競合他社に負けてしまう原因

必ずと言っていいほど存在する競合他社の「自社よりも劣っている部分」の説明で差別化を図ろうとするのは間違いです。
他社を落とさず、自社住宅商品の特徴で差別化を進めるための考え方や、差別化された強みをどう伝えるのかについて考えてみます。

お客様が不快になる発言をしている

「家を建てようかな」とお考えのお客様は、どんな住宅会社/工務店があるのかなどの情報収集をネットなどで行い、気になる、もしくは好みに合った住宅会社/工務店のモデルハウスを見学するという動向が主流です。
お客様が「気になった」「好み」の他社住宅の自社より下位に置いたマイナス面の説明は、お客様の好みを否定していると同じことです。
これが、住宅営業担当者の悪意がない発言だったとしても、お客様にとっては、自分が肯定している住宅を悪く言われていることと同じで、「面白くない」ものです。
気分を害することを伝えてくる住宅営業には、「この住宅営業は自分のことをわかってくれないから話すのをやめようかな」と良い感情を抱かないばかりか、敬遠する傾向にあります。

無意識の発言が他社攻撃になっている

「A社はうちより安い住宅ですが、仕様が低いんです」「B社の断熱性能はウチより低いから安いんですよ」など、住宅営業担当者は事実を伝えているつもりでも、「自社住宅が1番良い住宅」「他社住宅は良くない」ニュアンスが含まれる発言は避けるべきです。

潜在するお客様のご要望を聴き出せていない

お客様は、「収納を増やしたい」「暖かい家が良い」などの現状の暮らしで不便に感じたりストレスになっていることを解消するためのご要望はお持ちです。
これに対応するのは当たり前のことで、これを満たすだけでは競合他社との競争に勝てる理由にはなりません。

欲しい理由を聴き出せていない

例えば、「暖かい家が欲しい」お客様の「暖かい家が欲しい理由」がわからないままプラン作成してしまっていることが競合他社に負けている理由の一つかもしれません。
「寒いのは辛いですよね。うちの住宅は断熱性能も抜群なので冬でも暖かいので快適に過ごせますよ。」という説明だけでは、浅いレベルでのお客様のご要望にお応えしている状態で、唯一無二の住宅にはならないのです。

競合他社に勝つ住宅営業とは

現在の日本では、「モノ」よりも「コト」を欲しがるお客様が主流となっています。
このようなお客様に、「冬暖かい家」のことだけを訴求しても家を建てる候補の1つにはなるかもしれませんが、「ここに決める!」という強い欲求は得られません。
現状の暮らしの不平不満を解消することに加え、楽しいコト、うれしいコトなどのプラスの感情を刺激することが競合他社に負けない重要なポイントなのです。

楽しさを刺激する

お客様は、「楽しいコト」に惹かれますので、「コト」に焦点を当てて欲しい理由をお聴きします。
先ほどの、「暖かい家が欲しい」お客様の場合、「暖かい家が欲しい理由」を質問しても「寒いのはツライから」と答えるかもしれません。
しかし、会話を重ねていくうちに「冬は足元が冷えて様々なことがものぐさになってしまって、趣味のお菓子作りも本当は週1くらいでやりたいけど、冷えるのが嫌でなかなか出来ない」という話をされたとすれば、「足元が冷えない暖かい家なので、毎週お菓子作りが楽しめる家」という「ストレスなく楽しいコト」ができる家という説明をすると、お客様の自社での住まいづくりの意欲が俄然増します。

イメージを共有して具体化していく

言葉だけでの空間イメージの確認は食い違いが生ずる可能性が高いので、ネット上の画像をお客様にお見せしてイメージに近い画像を確認します。
お菓子作りをするキッチンであれば、作業台が必要なのか、道具はどこにどのように収納したいのかなど、お客様が楽しくお菓子作りをするための空間のイメージの確認と共有です。

まとめ

競合他社を攻撃する対応は、お客様を不快にさせますので競合他社対策としては避けるべき対応です。
また、「モノ」としての住宅の性能での差別化が難しいため、お客様の楽しいコトに焦点を当てた応対は、現在、導入している会社が少なく、さらに「コト」が判断基準になっているお客様に差別化して受注する大きなポイントですので、是非、お試しください。

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自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる「インプレッション(Impression)営業」、自社目玉特徴を刷り込み好感度の核をつくる「インプリント(Inprinting)営業」、お客様が実現したい暮らしに気づく「触発/気づき(Inspire)共感営業」の3つの住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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