友人のような関係を築いて受注する住宅営業手法からの脱却

住宅営業はお客様と友人関係を構築し、信頼を獲得して任せていただく手法を取っている住宅営業担当者が多くいます。
住宅営業担当者と相性が良いお客様と友人関係を構築できれば、この人になら任せて大丈夫という安心感をお客様に与えることができ、受注までスムーズに打ち合わせを進めることができますし、引き渡し後にもご紹介をいただける営業手法です。

集客が減っている現在は、住宅営業担当者との相性に関わらず、ご来場された全てのお客様に短時間で信頼を獲得できる営業手法が効果的です。

短時間でのお客様からの信頼獲得

お客様から住まいづくりのプロとしての信頼獲得は短時間でも可能です。
住まいづくりのプロとしての信頼獲得というと十分な建築知識を持って住まいづくりに対するお客様の疑問や質問に何でも答えられるベテラン営業しか対応できないかというと、そうではありません。

新人からベテランまで全ての営業が初回面談から実践できるお客様からの信頼獲得手法があります。

住まいづくりのプロとしての信頼獲得術

お客様は住まいづくりに必要な知識を教えてくれる人を信頼できるかというと、そうではありません。
一方通行の過剰な情報提供は嫌がられてしまいますし、自社住宅商品の優位性を自慢されても困ってしまいます。
お客様から信頼される住宅営業担当者とは、お客様が求められる情報を必要なだけお伝えできる人のことを意味します。
これがお客様にとっての住まいづくりのプロです。


お客様が求められる情報はお客様毎に異なります。
必要な情報を提供をするためには、お客様の住まいづくりへの考え方を理解することが第一歩になります。

お客様の住まいづくりへの考え方を把握する

お客様の住まいづくりへの考え方を理解しようと思い、「どんな住まいづくりをしたいですか?」とお聞きしても一般的な答えしかできません。
住宅建築計画の初期段階のお客様は、まだご自身が何を求めているかが分からない状態の方がほどんどです。
そこで、お客様にご自身が新しい住まいで『実現したい暮らし』に気づける案内ができるとお客様の住まいづくりへの考え方を理解でき、適切な情報をお届けすることができます。
これが信頼獲得に繋がります。

お客様に気づきを与えるご案内手法

お客様ご自身に、新しいお住いでの『実現したい暮らし』に気づいていただくご案内は、ご来場いただいた住宅展示場や見学会で『ご自身の住まいとして考えての見学』をしていただくことです。
お客様が情報収集として見学されると、ご自身の住まいづくりとは直接結びつかずに終わってしまいます。
ご案内を始める前に「お客様ご自身が暮らすとしてご見学ください」とお伝えします。

お客様に『ご自身の実現したい暮らし』に気づいていただく

お客様に『ご自身の実現したい暮らし』に気づいていただくためには、お客様が暮らすことを想像していただきながら、ご案内はお客様に実際にご案内箇所で暮らしのシーンを再現していただくことが重要です。

《例》
キッチンのご案内では、キッチンの機能や仕様の情報をお伝えするのではなく、お客様がご夫婦お二人で料理をしたいとお考えであれば、実際にお二人に立っていただきカウンターの長さや奥行きはこのキッチンで足りているのか、ご自身の作業を想定していただきます。


ご案内したキッチンの広さや配置がお客様が使うとどうなのか、新しいお住いでのキッチンはどうしたいのかが具体的に理解できます。
差異がある場合には、お客様が『実現したいキッチン』に近い形のキッチンがある場所へのご案内や資料をお届けすることができます。

お客様が関心をお持ちでないイベントや再来場のご案内をしてしまうと、『しつこい』『対応が面倒』とお客様に訪問を嫌がられてしまいますが、お客様の『実現したい暮らし』を実現するための情報を的確にお届けできる住宅営業担当者は信頼されます。
お客様に訪問を拒否されることなく『来て欲しい』と思っていただけます。

また、『お客様ご自身が暮らす』ことを想像しながらのご案内ができると、初回来場時からお客様の『実現したい暮らし』が具体的な形になっていくご案内になりますので、一緒に住まいづくりをしていくパートナーとして信頼をしていただくことができます。

まとめ

集客数が減っている現在では、相性に関わらず全てのお客様に対応していく必要があります。
一般論での住まいづくりを進めるために必要な情報や建築知識、自社の特徴をお伝えしても、お客様が求めておられる情報でなければ「そうなんだ」で終わってしまい、受注につながりません。

お客様が求められる情報はお客様毎に異なります。
お客様に合った情報をお届けするためには、お客様の住まいに関する考え方を把握する必要がありますが、住まいの建築計画初期段階でご自身の新しいお住いを具体的に想像できているお客様はいません。
お客様に『実現したい暮らし』に気づいていただき、的確な情報提供をしていく必要があります。
ご案内の際に、『お客様ご自身が暮らし』を具体的に想像ができ必要なモノに気づいていただくことができます。

ご案内場所ごとに、お客様ご自身の住まいのカタチが明確になるご案内ができると、住まいづくりに欠かせないパートナーとして信頼をしていただくことができます。
ご案内した場所が『実現したい暮らし』と違っていた時にも、イメージに近い場所のご案内や資料をお届けすることができ、お客様が求めておられる情報を外さないという信頼できる住まいづくりのプロと認めていただけます。

新人からベテランまで実践可能なお客様の暮らしを中心とした営業手法で、集客数が少ない中でも着実に受注に向かう案内を是非お試しください。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

関連記事

住宅展示場や見学会の少ない来場者から確実に受注する方法

住宅展示場や見学会への来場者数が減少したことを嘆いても始まりません。新規来場者数の減少も是とした上で受注を如何に上げていくのか、という発想が営業の考え方です。住宅営業担当の各人がすぐに取り組める内容の具体策をいくつか考え […]

お客様と人間関係を作ることが住宅営業の仕事なのか?

注文住宅営業は、まず「お客様との人間関係を作る」ことと昭和時代に先輩からよく言われました。旧来の注文住宅営業でよく言われた都市伝説のような話です。 注文住宅営業は形のないモノを売るビジネスですから、確かに売り手と買い手の […]

【住宅営業の新人を即戦力化する人材育成】モデルハウスや見学会でのご案内応対ツールが味方になる

ご来場された全てのお客様への接客応対を営業のエースやベテラン営業が対応できるわけではありません。週末には住宅営業担当が住宅展示場に詰めていても、平日は、住宅営業担当者は営業活動をするため常駐しているわけではなく、住宅展示 […]

新人住宅営業を早くデビューさせる方法

注文住宅営業において、新卒新人でも異業種からの中途採用の新人でも、一人前になるためには様々な知識と経験が必要です。昭和の時代の徒弟制度的な会社では「10年は掛かる」と言われていましたが、これではビジネスとしては成り立ちま […]

新着記事

新しい「中級住宅」の定義と現状認識

かつては、多くの家庭が手の届く価格で、ある程度の性能やデザイン性、暮らしやすさを兼ね備えた「ちょうどいい住宅」として捉えられていた中級住宅ですが、今はその基準が崩れつつあります。 経済状況の変化、ライフスタイルの多様化、 […]

【2025年住宅市場】60歳代に目を向ける注文住宅事業

現在の新築住宅市場において、中心となる顧客層は30〜40歳代のファミリー層です。特に35歳前後の世帯が主なターゲットとなっており、結婚し、子育てを始めるタイミングで住宅を取得するケースが一般的です。しかしながら、日本の人 […]

住宅事業の集客革新!|令和の集客方法を、考え方から新しいアイデア、イベント活用事例まで徹底解説

住宅業界の集客において、従来の手法では限界が見え始めています。多くの住宅会社や工務店が住宅性能や間取りを中心に訴求していますが、お客様にとってはどれも似たように映りがちです。これからの住宅事業での集客では、新しいアイデア […]

【2025年住宅市場】城南地区から横浜/湘南方面エリアで住宅事業成功を掴むには

現代の住宅市場においては、単なる「住むための家」ではなく、「心豊かな暮らし」を実現する住まいが求められています。特に、東京の城南地区(品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・港区)から横浜/湘南方面にかけてのエリアでは […]

住宅会社の未来を切り拓く「集客と受注」戦略——市場変化に適応するために

近年、住宅業界はかつてないほどの変革期を迎えています。従来の集客戦略や営業手法では通用しなくなり、住宅会社や工務店は、新たな時代に適応するための「集客と受注」の再構築が求められています。 人口減少や少子高齢化、ライフスタ […]

新築同等以上のフルリフォーム事業成功のポイント-③

今回は、従来のリフォームのような小規模な案件が多い、一般的なリフォーム事業ではなく、新築するのと同等か、それ以上のメリットをお客様に提供する「フルリフォーム事業」成功のポイント③として、フルリフォーム事業の営業について考 […]