お客様の住まいづくりに役立つ情報提供のしかた

お客様は、Instagramで気に入った画像イメージを見つけ、Youtubeでこんな暮らしがしたいというように、「情報収集力」はお客様に主導権が渡っています。
自由設計を標榜している大多数の住宅会社/工務店は、このお客様からの情報に振り回されています。
住宅会社/工務店の情報発信と情報提供は、従来の考え方からの発想転換が必要です。
GoogleやYahoo!などの検索サイトから情報はいくらでもタダで情報が引き出せる時代です。
特にデジタルネイティブ世代と言われる1980年以降生まれが住宅需要の主役となった現在では、お客様の発信された情報を理解した上で、お客様にとって「役立つ情報」を適確に提供できるのかが住宅営業の成否を左右します。

個々のお客様に役立つ情報提供へ

現状の住宅会社/工務店によるお客様情報提供は、自社商品のハード特長に偏っています。
住宅という建築物のモノづくりの企業だから致し方ない面もありますが、情報の受け手のお客様は「どの会社も似たようなモノで大差ない」と理解されている場合が多く、「いやそんなことはありません」とさらに数段深い専門的な情報を伝えようとすると、鬱陶しがられ「結局何が違うのかよくわからない、まあ、同じようなもの」という結論にしかたどり着けません。
どうしてこういうことになってしまうのか。

一つには、このハード情報をお客様が知りたい、知っておいた方が良いと思っていただける段階にない状態で「ハード情報」のカードを切っていることが問題です。
順番が間違っているということです。

二つ目は、お客様の知りたいコト、新しい住まいづくりで実現したいコトという、最初に関心を持たれることに対して対応していないか、その対応の深さが浅いということに問題があります。
個々のお客様のご関心に対応した情報提供が出来ていないということです。

個別のお客様の関心事への対応は難しいものではない

確かに個々のお客様への対応と考えると百人百様で、どうしても対応が難しいと考えがちです。
住宅営業は、万能の知識を持っているはずもなく、「そんな無茶を言うなよ」と思われるかもしれません。
また、新卒新人では、人生経験が浅いから、いろいろなタイプのお客様への対応は難しいと言われるのと同じ文脈での反応です。

もっと肩の力を抜いて考えてみると、話は簡単になってきます。
「個別のお客様の関心事」の内容は世の中にありますから、まず徹底的にお客様の話しをお聴きすることです。


「できる住宅営業」は特になのですが、その場でいきなりお客様の関心事への住宅としての答えを出すという発想が根底にあるようなのですが、その必要は全くなく、先ずお客様のお考えや関心事を徹底的にお聴きすることです。
住宅営業の1丁目1番地は「お客様を受容れること」です。
これでお客様は「自分を認めてくれた」と住宅営業を評価してくれます。

●住宅営業の仕事を勘違いしないこと

「自由設計」という住宅事業スタイルをとっている以上、どんな家にしていくのかという情報はお客様の中にしかありません。
従って、住宅営業の最初の仕事は、お客様の思っておられること、言いたいことをひたすらお聴きすることが先行します。
現状の住宅営業は、先ずお客様に自社商品特長を伝えることに注力しています。
つまり売込んでいます。
勘違いしないことです。

先ずは、お客様の言いたいことをお聴きすることです。
徹底的に。

●住宅から離れるようなお話でも受容れてついて行く

水回りをご案内中に、家族との温泉旅行の話しが出てきた場合などは、直接住まいづくりに関係ないと判断して適当に流し聞いて話を元の水回りに戻そうとするのが一般的な住宅営業の対応です。
本当にそうなのでしょうか。
まわりまわって本題に戻ってくることがよくあります。
例えば、箱根のホテルでの体験から、浴室と脱衣室の仕切りの壁とドアは透明なガラスの方が明るく広々するからとかの場合です。
お客様の話し方によっては、相当遠くまで話が廻った後でそこへ戻ってくるというような場合があります。
住まいづくりから離れた話でもついて行きましょう。

お客様のお話の内容、ご要望、想い等を共有化する

系統立ててお話をしてくださるお客様は少ないと思いますので、しっかりとお聴きすることが先ずは重要ですが、住宅営業は、お客様のおしゃったことを十分にお聴きした最後に、お話の要点や想いのポイント、想いの強さなどを、住宅営業が受け取った情報を要約してお客様にお話をして、間違いやズレがないことを確認をし共有化します。
ご自身の想いや考えを「住宅営業が自身の考えを理解してくれた」として、「住宅営業と住宅会社が自分を重視してくれた」と認識し、高い評価をいただけます。

●お客様を優先してお話をお聴きする

お客様を受容れるということは重要なことです。
また、「聴き上手」というスキルも保有すべきですが、実際には住宅営業の年齢、キャラクター、見た目等の個性があるために、「自分は聴き上手のつもり」でもお客様はご自身を受容れてくれない住宅営業と判断されている場合が多発しています。
難しい内容ではないのですが、こうした接客技術のノウハウ修得には研修とロープレ訓練は必要です。

頭で分かった状態だけでは実戦で有効な情報をお客様から得ることはできませんので、一般論として知識ではなく「固有名詞の住宅営業が実行できる」ようにすることがノウハウの修得です。
情報は無償でコピーし入手できますが、ノウハウは簡単にコピーできません。

まとめ

お客様のご関心の方向に沿った個々の住まいづくりに役立つ情報の提供は、住宅営業の新常識です。

構造躯体の性能は、すべてのお客様にとって重要なことも事実です。
躯体性能のように、お客様共通解で通用するような内容の提示は、個々のお客様の実現したいコトの先にあります。
自社商品が保有する躯体性能は、実現したいコトを支える確かな技術力というモノづくりの特徴です。

住宅営業は、先ず「モノからコトへ」という視点で、お客様がどのような暮らしを実現されたいのかを理解し、その実現したい「コトをモノという住宅へ落とし込む」という流れで実現します。
順番を正しましょう。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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