受注できない時の住宅営業の課題と対応策

受注できないのは、「集客数が少ないから」なのでしょうか。
住宅展示場協議会と住宅生産振興財団によると、全国の9月時点での住宅展示場の来場者組数は前年比3.2%減とのことで、多少の増減はあるにせよ、以前のような集客数は見込めません。
集客数頼りの住宅営業の課題と転換策について考えてみます。

Contents

集客数減少時の住宅営業の課題

以前のような集客数が期待できない環境では、「多くのお客様を集客して、その中から自社に好意的なお客様を追客して受注に持ち込む」方法は不可能です。
ここに受注不調の原因があります。

「性能・構造・デザイン」頼みの営業

「惹かれる」基準がモノからコトへと変化しているのに、性能・構造・デザイン偏重の営業の進め方をしていることが受注できない課題のひとつです。
性能・構造・デザインで優位性を得ようとしても、お客様がここに対して、「関心は無くは無いが大きな関心ではない」ことと「他社との大きな差が見えない」ため、受注できないのです。

伝えたい事を伝える営業スタイル

「自社住宅の良さをわかってもらいたい」「資金と土地について聞き出したい」と「伝えたいこと」や「聞き出したいこと」優先で接客を進める傾向があります。
お客様からの不満の6割が「話を聴いてくれない」「相談したかった」という調査結果があります。
お客様の話をしっかり向き合ってお聴きできていないところに問題があります。

受注するために必要な住宅営業の接客対応

限られた見込客から受注するためには、「自社に好意的なお客様を追客して受注に持ち込む」方法ではなく、「ご来場いただいたお客様すべてを受注する」接客対応への転換が必要です。

不安なポイントを知る

お客様が不安を抱いているポイントは、人によってそれぞれです。
「知らない会社の住宅営業だけど、この会社は大丈夫なのかな」という「会社」や「住宅営業という人」に対する不安かもしれませんし、「地震が来ても大丈夫な家なのかな」などといった「住宅」に対する不安かもしれません。
大切なのは、お客様の話をお聴きしながら不安なポイントが何であるのかを知り、共感しながら気持ちに寄り添って一つずつ解消していくことです。
例えば、他社よりも自社住宅の方の耐震等級が低いことを気にされているお客様に、他社住宅の耐震性能のデメリットだけを伝えて自社住宅の耐震性能の安全性をアピールするのは良くありません。
このような場合には、他社を褒める対応をしつつ、何故不安なのかをお聴きして、自社住宅での住まいづくりに活かしていく方が、「寄り添ってくれている」という感覚や「この人は分かってくれているな」という安心感をもっていただけます。

お客様の話をよくお聴きして重視するポイントへの接客対応

初期段階では、「充分な収納が欲しい」、「広いリビングが欲しい」などの物理的に満たされる新しい住まいを求めていらっしゃいますが、接客を進めていくと何かしらの「こだわり」をお持ちであることがわかってきます。
この「こだわり」は、ゲームをするための防音室が欲しいというような大掛かりなものではなくても、毎日「夕食後にウィスキーを飲んでいる」などといった日常のワンシーンでも良いのです。
ささやかではあるけれど、確実に心が満たされる小さな幸せを見つけていきます。
ウィスキーは誰とどこで飲むのか、銘柄、ボトルの容量、ストレート・水割り・ロック・ハイボールなどの飲みかた、グラスの種類と数、ミニバーは必要か、どこに何を保管しておくのかなど、ウィスキーを飲むシーンに関係するすべてのこだわりを明確にしていきます。
そうすることで、新しい住まいでの幸せな時間への期待が高まり、受注が近づきます。
普段の暮らしでお客様がどのように過ごされているのかをお聴きして、お客様がノッてきてくださったらこの部分を掘り下げていくことがポイントです。

家族全員の重視するポイントに対応する

小さな幸せの明確化は、ご主人様だけ、奥様だけ、ではなく、家族全員の小さな幸せをお聴きするようにします。
家族全員の小さな幸せは、積み重なると大きな家族の幸せになりますので、自社住宅を選んでくださる大きなポイントになります。

まとめ

住宅営業が受注できない原因は、集客数が減少したからではなく、従来から変わらない営業の進め方にあります。
お客様の不安を払拭して、重視するポイントにお応えし、日常の暮らしの小さな幸せの積み重ねで未来の暮らしへの期待感を持っていただくと購買意欲を刺激しますので受注が可能になります。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する住宅営業手法をご用意しています。
自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる「インプレッション(Impression)営業」、自社目玉特徴を刷り込み好感度の核をつくる「インプリント(Inprinting)営業」、お客様が実現したい暮らしに気づく「触発/気づき(Inspire)共感営業」の3つの住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の5分野からなる住宅営業サポートです。

是非ご活用ください。

■ハウジングラボの住宅営業サポート
https://www.housing-labo.com/consulting

住宅事業の安定継続/発展に役立つセミナーも開催しています。
■住宅営業セミナー
https://www.housing-labo.com/seminar

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

関連記事

「良い住宅なのに売れない」の解決策

「お客様の予算に合わせたプランでは納得してもらえないし、ご要望通りのプランだと高くなりすぎて失注する」、「良い住宅だからこその価格であることを理解していただけず、価格で他社に負ける」「暮らしやすい住宅なのに『検討します』 […]

【売れる住宅営業になる!】今の時代に適した住宅の売り方

インフレ下での顧客心理は「節約志向」になり、住宅の「予算」も「低めの予算」に下振れしています。このような市況環境で、従来通りの住宅営業のしかたを進めると、良い住宅を提供しているにもかかわらず、「高い」と言われて自社から離 […]

【中高級住宅の必須条件】「小さな幸せ」の積み重ねの住まいづくり

自社住宅の価格や性能は確かに大事ですが、「安ければ売れる」「性能が高ければ売れる」「良い設備(モノ)であれば売れる」といった要素が良ければ売れる時代ではなくなっています。「お客様にとって良い住宅」であることが重要であり、 […]

【住宅営業の基本 | 聴き方編】「聴く」と「聞く」では大違い。身につけるべき「聴き方」とは

「聴く」と「聞く」の違いをご存知でしょうか。辞書によると、「聴」・・・耳でとらえて知る「聞」・・・音声を耳に感じとるとあります。つまり、住宅営業の場合で言うと、お客様に真摯に向き合い理解しようと集中して聴くのか、住宅営業 […]

新着記事

【集客のコツ】失敗しない集客のポイントと改善方法

集客は、受注獲得のための重要なテーマのひとつです。数多くの集客方法があり、「効果が上がる集客方法がわからない」「他にもっと効果的な集客方法があるのではないか」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、集客を成功 […]

お金の不安を払拭できるかが住宅営業の分かれ道

建築適齢期である20~40代のお客様は好景気を知らない世代であり、給与所得が物価高に追い付いていないという先行き不安もあり、老後の「お金」に対して堅実傾向があります。20代から「今から備えたい」という意識を持たれている方 […]

【現代人は疲れている!】疲れを解消する「家」は、お客様に響く!

現代人は、仕事、家事、人間関係など、現代社会を反映するような様々な要因で「疲れ」を感じています。今回は、疲労回復のために必要な「家」、リフレッシュして「幸せを感じる家」のあり方について考えてみます。 Contents 現 […]

受注できない時の住宅営業の課題と対応策

受注できないのは、「集客数が少ないから」なのでしょうか。住宅展示場協議会と住宅生産振興財団によると、全国の9月時点での住宅展示場の来場者組数は前年比3.2%減とのことで、多少の増減はあるにせよ、以前のような集客数は見込め […]

展示場・見学会の集客は、「付加価値」を意識する

集客数が減少している状況で受注を獲得するためには、高い興味関心を持っていただいた状態でご来場いただく「集客」が重要です。様々な方法で集客を試みているけれど、なかなか成果が出ない場合、自分よがりな発信になっているかもしれま […]

住宅営業の初回接客品質向上のポイント

住宅展示場や完成住まいの見学会などでの初回接客は、受注成否の80%に影響すると言われるほど重要です。住宅は、高額商品なため購入するかどうかの決定には慎重になるのが当然なうえ、物価上昇率に給与所得の上昇率が追いついていない […]