できます。

集客のポイントは「モノ」から「コトへ」

SNSや住宅雑誌への広告掲載など広告媒体特性にもよりますが、訴求の主体は「モノ」から「コト」へシフトしています。
従来の住宅業界の広告は外観写真を大きく取り上げて住宅という「モノ」を訴求していましたが、注文住宅という「お客様が実現したい暮らしにフィットした住まいづくり」という商品特性を考えれば、その住宅で「こんな楽しいコトを実現したい」がお客様と共有化されて初めて住宅という「モノ」という形にすることができます。
「コト」訴求はお客様の住まいづくりを「触発」します。
「モノ」から「コト」への発想の転換が必須です。

お客様の想像力を活用する

広告宣伝で取り上げた「想定家族」の暮らしは個々のお客様の暮らしではありません。
「こんなに限定した暮らしを見せては、これにあてはまらない客は来ない」という心配をされる集客企画担当者もいらっしゃいます。

大丈夫です。

お客様は十分に想像力をお持ちです。

「自分たちならどうする」を連想されます。

●取り上げる暮らしは具体的であればあるほど効果が高い

「インナーガレージのある住まい」の訴求でも、ガレージで車いじりが趣味で楽しみにしているご主人ならそのための工具やジャッキなどできるだけ詳細にビジュアルでその楽しい空間を訴求します。
集客結果として「車好きの人」しか来ないのかというと、「陶芸をしたい」「スノ―ボードのチューニング」などの思いもよらない用途活用というお客様が来場され、個々のお客様の想像力に驚かされます。

●楽しい暮らしが見えるとお客様は動く

「楽しい暮らしが具体的に見える」ことがポイントです。
ちょっとした「幸せな時間」の「暮らしの触発」がお客様を来場行動へと向かわせます。
「質の高いお客様」という「受注に直結」する「初回面談時から直接住まいづくりの具体化へ入れるお客様」、「暮らしの魅力という付加価値への投資」を望むお客様を触発し来場していただくようにします。

新集客チャネル「ときめきの暮らしに気づく」集客イベント企画
https://www.housing-labo.com/plan/plan-750

まとめ

住宅業界はすべての住宅価格帯層で「住宅デザインの向上」「住宅性能(耐震性/断熱気密性)」が向上し、「異なるのは価格だけ」と「住宅のクラスレス化傾向」が顕在化しています。
これは住宅業界内の競争で、住宅という「モノ」がどれも「一緒」になる傾向を示しています。
どれも似たような住宅という「モノ」発想では特定の会社の住宅を見に行こうとはならず「来場動機」が希薄化しています。
「モノ」から「コト」への発想転換と「自社中心」から「「お客様の暮らしを中心」に考える発想転換が「集客の質」を上げるためには必要です。
そして「楽しい暮らしのビジュアル訴求」です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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