【2024年 住宅営業のトレンド】「コミュニケーション」も「ひとり時間」も両方確保
2024/01/05
LDKは家族のコミュニケーションの場として魅力の発信がされて久しいですが、最近、過ごし方に変化が現れています。そして、働き方、生活スタイル、趣味嗜好、家族構成など、様々な分野で多様化が進み、「これを作れば売れる」という画一的な価値観で売れる時代ではなくなっています。今回は、新しい魅力の住宅商品、住宅営業や集客への活かし方について考えてみます。
Contents
以前は画一的な価値観の住宅で充分だった
趣味嗜好など価値観が多様化し、「皆好きなものが異なる」現在は、住宅営業ご自身のライフスタイルや一般常識を基準にして、お客様の価値観や住まいに対する想いを測り知ることが難しい時代です。ここでは、新しい「個」の動きを知るためにも、画一的な価値観で進んでいた「全」の時代について記してみます。
「全」の時代のお客様の住宅への意識と住宅会社/工務店が供給した住宅
「全」の時代の住宅は、一言で言うと一般解の住宅です。
例えば、ご主人様、奥様、お子様2人の4人家族だったら、無条件で主寝室と子ども部屋2部屋の3LDKの住宅で良いという、「あれがしたい、これがしたい」が反映されていない住宅です。
・住む家の確保時代
戦後の昭和20年代は、戦災による住宅の焼失の他にも外地からの引揚者などが増え、住宅が不足していた環境でした。この環境を改善すべく、政府は簡易住宅の建設で支援を試みますが、昭和20年代半ばになっても住宅不足は解消されなかったため、個人の住宅建設や購入支援のために住宅金融公庫を設立し、次いで、賃貸住宅の公営住宅の建設を促しました。そして、昭和30年代に入ると、大都市圏の住宅不足を解消するために公団住宅建設を進めました。
深刻な「住宅不足」問題を解消するための、「住める家」の拡充時代でした。
・住宅を所有することが目的の時代
昭和30~40年代にかけての高度経済成長期は、「いつかはマイホーム」という人生の目標が大きく捉えられていた時代です。住宅が不足していたこともあり「モノとしての住宅」でも充分に満足いただけていた時代です。
そして、好景気に沸いたバブル期には、高価なものを所有するというステータスのもと、高級住宅が飛ぶように売れたり、一般庶民でも「いつかはマイホーム」の名残もあり「作れば売れる」という状況でした。
・住宅取得保留時代
バブル経済の崩壊の経済の先行き不安の影響で、エンドユーザーの財布の紐は固くなりました。こうした住宅取得への動きが鈍ったエンドユーザーを喚起するために、住宅会社/工務店は、「安心安全の家」「健康に良い家」「ローコスト住宅」など数値化して見える性能や価格などで優劣をつけて訴求し、住宅を供給してきました。そして、エンドユーザー側も、阪神淡路大震災や東日本大震災の影響もあり、数値化して見える性能や価格に魅力を感じている時代でした。
「全」の時代の過ごし方
戦前は、和室が基本の住居でした。ちゃぶ台を置いて食事、ちゃぶ台を片付けて布団を敷いて寝室に、という多用途化した空間で家族全員で過ごしました。
昭和30年頃に公団が開発した2DKで、現代の4LDKに繋がる住宅プランの原型が完成し、リビングは家族で過ごす場、ダイニングは食事の場、キッチンは調理する場としての認識が広まりました。
そして、平成の半ば頃は、LDKは家族のコミュニケーションの場としての役割が重視されるようになり、平成23年の東日本大震災をきっかけに、家族と家で過ごしたいという意識を強く持つ子どもが増え、コミュニケーションの場=LDKが定着しています。
家族全員で過ごすことに重点を置いた過ごし方です。
現在の過ごし方
例えば、現在もリビングは、家族全員で過ごす場ではありますが、コミュニケーションがメインの場であるかというと、そうではなくなってきています。
リビングに家族全員が集まってはいますが、テレビを見ている人、スマホでYoutubeを見ていたりSNSチェックをしていたりと、それぞれやりたいことをしているのではないでしょうか。時には見ているYoutubeの内容を家族に見せたりして会話をする場合もありますが、基本は、自分がしたいことをしている場に変化しています。では、今、家族でのコミュニケーションが無くなったのかというとそうではなく、コミュニケーション場がキッチンやダイニングに変化しているのです。ご夫婦で料理をされたり、ご主人様がお子様に料理を教えながら楽しみ、作った料理をダイニングで家族で楽しむといったものです。
つまり、これからは、楽しくコミュニケーションがとれるキッチンやダイニング、家族それぞれがしたいことができるリビングという住まいづくりが、お客様を惹き付ける要素のひとつになります。
「心の豊かさ」を求めて何かを購入する現在のお客様には、重要なポイントです。
新たな潮流
東日本大震災で起きた痛ましい被害をニュースなどで見た影響で家族の大切さを再認識し、家族と過ごすことへの想いが強まりました。そして、コロナ禍でテレワークで自宅にいる時間が増え、家族との時間も増えた人も増えました。その結果、家族で何かを楽しむことを以外に、一人で楽しむことを重視する人が増えてきています。趣味嗜好など価値観が多様化して「皆好きなものが異なる」ことがバックボーンにありますが、家族とはいえ、自分以外の人をずっと一緒に過ごすことにストレスを感じるようになってきたのかもしれません。実際に、博報堂生活総合研究所の調査では、「一人の時間を意識的に作っている」「一人で没頭する趣味を持っている」人が大幅に増えており、「ひとり時間」を大切にしたい意識が見えてきています。
したがって、これからは、「家族とのコミュニケーション」も大切にしつつ「ひとり時間も充実」できる住まいが求められると考えます。
まとめ
日本の住宅は、「住める家の確保」「家を持つことが夢」「家を持つことがステータス」「家を持つことは保留していたが現在の耐震性に優れ、温熱環境も整い、空気環境も良しという高性能なら建てる」といった時代を経て、ご自身の心が満たされる特徴という「家族とのコミュニケーション」も大切にしつつ「ひとり時間も充実」できる住宅への関心へ変化しています。
お客様の価値観や過ごし方の多様性が進み、「共通解/一般解」である「〇LDK」の家は、暮らせるけれど最適解ではありません。個々のお客様へ、固定概念というフィルターを通さずに、現状の過ごし方を理解して、より楽しく過ごせる住宅を提供することが、今後の住宅営業のコアです。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子