顕在化する住宅業界の集客数減少対策
2024/05/10
集客数が減少していく時代の見込み客増加策は、「住宅の購入に対して本気度が高いお客様をどれだけ集客できるか」です。
これは今後、住宅会社の受注数に影響します。
従来の住宅会社の集客方法とは別角度からの見込み客獲得策について考えてみましょう。
Contents
現状は好調な住宅業界
土地付き住宅(分譲住宅・建築条件付き住宅等)は、大都市近郊ではミニバブルと行っても良いほど盛況です。
この理由の一つ目は、withコロナの時代に移行し、都心部では長時間の過密で過酷な環境での通勤に対する不安、地方では勤務先での感染への警戒心から安心を求めるようになりました。そして、オフィスワーカーが在宅勤務を経験し、心の豊かさや安心感を求めた結果、戸建て住宅に人気が集中しているということです。
二つ目の理由は、コロナ禍でも来場される/住まいづくりを考える方は、何かしらの「今、住宅が必要な理由」をお持ちであり、住宅購入の本気度が高い状態のお客様です。
上図のグラフが示すように、このミニバブル状態は、新型コロナウィルスの感染拡大が始まった時期にガクンと減少した受注分が元に戻った状況であり、本当の意味での市場拡大成長ではありません。
集客数が減少する原因
ご存じの通り、日本は少子高齢化社会であり今後は長期的に人口減少が続きます。
人口減少は、お客様になり得る母数も減少するということです。これは住宅業界の規模縮小を意味します。
集客数減少という避けられない事態に対して、見込み客獲得のための対策をどのようにとるのかが住宅会社の明暗を分けるカギです。
住宅会社×ブライダル会社の見込み客紹介コラボ企画
見込み客増加策に有効なブライダル会社とのコラボ企画の実施という別角度からの見込み客獲得チャネルの開拓について考えてみましょう。
着眼点
現状のお客様属性を見ると、若いお客様が多くなっています。
若い方の「思考・行動」を把握し、これに対応した対策をとることで住宅購入本気度が高いお客様を獲得することが可能になります。
なぜブライダル業界との連携なのか
ウェディングプランナーならではの若い新婚夫婦からの厚い信頼を活かし、「住宅を購入したいお客様」を紹介していただく、というのが住宅業界とブライダル業界連携の強みであり、受注確度が高い見込み客獲得が可能になります。
従来の若い新婚夫婦が住宅を購入に至るまでは、「結婚 → 賃貸住宅に入居 → 資金の確保 → 住宅購入」という順番が主流でしたが、現在は、「結婚 → 住宅購入」の流れが増加傾向です。
また、これから結婚される20代、30代の若い方たちの多くは何らかの仕事をしており、お二人の収入を合せると住宅購入可能な世帯年収に達している場合が大多数を占めています。
賃貸住宅の家賃分を住宅購入に充てようという考え方も根底にあり、賃貸住宅を経由せずに直接住宅購入に向かっている流れがあります。
住宅会社×ブライダル会社コラボ企画運営のポイント
住宅会社がブライダル会社とコラボ企画を実施するにあたり、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
●住宅・ブライダル双方の業界を理解する
住宅業界・ブライダル業界それぞれに特徴があり、お互いの業界の理解がないままコラボ企画を進めると、軋轢が生じたり、コラボ企画がスムーズに進まず自然消滅してしまうなど、コラボ企画がうまく機能しません。
住宅会社はコラボ企画を一緒に進めるブライダル会社の企業体質、特徴や提供サービス、ウェディングプランナーのお客様への高い応対力やどれほど深くお客様と関わっているか、などの理解をすることが不可欠です。
また、ブライダル会社にも、良い住宅会社とはどのような特徴があるのか、お客様に信用していただける住宅会社とはどのような会社の事を指すのかなどを理解していただかなければなりません。
●コラボ企画で結果を出すためのブライダル会社選び
前提としてあるのが適切なブライダル会社と連携するということです。
住宅会社にも、お客様の安心安全のための住宅やデザイン住宅を提供されていたりと、様々な特徴をお持ちの住宅会社が存在します。
ブライダル会社も同様で、お客様の心の内に深く入り込み、誠実に応対して絶大な信頼を得ていらっしゃるブライダル会社もあれば、一般的な対応をしており、お客様との関係もそれほど深くないというブライダル会社も存在します。
したがって、コラボ企画の成功のためには、お客様と厚い信頼関係を築いていらっしゃるブライダル会社と連携することが望ましいのです。
●住宅会社×ブライダル会社を連携するしくみ
ブライダル会社の特性と住宅会社の特性に合ったしくみがなければ見込み客紹介コラボ企画は上手く回りません。
ブライダル会社にパンフレット置かせていただき、紹介していただいたら紹介料を支払う。このような取り決めを設定し、ブライダル会社にお客様紹介依頼をされている住宅会社も存在しますが、この「取り決めという枠組み」を設定した多くの住宅会社は、ブライダル会社からの紹介をしていただけておらず、上手くいっていないのが現状です。
この理由は、お客様に直接応対するウェディングプランナーが、その住宅会社について説明できる知識を持ち合わせていないことが原因です。
お客様を紹介するに値する住宅会社なのか、そして、ウェディングプランナーがその住宅会社のことを理解し説明できる状態にならないと紹介してくださいません。
住宅業界とブライダル業界の共通点は「新しい暮らしがスタート」することです。
住宅購入を高い確度で成約していただくためには、ウェディングプランナーのカップルごとに寄り添う高い対応力を活かして若い新婚夫婦の住まいづくりの重要なポイントを把握し、心を掴んだうえで住宅会社を紹介するしくみがカギとなります。
まとめ
必ず訪れる集客数減少の時代に向けて、見込み客獲得の新チャネル開拓は有効な手段です。
増加傾向にある若いお客様を見込み客として獲得するためには、ウェディングプランナーの高い対応力と新婚夫婦からの厚い信頼を活かしたブライダル業界との見込み客紹介コラボ企画も一つの手段です。
住宅会社×ブライダル会社コラボ企画を成功させ、住宅購入本気度が高いお客様を紹介していただくためには、住宅とブライダル双方の業界を理解したうえでしくみを構築しましょう。
また、ブライダル業界に限らず住宅業界以外とのコラボ企画の場合、コラボするためのしくみ構築が成否のカギを握ります。
双方の会社がWinWinになるしくみを構築し、新たな角度からの見込み客獲得を目指しましょう。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士