住宅展示場の設計はビジネスステージの設計

常設モデル住宅の設計は「いうまでもなく住宅の設計ではありません」。
大きく2つの要素のどちらか、もしくは両方を兼ねた企画設計力が求められます。

1、住宅営業のビジネスステージの企画設計
2、商品開発を兼ねる場合は商品企画設計


ここではビジネスステージとしての企画設計の視点でモデル住宅の設計について考えます。

Contents

住宅営業ステージにリンクしたモデル住宅の企画設計

総合住宅展示場であっても、単独の展示場であっても、常設のモデル住宅は、注文住宅営業セオリーの受注ステージと連携して運用しやすく設計するというのが根底に流れる設計思想です。

モデル住宅でお客様が「自分が住むとして」と考えながらスムーズに「自社特長の住空間を体感体験」して行くことができ、「エンディング着座」という「住まいづくりの相談の場」が用意されているのがビジネスステージです。

お客様が入りやすく企画設計する

総合住宅展示場の場合は、展示場内のどの区画に建てるかによって人流が変わります。
建設予定地への駐車場やセンターハウスからの人流に乗って入りやすい位置に玄関持って来ます。
先ずはお客様が入ってのモデル住宅ですから、人流の検討、歩きながらいらっしゃるお客様の視線で、目に入りやすく招き入れる玄関の企画設計を検討します。

●メイン空間はリビング

モデル住宅に入ったお客様を最初にご案内する場所は、お客様が起きている時間で最も多くの時間を過ごすリビングです。

良いリビングを生み出す3大要素の
1、明るさ感
2、拡がり感
3、落着き感

を自社の設計特長を最大限に活用して実現を図ります。

例えば、構造的にワイドスパンの大開口ができるなら、そうした利点を最大限に活かすなど、自社特長で得られる結果はこの3大要素の高次元での実現です。

構造の特長を見せるのが目的ではなく、その「構造がもたらすお客様の暮らしのメリット」です。

ワイド開口で圧倒的な採光と外部空間とつながったリビングの視覚的拡がり感など、お客様メリットを明確にしたリビング設計を行います。

●手の届く範囲、目の届く範囲、手も目も届かない範囲の工夫

リビングは直ぐに散らかる場所ですから、すぐに片づけられる小物収納なら「手の届く範囲」に設定して「かたづくリビング収納」とし、インテリア空間の落着き感は「目の届く範囲」で構成し、静音タイプの全館空調なら「目も手も届かない範囲」でこんな工夫をして「お子様のお昼寝」への配慮など、自社商品特徴が具体的なお客様の暮らしへのメリットとして住宅営業が伝える仕掛けも加味して企画設計します。

奥様の3大関心事は「キッチン」「収納」「水回り動線」

この3大関心事については外せません。
特に、収納はすべての部屋で可能な限りの工夫と見た目のすっきりさが重要です。
この3大関心事は、お客様ご自身に「触れて操作して体感体験」していただくことを前提に、営業、ご主人、奥様、場合によってはお子様が同時に狭い空間に入っていくことになりがちですので、案内時を考慮した「空間のゆとり」を設計に織り込むことがポイントです。

●保有する他のモデル住宅とのビジネスステージの機能分担設計

総合住宅展示場のモデル住宅は、どうしても80~70坪の規模になりますから、充分に工夫あるモデル住宅を企画設計できますが、「大きすぎてピンと来ない」とおっしゃられるお客様に住宅営業は悩まされます。
出来れば同じコンセプトで実販タイプの他のモデル住宅とリンク付けなど、営業ステージをどう設定するのかという各モデル住宅のリンクを考えて営業と協議して設定します。
オールインワンのこれしかないという虎の子のモデル住宅の場合は、迷わずに十分にコンセプトが実現できる空間と実用性の高い普通サイズの空間に区分してメリハリをつけた設計をします。

●モデルの照明設計は一般住宅の2~3倍の照明計画

秋から冬にかけて日没が早く、夕方から暗くなる時期を考えると照明計画は重要です。
お客様の心理としては暗いモデル住宅に入る気がしません。
奥様の3大関心要素の空間も、どちらかというと暗くなりがちな空間です。
一般的な住宅の2~3倍の照明器具を使った照度確保と明かりの演出を心がけます。
モデル住宅の価値を高めるのは照明という側面もあります。
知恵を絞った照明計画を立てたいものです。

まとめ

モデル住宅の設計はビジネスステージの設計です。
一般住宅の大きな家の設計ではありません。
注文住宅営業セオリーの受注ステージとリンクさせ、常にお客様の視点で見て営業が「ビジネスしやすいステージづくり」を目指します。
技術やデザインのデモンストレーションの場ではなく、「お客様が得るメリット」という会社のハードの技術やソフトがもたらすユーザーメリットをお客様がご自身の暮らしに置き換えたときに気づいていただけるようにモデル住宅の企画設計を進めてください。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

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