今の時代に求められる住宅営業の考え方

営業をしていく上で、様々なテクニックやスキルを身につけるのは大切ですが、それ以上に大切なのが「考え方」です。「なかなか結果が出ない」とお悩みの住宅営業担当者に取り入れていただきたい「今の時代に求められる住宅営業の考え方」について考えてみます。

今までの営業の進め方を見直す

今までのように受注棟数や金額の獲得が厳しい状況にあるのであれば、「もっと効果のあるやり方」を常に考えることが重要なポイントです。ご自身の営業スタイルを見つめ直すポイントは下記の通りです。

住宅そのもの(ハード面)の良さをアピールしていないか

今までは、「安心安全の家」「健康に良い家」「ローコスト住宅」「デザイン住宅」など数値化して見える「性能」や「価格」、素敵な「外観」や「インテリア」など、各社の特徴を訴求して受注できていましたが、現在は、耐震性に優れ、温熱環境も整い、空気環境も良し、などの特徴を持つ工務店・住宅会社が数多く存在しているため、大きな特徴として捉えられなくなっています。さらには、住宅に限らず、何かを購入する際の判断基準が「モノの違い」よりも「モノによって得られるコト」に変化していますので、受注を獲得するためには、「コト」に重点を置いた営業にシフトしていく必要があります。

自分本位の営業スタイルになっていないか

「自社住宅の良さをわかってもらいたい」「資金と土地について聞き出したい」など、「言いたいこと」や「聞き出したいこと」を優先にして進める傾向があります。
住宅営業がご自身の成果ばかりを考えていると、このような営業活動になります。住宅営業としての大原則は、「お客様の暮らしを心豊かにする」ことです。お客様にどのような暮らしを提供できるのかを常に考えて適切な情報を提供することが重要なポイントです。

お客様が求める住宅営業の姿勢を身につける

「家を持つ」ことは、ほとんどのお客様にとって一生に一度のことです。「これを買って試してみようかな」ができる低額な商品とは異なり、住宅は数千万円という超がつく高額な買い物ですから、お客様の納得が得られなければ受注できないのは当然のことです。お客様が納得される住宅営業の対応とはどんな対応なのでしょうか。

お客様に話していただく

お客様の不満の約6割は「自分の話を聴いてくれない」「相談したかったのだが・・・」という内容です。「自分の想いを聴いて欲しいお客様」に「自社住宅の説明をしたい住宅営業」の存在は、はっきりとした拒絶ではないものの、何となく納得いかないという「対立軸」を生み出しています。強い拒絶ではなくても、このような小さなモヤモヤは尾を引きますので、お客様に話していただくことに重点を置くことをおすすめします。そして、お客様から質問されたり、疑問をお持ちの様子が見えたら、これにお応えしていきます。そうすることで、お客様はご自身の考えを「充分に話すことができた」「知りたいことがわかった」という納得と満足が得られます。

潜在しているお客様のご要望を明確にする

初期段階では、「広い収納が欲しい」、「広いリビングが欲しい」などの外形的なご要望をお持ちですが、日常の暮らしの中でルーティーンにしていることや家族/個人で楽しんでいるコトなどをもっと心豊かな時間にできることを明確にしていくと、お客様の新しい住まいでの幸せな時間への期待が高まり、「これ欲しい!」のご要望に変化します。普段の暮らしでお客様がどのように過ごされているのかをお聴きして、お客様が関心を示されたコトを掘り下げていくことがポイントです。

家族全員の潜在するご要望を明確にする

新しい住まいでの幸せな時間の明確化は、ご主人様や奥様だけではなく、家族全員分を明確にしていきます。家族全員の小さな幸せは、積み重なると大きな家族の幸せになりますので、自社住宅を選んでくださる大きなポイントになります。

まとめ

住宅がもたらす楽しいコトを基準に住宅を購入するお客様が大多数を占める現在、住宅営業担当者が理解してもらいたいことや説明したいことをそのまま話しても、お客様には自社住宅の価値が伝わりません。家族全員の「暮らしのコト」を明確にしていく対応は、最終的には「幸せがたくさん手に入る」ことを納得いただける対応です。こうした、「お客様にとっての価値の提供」という、お客様第一の考え方が今の時代に住宅営業に求められる考え方です。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する、スピード感のある住宅営業手法をご用意しています。
自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
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是非ご活用ください。

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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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